2023年のドル・円相場は年初から下落トレンドが鮮明になりつつあります。年明けの値動きが必ずしもその年を象徴するわけではありませんが、今年の下落方向は必至のもようです。現時点で年末120円付近への下落が見込まれています。
今年1月3日の取引で、ドル・円は円買い・ドル売り優勢となり節目の130円を割り込み、一時129円半ばまで値を下げました。東京市場はまだ正月休みのため、手薄な買いを狙った短期筋の仕掛け的なドル売りとみられます。年末の報道によると、日銀は今月17-18日開催の金融政策決定会合で2023-2024年度の物価見通しを上方修正する方向。日銀の新体制に向け緩和修正をにらんだ円買い圧力が強まりました。
年明けのドル・円の急落といえば、「フラッシュ・クラッシュ」を想起します。4年前の2019年1月3日アジア取引時間帯の早朝、米アップルが業績予想の下方修正を発表すると、急激な勢いのリスク回避の円買いが進み、ドル・円は108円後半から一時104円付近まで値を下げました。その前年がレンジ相場となった反動からメディアでは「波乱の幕明け」と報じられましたが、結局は動意の薄い1年でした。
ただ、今年は年初の相場がそのまま年末まで続きそうな気配です。日銀は12月19-20日に開催した金融政策決定会合で、長短金利操作で長期金利の許容変動幅を0.25%から0.50%に拡大。4月以降の日銀新体制に合わせこれまでの緩和的な金融政策を徐々に修正していく方向と考えられています。日米金利差縮小に伴うドル売り・円買いで、ドル・円の下落基調は春先に向け大きく進みそうです。
不透明なのは米連邦準備制度理事会(FRB)サイドの要因です。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標について利上げ幅を縮小しながらも、年半ばまでに4.75-5.00%に達した後は年内の政策金利は据え置き、利下げは2024年に入ってからというのがメインシナリオです。ただ、足元の低調な経済指標からは年後半の利下げの前倒し実施は避けられないとの見方も浮上しており、想定以上に米国経済が弱いとドル売り要因になります。
当面の注目材料としては今月下旬発表の米10-12月国内総生産(GDP)で、7-9月期のプラスを維持できるか注目されます。伸びが鈍化した場合には2023年後半とみられるリセッション入りの前倒しが警戒され、ドルの下押し要因となりそうです。インフレのピークアウトに関しても当局者間で認識が異なっているようです。タカ派一辺倒の姿勢は崩れ、現時点では年末120円との見方に集約されつつあります。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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