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Friday, August 21, 2020

とれんど捕物帳 「景気」それとも「金利」? 恐らく後者か - みんかぶFX

為替 

 今週の為替市場はFOMC議事録をきっかけにドルが買い戻される展開となり、ドル円も106円台に戻す場面もみられた。FOMC議事録の中でイールドカーブコントロール(YCC)導入に消極的な姿勢を鮮明に打ち出したことに市場は敏感に反応したものと思われる。日銀を見て判断したのか、導入しても「メリットは小さい」と言及していた。市場がそれほどYCC導入を期待していたようには思えないが、過熱感が高まっていたドル安を修正するにはちょうど良いきっかけだったのかもしれない。

 いまの市場は何を見ているのであろうか。「景気」それとも「金利」、どちらなのか。恐らく後者であろう。直近の市場の流れは株高・ドル安だが、これはFRBのゼロ金利政策が長期化するとの期待が背景にある。なぜ、「景気」ではないのかと言えば、見通せないからであろう。なぜならば、ウイルス次第の面が大きいからだ。ウイルスが「そろそろ飽きた!」とでも教えてくれれば別だが、かなり予想が困難だ。ワクチンや新薬といった決定打でも登場すれば景色は変わるのかもしれないが、それもいつになるのか未知数だ。流動的な実体経済の先行きよりも、ある程度見立てが担保されている「金利」のほうが手掛けやすい。幸いFRBはしゃべってくれる。

 FRBはYCC導入は見送りそうな情勢だが、9月のFOMCで、それに代わる新たな指針(フォワード・ガイダンス)を提示してくると見られている。様々な見方が出ているが、ゼロ金利を解除するタイミングをインフレ目標の2%に厳格に置くのではなく、「中長期的に2%」などといった、少し“ゆるゆるの基準”に変更し、2%超でもある程度許容できる基準に変更することが見込まれている。

 これまでFRBは期待インフレが2%になれば出口戦略を実施して来た。あくまで“期待”なので、実際は足元のインフレが2%より低くても利上げを実施している。これを“ゆるゆるの基準”に変更することによって、現在のゼロ金利政策を長期化させる意図を強調したいものと見られる。その意味では来週、FRBが年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)を開催し、パウエル議長が金融政策の枠組み見直しについて講演する予定になっているが、その動向が注目される。

 市場では、FRBは少なくともあと2年はゼロ金利政策を続けるとの見方が出ている。ドルは世界最大の貨幣流通量を誇る。出回っている量が多い分、基本的には売られやすい通貨でもある。足元は米政府もパンデミックで財政支出を急拡大させており、さらに拍車がかかっている状況だ。

 エコノミストの間ではパンデミック前から、ドルは高過ぎるとの指摘が多く聞かれ、ドル安を指南する向きも多かった。しかし、ユーロや円と違って、ドルはまだ金利があったことから、市場はドルに資金を傾けることが多く、ことごとくその指南は粉砕されて来た。

 しかし、ここに来て、エコノミストの願いがようやく成就しそうな気配が高まっている。今週は一時的にドル安に一服感が出ていたが、基本的な潮目に変化はなく、何かをきっかけに再びドル安の流れに戻りそうな情勢ではある。特に対ユーロでのドル安が進んでおり、ユーロがドル安の受け皿になっている印象だ。そにうちECBがけん制を入れて来ることも予想されるが、それでも潮目は変わらないとの見方が多い。

 さて来週だが、経済指標は米GDP改定値や住宅、インフレ統計などが予定されているが、月末に向けて米追加経済対策を巡る動きが注目されそうだ。民主党のペロシ米下院議長は、追加経済対策の実施を急ぐため、共和党との合意に向けて、民主党側の提案の規模を半分に縮小し、11月の大統領選後に他の政策の成立を目指す可能性があることを示唆した。民主党が歩み寄りの姿勢を示した格好。

 市場では景気浮揚には不十分な対策になるのではとの不安も高まっているようだが、民主党からすれば、バイデン氏が大統領に当選するかは未知数だが、大統領選と同時に実施される議会選挙では、上下両院とも民主党が過半数を占めるとの見方が有力視されている。例えバイデン氏が落選し、トランプ大統領が2期目を務めたとしても、議会を手中に収められれば、トランプ政権が否決権をちらつかせたとしても、法案は優位に持って行ける。ここで国民の不評を無駄に買う必要はないとの算段があるのかもしれない。いずれにしろ、来週も米与野党の攻防が注目されそうだ。

 今週のドル買い戻しが来週も続いたとしても、上値は重いものと予想される。その場合、ドル円も上値の重い展開が想定される。ドル円の想定レンジとしては、107円台前半に来ている100日線を上値メドとして、105.00~107.00を想定。スタンスは「やや弱気」を継続したい。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 ↑(↑↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑↑)
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次回の配信は9月5日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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