コロナワクチンや治療薬の開発で、欧米に後れを取った感もある日本の医薬品企業。世界での競争力といった点で、先行き不透明感を感じている人も多いようだ。新薬開発を巡ってグローバルな競争が加速する中、日本の医薬品企業は現在どのような状況にあり、世界の株式市場からどのような評価を受けているのだろう。日本の5大製薬会社(武田薬品工業、第一三共、中外製薬、エーザイ、アステラス製薬)の「注目点」と「市場の評価」について、ゴールドマン・サックス証券投資調査部アナリストの植田晃然氏に聞いた。
植田晃然氏 ゴールドマン・サックス証券投資調査部アナリスト
2003年4月より慶應義塾大学COE研究員、日本学術振興会特別研究員として、血管ネットワーク形成の制御因子の研究に従事。2006 年3月、慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程を単位取得退学し、同年4月、ゴールドマン・サックス証券入社。2009 年3月工学博士号を取得。同年11月にメリルリンチ日本証券入社。調査部にて医薬品・ヘルスケアと商社セクターを担当。2014年5月、ゴールドマン・サックス証券に再入社して医薬品・ヘルスケア業界を担当。2021年の日経ヴェリタス人気アナリストランキング医薬品部門6位(写真提供:ゴールドマン・サックス証券)
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年明けの新聞報道に、「世界の医薬品市場において、日本は2026年にはドイツに抜かれて第4位に転落する(第1位は米国、第2位は中国)」というものがありました。日本の製薬会社は、現在どのような状況にあるのでしょう?
グローバルな観点で見ると、日本の医薬品市場の占める割合は低下傾向にあります。日本の製薬会社は自国のマーケットが伸びないわけですから、海外で稼ぐことの重要性が増していると言えます。そうした中、アジアでも存在感を高めているのが中国です。中国医薬品市場は近年、課題とされた(新薬開発/承認制度などの)規制の分野でも改善が見られます。また、中国国内にもバイオ医薬品企業が多数誕生し、グローバル企業との提携も増えています。日本の製薬会社も今後はグローバルな評価が、より重要となるでしょう。そのためには、世界規模でユニークな技術を持っていたり、高い競争力を有していたりすることが求められます。
世界中の製薬会社がライバルになるということですね。そこで足下の業績を見ると、コロナ禍が長引く中でも最高収入や最高益を更新する企業があるなど、全般に好調です。
日本の製薬大手の場合、そもそも業績においてコロナの影響は限定的という印象です。最初に感染が拡大した2020年4~6月期は受診控えなどもあって業績が悪化する企業も見られましたが、その後は、(COVID-19以外の)感染症領域、小児向けや精神・神経疾患向け、注射剤などの一部製品を除けば、医療用医薬品に対する影響は限定的なようです。2022年3月期は第一三共が第2四半期決算時に通期計画を上方修正するなど良好な業績推移を発表しましたが、他の企業も今期から来期にかけての業績は概ね順調に推移しています。
からの記事と詳細 ( 世界の投資家は日本の5大製薬をどう見ているのか? - 新公民連携最前線 )
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