巨人のファームが２７日、宮崎キャンプを打ち上げた。昨季限りで現役を引退し、今季から指導者に転身した阿部慎之助２軍監督（４０）がスポーツ報知の単独インタビューに応じ、指揮官として初めて臨んだキャンプを総括した。
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キャンプ中、阿部２軍監督に怒られ、落ち込む…そんな夢を毎日のように見ながら朝を迎えた。理由は、指揮官がキャンプに出発する飛行機に乗る前、報道陣にも“鬼軍曹”っぷりを見せていたからだ。「突拍子もないこと聞いたら、俺も怒るからな。一緒に野球のことを勉強していこうな」。プロ野球取材１年目。初の春季キャンプ取材。高揚感は一気に消えた。
キャンプの一日は長時間にわたるが、監督に話を聞けるのは、球場入りと帰りのわずかな時間しかない。練りに練って、ぶつけた質問にも「良かったんじゃない」「そうだね」などと、素っ気ない日も多かった。
朝はまだ冷え込む宮崎。１軍が沖縄に行き、報道陣がほとんどいなくなったサンマリン宮崎の正面入り口で、毎日カイロを握りしめながら「今日はどうやって聞こうか」「次の練習試合のテーマは何だろう」。キャンプ取材へ、気合を入れるため丸刈りにした頭を何度もかきながら考えた。練習では鬼の形相でノックを打ち続ける監督。打球に食らいつき、立ち上がるヤングＧたちに、いつしか自分を重ねていた。
少しだけ距離が縮まったと思った瞬間もあった。キャンプ終盤、練習の合間に「打席で追い込まれてからの心構え」を自ら実演しながら、報道陣に熱弁してくれた時だ。話が終わると「じゃあ、君は逆立ちでもやってみようか」とニヤリ。気がついたら指揮官の本音を引き出すために、選手たちをしっかり観察した上で、思考を巡らす習慣がついていた。慎之助監督の言葉には若い力を目覚めさせ、前に進ませる力がある―。身をもって体感した１か月だった。（巨人ファーム担当・中間 卓也）
報知新聞社
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