大谷翔平(花巻東高)がマーリンズ打線を打ち取るたびに、ローンデポパークの観客は拍手と歓声を挙げる。
観客席はマーリンズのチームカラーの青と白よりも、エンジェルスの赤を身につけた人の方が多く、ホームのような雰囲気だ。
立ち上がりは「流れ的に良くなかった」と言うように、初回、先頭打者のベルティが失策で出塁。続く左打者の2番ウェンドルにインコースへのカーブをライトオーバーに運ばれ、無死2、3塁になり、3番クーパーの右犠飛で1点を失う。
1死3塁とピンチは続いたが、大谷は攻めの投球をした。
肩で大きく息をつき、打者に集中する。アギラルを空振り三振、ガルシアを中飛に抑えると軽く拳を握りながらマウンドを降りた。2回の1死1、2塁の場面を無失点で切り抜けると、3回からは「ショータイム」が始まった。
「どの球でも、どのカウントでも安定して投げられている」と言うように、速球、スライダーでカウントをとって追い込み、最後は低めのスプリッターで次々と三振に打ち取る。
相手打線もなんとか食らいつくが、詰まった当たりを前に飛ばすのが精一杯で、3回以降は無安打という好投だった。
打撃でも魅せた。
5回に安打と2死球で1点を返し、2死満塁で迎えた3打席目。大谷はアウトコース高めの速球を左前に運ぶ2点適時打で3点目を奪い、マーリンズの先発ロジャースをマウンドから引き摺り下ろした。
7回には四球で出塁後、10個目の盗塁を決め、俊足も披露する。
その後の投球では少し疲れも出たのか、7回は四球2つを出し、2死1、2塁の場面もあったが、代打フォルテを三球三振で打ち取るとガッツポーズでマウンドを降りた。
7回100球を投げ、被安打2、奪った三振は10個、最速161キロをマークするなど、圧巻の投球内容だった。
「体の不安なく投げられているのが1番の要因。ランナーを出さないように、返さないように考えながら投げた」と振り返る。
5日に28歳の誕生日を迎えたが、「次の1年も健康で終えたい。1試合1試合元気に頑張りたい」と締めくくった。
自分が投げた時に勝てたのは大きい 一問一答
-素晴らしい投球が続いているが何か変えたことは
試合ごとに配球などは変えているが、投げ方はを変えていない。
-チームの連敗も4で止めた
(負けた試合も)打者として出ているので、勝ちに貢献できず申し訳なさはある。自分が投げた時に勝てたのは大きい。
-ここ5試合素晴らしい投球が続いている。メジャーにきてから最もいい状態か
体の不安なく投げられているのが一番。
-自分で投げて打って試合を決めた。充実感は
たまたまいい場面で(打順が)回ってきただけ。各回ごとにチャンスを作っていた。全体的にいい流れだった。
-回を追うごとに投球が良くなった要因は
アグレッシブに攻めるのは常に変わらない。投げるところを変えたり、カウントによって投げる球を変えたり。
-自分で点をとった試合は、投球でよりアグレッシブに行けると話していたが
途中まで僅差だったので投球に余裕はなかった。一人一人取ることが大事。ここ最近は競っている試合が多いので、なるべくランナーを出さないように。返さないように。シンプルだがそれが大事。
-オフの日にはマイアミのビーチなどに行ったのか
行っていない。行こうかと思ったが、マッサージを受けたほかは、ホテルでずっと寝ていた。
-昨日28歳の誕生日を迎えた。どういう一年にしたいか
健康で終えたい。毎年そうだが、無事にシーズンしっかり戦って、そこで残った数字がオフの反省点になる。1試合1試合元気に頑張りたい。
エンジェルス
レイ・モンゴメリー監督代行
翔平は毎回、我々が想像する以上の投球をするが、今夜も同様に素晴らしかった。回を追うごとにいい投球をしていた。投球間に修正する能力も高いし、体の使い方を熟知している賢い選手。
マーリンズ
マッティングリー監督
初めて大谷の投球を見たが、変化球、速球ともに素晴らしかった。スプリットと速球の見分けがほとんどつかないし、手元で跳ねるような球も多かった。狙ったところに自由自在に投げているように見えた。
米ニューヨーク在住。陸上、サッカー、ゴルフなどを幅広く取材するフリーライター。45歳。北上市出身。
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