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Thursday, February 27, 2020

Vol.02 川淵三郎氏|新・公民連携最前線|PPPまちづくり - DIGITALIST

ジャンルを問わず、世の中に新しい価値を創出したDisruptive Innovator(破壊的創造者)の生の声をお伝えする新コラム「Disruptive Innovators Talks ~新たな価値の創造者たち~」。第2回は、1993年に開幕したプロサッカーリーグ「Jリーグ」創設をけん引した川淵三郎氏が登場します。Jリーグは、これまで「企業スポーツ」「学校スポーツ」として発展してきた日本のスポーツに、「地域スポーツ」という新たな楽しみ方を加え、定着させました。サッカー競技全体のレベルも引き上げられ、今や日本はワールドカップ常連国です。Jリーグの誕生について、「戦後日本のスポーツ界で最もイノベーティブな出来事だ」と評しても、否定する人はほとんどいないでしょう。

川淵三郎(かわぶち・さぶろう)

日本トップリーグ連携機構 代表理事 会長
1936(昭和11)年大阪府生まれ。早稲田大学在学時にサッカー日本代表に選出。卒業後は古河電気工業に入社。1964年東京五輪に出場。日本代表監督などを経て、1991年Jリーグ初代チェアマン、2002年日本サッカー協会会長(キャプテン)を務めたほか、Bリーグ初代チェアマン、日本バスケットボール協会会長、公立大学法人首都大学東京理事長などを歴任。現在、日本サッカー協会相談役、日本バスケットボール協会エグゼクティブアドバイザー、東京五輪・パラリンピック大会の評議委員で、選手村の村長も務める。(写真:加藤康)

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―― 川淵さんといえば、プロサッカーリーグ「Jリーグ」*1の誕生(1993年開幕)に大きく貢献し、また、分裂していたバスケットボール組織をまとめ上げて「B.LEAGUE(Bリーグ)」*2発足(2016年開幕)の立役者になるなど、スポーツ分野での大きな改革を強力にけん引してきました。今日はそんな川淵さんに、リーダーの在り方、プロジェクトの在り方について、あらためてお聞きしたいと思います。

川淵 やっぱり一番大事なのは、プロジェクトが目指す方向だね。

―― 「方向」ですか。

川淵 「ここに到達したい」という、その映像を描けるかがすべてだからね。改革のやり方、方法はいろいろあるけれど、「じゃあ、どこに向かっていくの?」という方向がはっきりしていないと。場合によってはもう、全然違うところに行っちゃったりするから。

 そんなときに一番大事なのは、「どこに行くのか」という方向、つまり、その到達地点をまず明確にすることだね。これがあると、人を説得するときに説明がしやすくなる。「何のためにどう改革していくのか」「この方向に進めていくとこんなふうになる」ということを論理的に話すことができるからね。

 「今のやり方ではここがどうだ、あそこがこうだ」と、枝葉末節を説明したところで、改革の大局観とはまた別の次元の話になってしまう。現状を改革するためには、そこのところを一番注意して取り組まなければならないということだね。

改革にまず必要なのは、「方向」を示すこと

―― 川淵さんがよく重要性を説いている「理念」ではなく、まずは「方向」なのですね。

川淵 そうだね。理念というのは、何のために何を達成するのかというときの、「何のために」というところが「理念」なんだよ。要するに「方向」と「理念」は表裏一体のものなんだ。「あそこに行くから、とりあえずみんなついて来い」と方向だけを示しても、「何のために」「どういう目的で」そこに行くのかという理念がない限りは、みんなを説得できないよね。

 つまり、理念に基づいて理論武装をして、そこに至る道を説得していけばいいわけだ。Jリーグもそうだし、Bリーグもそうやってきたんだよ。

―― Jリーグのときの向かうべき方向、一番の目的というのは……。

川淵 それはもう「地域に根差したスポーツクラブづくり」に尽きる。

 ヨーロッパのスポーツ先進国には、昔から当たり前のように、至るところにスポーツクラブがあったんだけど、日本にはなかった。だから、Jリーグが掲げた理念について、読売新聞の渡邉(恒雄)社長*3には「空疎な理念」って言われたんだよ。その頃は渡邉さんに限らず、みんな「地域に根差したスポーツクラブ」ということが理解できていなかった。今ならみんな分かるだろうけど、当時は「地域に根差すってどういうことなの?」とか、よく聞かれたからね。

 地域の人がそこに行けば、それぞれの人の実力に応じた指導者がいて、老若男女だれもが自分の好きなスポーツをエンジョイできる。で、そこに強いサッカーのチームがあったり、あるいはラグビーのチームがあったりして、そのチームが地域の代表として戦っていくというのが「スポーツクラブ」なんだよね。

 地域の人が賛同してくれて、そのクラブを育てていく。そして、そのクラブの中から優秀な選手が出てきたときに、そのチームや選手をみんなで応援していこうというのがヨーロッパのスポーツクラブの在り方だよね。そうやってプロスポーツとしてチームが活躍したら、そこで上げた利益を地域社会に還元して、施設などをどんどん増充実さていく――。そんなことを本当に何度も、口を酸っぱくして繰り返し説明してきた。だからその頃は疲れたよ、相当(笑)。


注)

*1 Jリーグとは、日本プロサッカーリーグの通称。主催団体は公益財団法人日本サッカー協会(JFA)、およびその傘下の公益社団法人日本プロサッカーリーグ。3部制で、2020シーズンのクラブ数は、J1が18クラブ、J2が22クラブ、J3が19クラブ。1991年11月、初代チェアマンに川淵氏が就任。現在のチェアマンは村井満氏。1993年5月15日開幕。

*2 B.LEAGUE(Bリーグ)とは、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(JPBL)が運営する国内男子プロバスケットボールリーグ。2015年4月に創設され、2016年9月22日に開幕。初代チェアマンはJリーグ初代チェアマンも務めた川淵三郎氏。現在のチェアマンは大河正明氏。開幕前の2015年9月に就任した。2019-20シーズンのクラブ数はB1、B2とも18クラブ。なお、B3リーグは一般社団法人ジャパン・バスケットボールリーグが運営し、クラブ数は12。

*3 Jリーグ開幕後、クラブでの企業名表記やホームタウン移転などをめぐり、当時読売新聞社の社長だった渡邉恒雄氏(現・読売新聞グループ本社主筆)は川淵氏と対立。渡邉氏はJリーグの理念を「空疎」と言い、川淵氏を「独裁者」と呼んだ。川淵氏が「独裁者という言葉はそのまま渡邉さんにお返しする」と言い返すなど、論争はメディアでも大きく取り上げられ話題を呼んだ。その後、両氏は対談をするなどして“和解”している。

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