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Saturday, December 31, 2022

異次元緩和10年「黒田総裁の引き際」元日銀理事に聞く | 経済 ... - 毎日新聞

門間一夫・元日銀理事に聞く(上)

 日銀が2%物価目標を導入し異次元金融緩和を始めて10年になる。黒田東彦総裁が4月に任期満了となり、金融政策は動くのか。元日銀理事の門間一夫・みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミスト(65)は「日銀は長期金利を抑制する政策を早くやめるべきだ」と語る。2回に分けて聞く。

 ――昨年12月、日銀が長期金利の上限を0.5%に引き上げました。これは異次元緩和を修正する「最初の一歩」でしょうか。

 ◆そうとは限りません。上限引き上げは金融緩和の修正ではなく、国債市場の機能低下への対応が目的だからです。あとで「あれが転換点で、金融引き締めの一歩だった」となるかどうかは、この先「2%の物価目標」が達成できるかにかかっています。

 日銀は経済と物価動向を慎重に見ていて、黒田総裁は「物価目標の達成は視野に入っていない」と明確に言いました。「これから金利を上げていく」という意図は、日銀には全くありません。

債券の売買が激減

 ――黒田総裁は任期満了前に、なぜ修正に踏み切ったのでしょうか。

 ◆国債市場の機能低下は目に余るものがありました。債券売買が激減していたのです。日銀が長期金利を抑えつけ、市場で決める本来の金利水準と異なっているので、債券の取引が成立しない状況が多発しました。昨年春ぐらいからでしたが、秋以降に急速に悪化しています。

 日銀が購入する10年国債の金利だけ低くなっていました。社債の金利決定は国債金利を基準にしますが、不自然に抑え込まれた国債金利は基準にならないと見られ、社債にも影響が出ていました。

 ――市場機能が急速に悪化したのはどうしてですか。

 ◆日本の物価が上がり始め、海外の投資家が「日本の長期金利はいずれ上がる」との見方を強め、国債の売り姿勢を強めたのが一番大きな理由です。それ以前は「2%物価目標は達成できるわけない」とみんなが思っていて政策変更の余地がなく、日銀の言う通り長期金利は0.25%以下に収まっていました。

 それが、「日銀がいずれ金融緩和をやめる」と市場参加者が思い始め、市場が思う長期金利と日銀が抑えつけた上限の0.25%が乖離(かいり)していきました。

 ――その弊害はなくなりましたか。

 ◆完全になくなったわけではありません。上限を…

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