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Tuesday, April 26, 2022

円安加速、日本銀行は「行くも地獄退くも地獄」 | 特集 - 東洋経済オンライン

4月27日から2日間、日本銀行の金融政策決定会合が開催される。最大の注目は、日本とアメリカの金利差拡大を背景に加速した円安に対し、異次元の金融緩和策を「微修正」するか否かだ。

金融政策の動向に詳しい加藤出氏が、日本銀行の苦境をズバリ解説する(写真:本人提供)

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3月から止まらない円安。はたして金融政策を司る渦中の日本銀行はどう動くのか――。

金融市場の大方の見方は「政策の現状維持」。と同時に、異例の金融緩和の手じまいでは市場の混乱は必至との見方が再燃し、「黒田緩和」の出口リスクへの警戒感も台頭している。

金融政策と市場の動きに詳しい東短リサーチの加藤出社長に話を聞いた。

──4月27日から28日の日銀の金融政策決定会合はいつになく市場の注目度が高い。金融緩和の「修正」があるのでしょうか。

メインシナリオは「政策の現状維持」だ。

日銀の「イールドカーブコントロール」(YCC、長短金利操作)が円安を加速させてきたのは事実。しかし現時点では政府と日銀の間で、「今般のインフレに金融引き締めでは対処せず、物価上昇の影響に脆弱な家計や企業には補助金や給付金などの財政政策で対処する」という合意があるように見受けられる。

また、実際にYCCを修正しようとしても容易ではない面がある。金利の先行きを示唆する「フォワードガイダンス」など政策の周辺部分に多少の微修正を加えることはあっても、“本丸”のYCCについては今回の会合では現状維持ではないか。

──日銀が現状維持を選択する理由は?

今回の会合では、四半期に1度の展望レポート(『経済・物価情勢の展望』)が公表されるが、消費者物価(生鮮食品除くコアCPI)の見通しをこれまでの1%程度から1%台後半に引き上げるとみている。

ただし、経済成長率見通しは逆に下方修正され、2023年以降は海外のインフレ要因も剥落するという想定の下、コアCPIは再び下がっていくという見通しになるだろう。「コストプッシュ型のインフレにおいて金融引き締めの方向に政策を変更するのは不適切」という結論が示されそうだ。

円安の「ピークアウト」はまだ見えていない

──急速に進んだ円安はそれによってどうなるのでしょうか。

日銀の会合後、5月3日、4日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)がある。0.5%の利上げとQT(量的引き締め)開始が決まるのはほぼ確定的で、これについては、市場はすでに織り込んでいる。今後、ドル円相場を考えるうえでは、これまで続いたアメリカの金融引き締めペースの加速が止まるかどうかが重要だ。

FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の記者会見や幹部のコメントで、先行きの利上げペースに関してタカ派的(積極的)な発言はしばらく続きそうだ。引き締めの加速度は和らぎそうだと市場が思えば、円安もピークアウトするだろうが、それが現状ではまだ見えない。

テクニカル面で注意すべきは、アメリカのCPIは2021年4月から上昇幅が大きくなったため、2022年4月からは前年同月比で上昇率は多少下がってくること。ただ、それでもFRBが目標とする物価上昇率2%よりは高い水準であることは間違いない。

問題はCPIがこの先どこまで下がるかだ。仮に2022年末でも4%超の上昇率が続きそうだということになれば、「FRBはしっかりと引き締めろ」ということになって、円安はピークアウトとなりにくい。当面、きわどい状況が続くと考えざるを得ない。

──日銀が政策変更に動かないのは、第一に賃金や消費など日本経済の実勢が強くないからですが、先ほど政策修正自体の内容にも難しさがあると指摘されました。

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