大規模な金融緩和を継続しながら、その副作用をどのように和らげていくか。難しい課題を抱えて、日本銀行の新たな体制が発足した。
日銀の新総裁に、経済学者の植田和男氏が9日付で就任した。3月に着任した氷見野良三、内田真一の両副総裁と合わせ新体制が整った。任期は5年だ。
日本経済を取り巻く環境は、大規模な金融緩和策を始めた10年前から、大きく変化している。
コロナ禍からの経済の回復やロシアのウクライナ侵略の影響で、世界的にインフレが進んだ。米欧の中央銀行が利上げを進める中、日銀は金融緩和を続けている。
植田氏は、2%の物価上昇を目標とする現在の政策を維持する意向だが、緩和策は副作用が目立ってきた。円安を招き、物価高に拍車をかけたとの批判もある。
植田氏は、金融緩和を続ける理由について、国民にわかりやすく説明してもらいたい。
12日からは、米国での主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に参加予定だ。今月下旬には総裁として初の金融政策決定会合に出席する。植田氏は丁寧な情報発信に努めてほしい。
政策運営では、金融緩和の副作用を軽減していくための具体策が問われることになる。
超低金利が銀行の収益を悪化させたほか、日銀が国債を大量に購入したことで国債市場にひずみが生じたとされる。長期金利を抑え込む政策によって国債の利払い負担が減り、国の財政規律の緩みにつながったとの指摘もある。
植田氏は、国債市場のひずみなどの副作用について、国会で「否定できない」と述べ、政策の修正に含みを持たせた。ただ、その方法には言及していない。
現在の政策の効果と悪影響をしっかり点検した上で、政策を柔軟に修正していくことが大切だ。
米国では3月に中堅銀行の破綻が相次ぎ、信用不安が欧州の金融大手に飛び火した。今も世界で金融不安がくすぶっている。
米銀の破綻は、米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な利上げが一因とされている。
日銀も昨年12月、0%程度に誘導している長期金利の変動幅の拡大を容認し、市場では利上げと受け止められた。今後の政策修正では、その変動幅の再拡大が焦点の一つになるとの見方がある。
日銀は、政策を修正する際、金融市場や金融機関の経営に混乱が生じないよう、細心の注意を払わなければならない。
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