[北京 28日 ロイター] - 中国が28日発表した新型コロナウイルス新規感染者が5日連続で過去最多を更新した。週末には厳しいコロナ規制に対する抗議活動が各地で行われ、10年前の習近平体制発足以降見られていなかった異例の光景が広がった。
上海では27日、デモ隊と警察が衝突し、警察が一部参加者をバスに乗せて連行。英BBCは、上海で抗議活動を取材していた同社ジャーナリストの1人が中国警察から暴行を受けて拘束され、その数時間後に釈放されたと明らかにした。
市民による異例の抗議を受けて中国のゼロコロナ政策や経済への影響を巡る懸念が高まり、28日の取引で株式相場や原油価格は大きく下落している。
週末には武漢や蘭州などの都市で住民がコロナ検査所のテントを倒すなどした。また、新疆ウイグル自治区のウルムチで24日に起きた火災をきっかけに、各地の大学でも怒りを募らせる学生らが集まって抗議した。
ウルムチの火災では10人が死亡。当局は否定するものの、インターネット上ではビルが部分的にロックダウン(封鎖)されていたため住民が逃げ遅れたとの声が上がり、動画などによると25日夜にウルムチの路上でロックダウンに抗議するデモが起きた。同市では封鎖が100日続いた地域もある。
首都・北京では27日深夜を過ぎても大勢の人が北京三環路沿いに集まり、平和的な抗議活動を実施。あるグループは抗議の象徴である白い紙を掲げて「コロナ検査は要らない、自由が必要」などと叫んだ。通り過ぎる車の多くもクラクションを鳴らしてデモ参加者に支持を示した。
現場には制服を着た警察官が数十人出動し、私服の治安要員も群衆の中に見られた。
上海では26日夜、ウルムチにちなんで名付けられた市内の道路に住民が集まり、追悼集会が行われたが、27日未明に抗議活動へと発展。
ネット上の動画などによると、大規模な集団が「中国共産党は退陣しろ、習近平(国家主席)は退陣しろ」と叫び、指導部に対し異例の抗議の声を上げた。
世界の大半の国がコロナ規制をほぼ解除する中でも、中国は習氏のゼロコロナ政策を堅持している。
政府は今月、より的を絞った対策に修正する姿勢を打ち出し、近く全面的な経済再開につながるとの観測が高まった。ただ、感染再拡大を受けて早期の大幅な制限緩和への期待は後退。多くのアナリストは、早くても来年3月か4月まで中国が経済を大幅に再開する可能性は低いとみており、専門家はワクチン接種拡大が必要だと指摘する。
27日の新規感染者は4万0347人と前日の3万9791人から増加。海外からの渡航者を除く新規の市中感染者は4万0052人で、こちらも前日を上回った。大都市の広州と重慶では数千人規模の感染者が出ており、流行抑制に苦慮している。
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