日米金利差の縮小を意識した円高・ドル安の流れが、
ここ最近の日経平均株価の上値圧迫要因に!
米国ではインフレ懸念が和らぎ、FRBによる利上げについても、7月25日~26日開催のFOMCで0.25%の利上げが実施された後は、年内あと1回で打ち止めになるとの見方が強まっています。一方、日本では、7月27日~28日に開催される日銀の金融政策決定会合で「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の一部修正(調整)に踏み切るのではないか?」と囁かれています。
このため、日米の金利差縮小が意識され、外国為替市場で円高・ドル安が進行しており、これが日本株の上値圧迫要因となっています。
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7月12日に発表された6月の米CPIは前年同月比3.0%の上昇となり、2021年3月の2.6%の上昇以来、2年3カ月ぶりの低水準となりました。前年比での上昇率は、2022年6月に1981年11月以来最大となる9.1%のピークをつけた後、鈍化が続いており、12カ月連続で下落しています。また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも前年同月比4.8%上昇と、5月の5.3%から伸びが縮小し、市場予想の5.0%を下回りました。
さらに、7月13日に発表された6月の米PPIは前月比の伸びが0.1%と、5月の0.4%下落から上昇に転じたものの、市場予想の0.2%は下回り、上昇率は2020年8月以来の低さとなりました。
これら6月のCPI、PPI発表を受け、市場では「米国の記録的なインフレが収まりつつある」との見方が強まっています。その結果、7月7日に一時4.09%と、3月上旬以来の水準に上昇する場面があった米国10年債利回りは、17日には前週末比0.02%低い3.81%に低下しました。
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7月27日~28日開催の日銀の金融政策決定会合において
物価見通しが上方修正されても、政策修正は見送られる可能性も!
一方、日本では、7月の金融政策決定会合で、現在1.8%としている2023年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しを2%台に上方修正する可能性が指摘されています。
植田和男日銀総裁は6月28日、ポルトガルのシントラで開催されたECB年次フォーラムで、「(2024年の物価上昇が確信できれば)政策を変更する良い理由となる可能性はある」と語りました。このため市場では、現行の金融緩和の持続可能性を高めるための政策修正が、今回の金融政策決定会合で実施される可能性が意識されているのです。
なお、7月14日の国内債券市場では新発10年債利回りが上昇し、一時は前日比0.020%高い0.485%と、3月10日以来およそ4カ月ぶりの高水準をつける場面がありました。これは、日銀の内田真一副総裁が7月7日、YCCの修正について「金融仲介や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスをとって判断していきたい」と述べたことで、長期金利の変動許容幅が見直されるとの見方が強まった結果です。ちなみに、日銀は現在、YCCのもとで新発10年債利回りを「プラスマイナス0.5%程度」に誘導しています。
ちなみに、日本の5月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.8となり、前年同月比で3.2%上昇しました。前年同月比がプラスになるのは21カ月連続で、高水準での推移が続いています。
ただし日銀は、植田総裁体制下で初めてとなる4月会合で、金融政策のフォワードガイダンスに「賃金の上昇を伴う形で」物価安定目標を実現すると明記しています。しかしながら、5月の毎月勤労統計調査によれば、物価変動を考慮した1人あたりの“実質賃金”は前年同月比1.2%減でした。マイナスは14カ月連続です。基本給が28年3カ月ぶりの伸び幅となり、実質賃金の減少幅が4月の3.2%から縮んだとはいえ、物価上昇に給与の伸びが追いついておらず、実質賃金の減少が続いています。
このため、7月の金融政策決定会合で示す「展望リポート」で物価見通しを上方修正されたとしても、政策修正が見送られる可能性は低くはないでしょう。よって、修正に踏み切る確率は5分5分だと見ています。つまり、正直どうなるかわかりません。
7月21日発表の6月の米CPIの結果によっては、
円高が進行して日経平均株価の下押し圧力が強まる可能性も
そうは言っても、米国の長期金利の上昇一服と、日本の長期金利の上昇基調を反映して、外国為替市場では円高・ドル安が進行しており、市場は日銀の政策修正を先回り的に織り込んでいます。実際、6月30日に一時1ドル=145円07銭をつけた為替レートが、7月14日には一時137円24銭の円高水準をつける場面もありました。この円高は、自動車などの輸出関連企業の収益圧迫要因であり、日経平均株価などの株価指数の上値圧迫要因です。
そして、7月21日発表の6月の米CPIを受け、日銀の政策修正観測が一段と強まるケースでは、一段と円高が進行するリスクが高まります。そうなると、日経平均株価の下押し圧力がさらに強まることになると見ています。
日経平均株価については、7月10日の下落で、典型的な天井のチャートパターンである「ダブルトップ」が形成されました。一番天井は6月19日の3万3772.89円、二番天井は7月3日の3万3762.81円で、ネックラインは6月27日の3万2306.99円です。10日以降の終値は、11日が3万2203.57円、12日が3万1943.93円、13日が3万2419.33円、14日が3万2391.26円、そして18日が3万2493.89円でした。つまり、現状は「ネックライン」の攻防になっていると見ています。
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7月18日時点で日経平均株価の25日移動平均線(18日時点で3万2970.62円)は、4日連続で上昇しています。しかしながら、18日終値は3万2493.89円であり、25日移動平均線を下回っています。このため、今後「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」の状態に変化するまでは、調整局面が続くと見ています。
一方、7月12日の安値3万1791.71円を割り込まずに推移できるようであれば、値幅調整は回避され、時間調整で済むと考えられます。この場合の想定レンジは、下値が3万1791.71円、上値が25日移動平均線です。
しかし、3万1791.71円を割り込むケースでは、想定される天井の3万3767.85円(={3万3772.89円+3万3762.81円}÷2)からネックライン(3万2306.99円)までの下落幅(1458.86円)と同じ値幅分、ネックラインから下落する可能性もあると考え、3万848.13円(=3万2306.99円-1458.86円)付近までの下落を覚悟しましょう。
新指数「JPXプライム150指数」の構成銘柄は、
「長期投資に適した銘柄群」として要チェック!
最後に、物色面では、7月3日から算出が開始された新指数「JPXプライム150指数」の構成銘柄に注目しています。
「JPXプライム150指数」は、東証プライム市場に上場する時価総額上位の銘柄を対象に、「資本収益性」と「市場評価」という2つの観点から選定した銘柄で構成される株価指数です。具体的には、ROEと株主資本コストの差である「エクイティ・スプレッド」と、「株価純資産倍率(PBR)」を活用して、価値創造が推定される時価総額上位の企業を選定する「時価総額加重型」の指数となっています。
つまり「JPXプライム150指数」の構成銘柄は、長期投資に適している銘柄群と考えます。「JPXプライム150指数」構成銘柄のなかから、あなたが「これっ!」と感じた銘柄を選定して、長期的に好パフォーマンスを叩き出すことを祈っています。
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