[東京 30日 ロイター] - 日銀の氷見野良三副総裁はロイターのインタビューで、物価高の要因として足元は輸入物価上昇を背景とする価格転嫁が主流だとした上で「人手不足や需要の強さ、企業の価格設定行動の変化といったものの兆しがみられる」と指摘、これらの新しい要素がどれくらいの比率で物価高に効いているのかを見極めることが大事だと語った。現状では金融緩和を続けていくのが「とるべき道だ」との考えを示した。
氷見野副総裁が報道機関の単独インタビューに応じるのは3月の就任以来、初めて。
日銀は消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の対前年比伸び率について「今年度半ばにかけてプラス幅を縮小していく」としているが、7月の金融政策決定会合ではこのシナリオを修正するかが焦点の1つ。氷見野副総裁は物価について「これから出てくるデータをよく見極めていきたい」とし、今後発表されるCPIや日銀短観に加え、地域の企業経営者などの声を聞く機会となる日銀支店長会議なども参考にしたいと話した。
日銀は4月以降、金融政策の先行きについて「内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していく」としている。
物価に影響を及ぼす為替や長期金利の変動が大きくなった場合、「機動的な対応」を取ることになるのかとの質問に氷見野副総裁は「市場のもたらすメッセージは注意深く読み解いていかなければならない」と述べつつも、政策対応は「経済・物価・金融情勢全体のメインシナリオとリスクシナリオの両方を考えて総合的に判断していくことになる」と話した。
イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正の是非、修正する場合の具体策についてはコメントを「差し控えたい」とした。
金融庁長官経験者として初めて副総裁に就任した氷見野氏は「現在、日本の金融システムは全体として安定した状態にある」と評価する一方で、金融システムを見る上でのリスク要因として低金利環境の持続を挙げた。金融緩和からの出口戦略と金融機関の収益については「移行過程で長期保有債券の含み損が増えることはあるが、基本的にはずっと低金利が続くよりビジネスモデルが考えやすい世界に移っていく」との見方を示した。
インタビューは28日に実施した。
(和田崇彦、木原麗花)
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