日本維新の会は14、15日、4月の統一地方選で当選した新人365人向けの研修会を大阪市内で開いた。地域政党・大阪維新の会を含め、首長と地方議員599人が当選し、非改選と合わせて774人に勢力が急拡大する中、地方組織は
維新が新人研修を実施するのは初めて。馬場伸幸代表は14日、「勢いが本物になってきて、維新をたたかなければという勢力が動き出す」と語り、出席した議員や首長ら約350人に綱紀粛正の徹底を求めた。
大阪が拠点の維新は全国政党化を目指しており、統一選で「地方議員600人以上」とする目標実現のため、公募で候補者をかき集め、躍進の原動力とした。
研修は、現職の議員や首長が「維新の議員として」「身を切る改革など」といったテーマで講義し、非公開で行われた。出席者によると、不祥事対策の内容が多く、馬場氏は「社会人として当たり前のルールやマナーを徹底してほしい」「役所の人たちは『先生』と議員を持ち上げるが、決して調子に乗らないように」と繰り返した。
国政政党が地方議員の新人研修を行うのは珍しい。自民党や立憲民主党などは全国に組織があり、秘書や党職員を経て議員になる例が多く、地元の国会議員や地方議会の先輩が、新人の指導役を担うためだ。
一方、地域政党を源流とする維新は、47都道府県のうち、地方組織があるのは37都道府県にとどまる。所属議員が10人未満の組織は、宮城、群馬、滋賀、岡山、愛媛、宮崎など計25道県に上り、他党のように新人を育成する体制が整っていない。
実際、西日本のある県議会で、ただ1人の維新議員となった新人は当選後、議員活動の手ほどきを受ける機会がなく、党の看板政策「身を切る改革」について、「どうやって進めたらいいかわからない」と不安を漏らしていた。
別の議員によると、研修では、吉村洋文共同代表(大阪府知事)から「うまくいった人のまね事をどんどんやる」「地域活動をおろそかにしない」、音喜多駿政調会長から「間違ったら、謝って訂正、修正する」といった助言があった。
党は、研修会の内容について取材に答えないよう指示している。参加者の1人は「責任の重さを実感した」と言葉少なに話した。
太田肇・同志社大教授(組織論)の話 「過去の不祥事などを考えると、新人研修によって、議員活動の基礎的な部分の意識共有を図ることは、一定評価できる。ただし、本来は人材発掘の段階から工夫が必要で、選挙前に研修を済ませ、有権者に選挙で判断してもらう方が理想的だ」
2012年結党の日本維新の会は歴史が浅く、新人が起こす不祥事に苦慮している。
19年9月、1期目だった大阪府松原市議の男性(46)は体調不良を理由に本会議を欠席しながら、沖縄を旅行していたことが発覚。地域政党・大阪維新の会から除籍(除名)処分を受け、市議会は問責決議案を全会一致で可決した。大阪府吹田市議だった男性(34)は1期目の22年10月、19~22年度の会派の政務活動費で不適切な入出金を繰り返したとして辞職している。
同月には、福岡市議だった女性(41)が次期市議選で競合する元衆院議員になりすまして「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と関係があるとしたビラを作成し、選挙区内の複数の住宅に
国会議員も例外ではない。22年11月、参院議員の中条きよし氏(77)が委員会の質問時、自らの新曲を「ぜひお買い上げください」と発言し、党が厳重注意した。
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