
日々報道される、コロナウイルスの「感染拡大」のニュース。気がつくとニュース番組をはしごしたり、ネットニュースをサーフィンして寝る時間が遅くなる人も多いだろう。また、布団にはいってからも、興奮や不安でなかなか寝付けない人もいるのではないだろうか。
そんなコロナ不安で眠れない夜に有効な「心の会議」を提唱するのが、自衛隊で長年、心理教官を務めてきた下園壮太さんだ。新著『自衛隊メンタル教官が教える 50代から心を整える技術』でも紹介している「心の会議」の実践方法について、下園さんに聞いた。
* * *
■怒り、不安、自己嫌悪……さまざまな感情がぐるぐる回る
コロナウイルス感染拡大のニュースは、人にさまざまな感情を引き起こします。たとえば、共働きで、保育園に行っているお子さんをお持ちのお母さんなら、こんなことが、頭の中をぐるぐると回るかもしれません。
「こんなに感染が続いているのに、まだ会社に行かないといけないとは、おかしい!」
「でも、このまま経済活動が低下すると、わが家の生活も苦しくなるのでは」
「マスク、トイレットペーパーに続いて、食料品もなくなるのでは。買いだめは慎んだほうがいいのはわかるけど、子どもにお腹を空かせるわけにはいかないから、やはり買いたい」
「それにしても、この段階でも仕事といって、ときどき、飲んで帰ってくる夫は、何を考えているのか!」
「最近、なんだか寝ても疲れがとれない……。こんな疲れている自分で、きちんと子どもを守れるのか。情けない」
怒り、不安、自己嫌悪、さまざまな感情が頭を回り、なかなか寝付けない夜におすすめなのが「心の会議」です。
感情は、論理では説き伏せられないくらいの強いパワーを持っています。いろんな感情が暴れているから、収拾がつかない感じになっていくのです。そして、人は疲れると、ますます感情に翻弄されるようになります。コロナ騒動で生活環境が変わり、疲労もたまってきてい来ている分、ますます感情が騒いで、夜も眠れなくなるのです。
そこで行いたいのが、感情をケアするワーク「心の会議」です。なかなか寝付けないようなときには、ベッドにゆったりと横になって、目をつぶりながら、さまざまな自分の感情に耳を傾けていきます。
■「心の会議」のコツは、どんな気持ちも肯定すること
心の会議にはいくつかのコツがあります。
◎心の会議のコツ
・今日あったことを思い出して、その時どんな気持ちがあったか思い出す。
・小さな気持ちも粗末にせず、言葉にする。
・どんな気持ちも、否定しない。肯定する
・認めたくない気持ちも全部出して認める
・対策や結論を求めない(対策や結論は、心の会議が終わった後で)
・最後にすべての感情に、ありがとうと言う
このコツを念頭に、会議を始めてみましょう。
――どんなことがあった?
今日もコロナ関連のニュースで不安が高まっちゃって。
――どんな気持ち?
在宅勤務をしている会社があるのに、なんでうちの会社は導入しないのか、怒りがわいてきて。
――そうだよね。会社の方針に腹が立つよね(肯定する)。
でも、会社の活動が止まると、わが家の今後の家計も心配だし。
――そうそう、家計がとても不安だよね(小さな気持ちもきちんと認める)
それに、専業主婦で家にこもっていられる友だちが、実はうらやましくて。わが家も私が仕事を辞められたら、って思っちゃうんだよね。経済力のある友だちの家庭がうらやましくて。
――そうだね。専業主婦の友だちがうらやましいよね(情けない気持ちも肯定)。
食料の買いだめもしたいけど、そのような慌てた行動は慎むべきだと思うし。でも子どものことを思うと、買っておきたい気持ちもあるし。
――そうなんだね。難しいね(矛盾する気持ちも認める)
それに、夫が今一つ、危機感を抱いていない感じがするのがイライラして。
――自分だけ心配している状況に腹が立つんだね(意外な気持ちが表れてきた!)
