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Saturday, April 2, 2022

レコード盤、実は食器用洗剤で洗ってOK! 安くて効果的なクリーニング技を伝授 (1/2) - PHILE WEB - PHILE WEB

アナログレコードを楽しんでみているものの、レコード盤の「クリーニング」をしたことがない、という方は意外と多いのではないだろうか。実はレコードクリーニングは音質アップ、そしてレコード盤とカートリッジ両方の寿命も伸ばすことができる、重要かつ効果の大きい作業なのだ。

そこで本項では、自宅にあるもので今すぐにでも行えるレコードクリーニング方法や、専用グッズの使い方などを炭山アキラ氏に解説いただく。皆さんのアナログライフを豊かにする手助けとなれば幸いだ。

レコード盤はクリーニングしないと“音も汚れる”

昭和時代に買い集めたレコードが押し入れに眠っていて、久しぶりに聴きたくなった方や、また興味を持って中古店でレコードを買ったものの、ひどく埃だらけだったりカビが生えていたりで、レコード針を落とすことをためらっている若い方などは、意外と多いのではないかと思う。

残念ながらレコードは、静電気を帯びやすいため埃を吸い寄せやすく、また前の所有者が無神経に盤を鷲掴みにしていたりすると、その指紋からカビが発生したりすることも珍しくない。そして髪の毛よりもずっと細い音溝は、そんな埃や汚れ、カビなどが付着してしまうと無残なまでに音を汚し、ノイズまみれにさせてしまうのだ。


音溝に埃や汚れ、カビなどが付着すると、音を汚してノイズが発生する要因となる

ならば、そうなってしまったレコードはもうおしまいなのかといえば、いやいや決してそんなことはない。流石に音溝を深くえぐってしまった傷を修正することは不可能だが、埃や汚れ、そして軽微なカビならば、いくつかの方法でほぼ完全に取り去ることが可能だ。

今すぐできる! 食器用洗剤とスポンジでのクリーニング方法を紹介

まずは一見ひどく手荒に見えて、その実、効果が高い方法をお伝えしよう。誰もが台所で使っている食器用洗剤とスポンジ、それらを利用した方法だ。持って回った言い方をすることはない。要はスポンジに洗剤をつけて、レコードをジャブジャブと洗ってしまうのである。今でこそ英国の高級レコードクリーニング・マシンを使用している私だが、それを導入するまではあまりに汚れのひどい中古盤は、こうして洗っていたものだ。

スポンジは音溝の円周に沿って動かし、あまり強い力を入れぬよう。また、間違ってもスポンジの固い面を使ったり、爪などを当ててはいけない。それこそ、致命的な傷となってしまう可能性があるからだ。なお、洗浄中に指の腹で盤を持つことは問題はないが、その部分は念のためもう一度スポンジで軽く洗っておくことを推奨したい。


スポンジを音溝の円周に沿って、あまり力を入れすぎないよう動かすのがポイント

中心部のレーベル面は、国内盤ならほとんどが濡らしても問題ない素材が用いられているが、古い米国盤など時に水性インクが用いられているものがあり、それらは決して濡らしてはいけない。最も、そういう稀少盤をお持ちの方ならレコードクリーニングの知識もお持ちかと思うが念の為。それでもラベルを濡らすのが嫌な方は、少々値は張るがナガオカのレーベルプロテクター「CLP-02」などを導入してみるとよいのではないだろうか。

どうしてもレーベルを濡らしたくない場合は、レーベルプロテクターを使うのも手

洗浄が済んだらよくすすぎ、それで終了となるが、濡れた盤は必ずしっかりと乾かさなければならない。拭き上げにはティッシュペーパーが使えるが、これは必ず“バージンパルプ”のものを使用されるように。再生パルプのティッシュは概して繊維が短く、ケバが立ちやすいため、せっかく磨いた盤に再び埃を寄せるということになりかねないからだ。またティッシュ以外では、超吸水のマイクロファイバー・タオルなども使い勝手は良いが、必ずきちんと洗濯された清潔なものを使っていただきたい。

拭き上げにティッシュペーパーを用いる場合は必ず“バージンパルプ”のものを使用する

よく拭き上げた盤は、一見よく乾いているように見えてもすぐに針を落とすのは危険だ。カートリッジは極細のコイルで発電する極めて繊細な構造体のため、湿気に極めて弱いのである。最低でも数分間はしっかりと乾燥させてから、針を落とすことを強く薦める。

レコードの乾燥は、できるだけどこにも触れない方がよい。ベルドリームのレコード乾燥台「BD-LKD11」などを使うと万全ではあるが、実は使い終わったガムテープの芯が、ちょうどLP盤のレーベルにすっぽり収まるサイズなので、乾燥に使えるアイテムだったりもする。


写真のようにガムテープの芯の上にレーベル面を乗せれば、盤面をどこにも触れさせずにレコードを乾燥させることができる

また、ワイヤーハンガーと木材を使用すれば“ベルドリーム風な乾燥台”を自作することもできる。ハンガーや木材の断裁等、多少の工程が必要となるが、適正の大きさにカットした木材にドリルで差し込み穴を空け、ペンチ等で一定の長さにカットしたハンガーを差し込むだけで、簡単に立派なレコード乾燥台が作れてしまう。特に難しい作業等も必要ないため、特にDIYなどが好きな方は一度自作してみるのもよいかもしれない。

ただ、カビが濃く生えてしまっている盤は、洗剤で洗っても根絶させることは難しい。そういった盤には少々手荒な手段ではあるが、消毒用アルコールを精製水で20%くらいに薄めた水溶液を盤面に垂らし、ティッシュで拭いてやるとよい。ただし、アルコールはレコードの素材の塩化ビニルに悪影響を及ぼす、という説もあり、強い反対論もある手法なので、あくまで「最後の手段」くらいに考えていただきたい。


炭山氏による自作「レコード感想台」の作り方をご紹介!

1.ワイヤーハンガーをペンチ等で一定の長さにカット


2.カットしたワイヤーハンガーをドリル等で空けた穴に差し込んでいく

3.立派な“ベルドリーム風乾燥台”が完成!

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