私がどれだけ心配して、頑張っているのか、ありがとうぐらい言ってくれてもいいのに。
――そうだね、夫に感謝もされたいよね(自分でもやっぱりそこか…と気づく)
それに、何だか疲れが抜けなくて、これから乗り切っていけるか自信がなくなって。
――疲れもたまってきて、自信もなくなってきてるよね(これも新たな気付き)
■ネガティブな言葉も、あえてポンと言ってみる
このように気持ちを1つずつ取り出すと、「会社の方針に腹が立った」という感情の後ろに、「友だちがうらやましい」などのいろんな気持ちがあったことに気づきます。
もちろん、スムーズに気持ちが出てこないこともあります。「こんなこと思ってしまう自分は情けない」「大人げない」という気持ちが強いときは、なおさら素直には言葉が出てこないでしょう。そういうときは、ちょっとしたコツがあります。
「くやしかったよね」「ねたましかったよね」といったネガティブな言葉をあえてぽんと、発してみるのです。
すると、「いや、ねたましいわけじゃない……でも、もしかしたら、ねたましいという気持ちもあったかな」「あったなぁ。ねたましいと思ってた」。自分で、今まで、なかったことにしていた気持ちをていねいに掘り下げる。そして、そんな気持ちのすべてに「そうだよね」と答えるのが大切なポイントです。すべての気持ちを、肯定するのです。
もちろん、「弱みを見せたくない、理性側の自分」もいます。そうはいってもがんばるしかないよね、と言いたい自分もいるのです。
その気持ちも押し込めずに素直に出しましょう。矛盾する気持ちにも、決着をつけず、どちらも認めます。「自信がない」というという気持ちだけでなく「友だちは友だちの人生だし、私は仕事も好きでやってきたんだから。コロナ騒動なんかに負けずに、絶対に乗り切る!」─そんな気持ちにも、「うん、そうだよね」と答えます。
■感情に「ありがとう」と伝える
ごちゃごちゃにものが詰まっている引き出しから、中身を1つずつ取り出す。全部取り出すと、最後に、一番奥に隠れていたものも出てきます。そして、一番奥にあったものこそ、あなた自身に発見してもらうことを待っていた大切な気持ちであることが多いのです。
「ありがとうぐらい言ってくれてもいいのに」と言ってみた時、「うん。なんか最近、夫が私にすべて任せている感じがプレッシャーなんだ。それに、やっぱり身近な人に認められたいし、褒められたいよ」と、心の奥にある気持ちがひょっこり出てきました。
その思いに気がついた時、「そうなんだ」と自分で自分を理解した感じが広がります。甘えん坊、見栄っ張り、臆病、そんなあなたにとって見たくない感情を見つけた時、素直に「そうだよね」と言えないこともあるでしょう。そんな時は、あえてその気持ちに「私を守ろうとしてくれているんだね、ありがとう」と、つぶやきます。
怒り、不安、恐怖、焦り、悲しみ……すべての感情はあなたを守ろうとして発動するのです。だから、「ありがとう」と言うことで、ほぐれていきます。ありがとうが言いにくいのなら、「感謝だよなぁ!」もいいですね。おまじないのように聞こえるかもしれませんが、「ありがとう」の効果は実はすごいのです。その言葉を受け止めた感情は、やがて落ち着いていきます。
そして、心の会議のゴールは、「まぁ、たいしたことないかな」と少し思えれば上出来です。通常、会議というのは、なんらかの「対策」や「結論」を求めるものです。出席者が都合を調整してその場に集まっているのですから、ただの世間話だけでは不満が残る。その成果を共有することが「達成感」となります。
しかし、「心の会議」は、あなたの心の中の会話ですから、結論など求めなくていい。全部の気持ちを出したら、それを「感じる」。まるごと、感じてみます。
感情は、その存在を主張するために、出来事を拡大し、視野を狭めるというメカニズムがあります。「わかってほしい」と訴えかけている感情に対して「そこにいるのはわかったよ」と認めることで、過剰な訴えかけはおさまってきます。
すべての心の言い分を聞いて、フラットに眺めて、どの感情もあってよかったんだなぁとしみじみ思えたら、「今度のコロナ騒動も、なんとか乗り切れるかな」と少しだけ思える。
それが「心の会議」の目指すゴールです。「では、私は明日から何をすればいいのでしょうか」と対策を知りたがる人もいるでしょう。でもこれは、お肌のケアや掃除と一緒で、毎日することで、元気に日々を過ごすための「心のお掃除」なのです。ぜひ、気軽に試してみてください。
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April 07, 2020 at 05:00AM
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