日銀は23日、大規模な金融緩和の一部修正を決定した2022年12月19、20日開催の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。政策委員の一人は「市場機能がどれだけ改善するのか、謙虚にみていくことが大切だ」と指摘し、修正の効果を慎重に見極める必要があるとの認識を示した。
日銀はこの会合で長期金利の上限を0・25%程度から0・5%程度へ引き上げると全会一致で決定した。委員らは修正の背景について「債券市場の機能低下」を挙げ、「金融環境に悪影響を及ぼし、金融緩和の効果を阻害するおそれがある」との判断で一致した。
複数の委員からは「長期金利の変動幅の拡大は金融緩和からの出口に向けた変更ではないことを明確に説明する必要がある」との意見も出た。ただ、政策修正が公表されると、市場では「日銀が政策を再修正する」との観測が広がり、長期金利が0・5%を超える状況が頻発。市場との意思疎通には課題を残した。
また、ある委員からは大規模緩和策について「現時点では継続が適当だが、いずれかのタイミングで検証を行い、効果と副作用のバランスを判断していくことが必要だ」との発言があった。政府・日銀が掲げる2%の物価安定目標についても「消費者物価上昇率の数字をどこまで厳密に扱うべきか、議論の余地がある」との指摘も出た。
円安や資源高により22年4月から9カ月連続で前年同期比で2%を超える物価上昇が続くが、日銀は23年度以降は2%を再び下回ると見込む。「2%目標は未達成」として大規模緩和を続ける一方、政府は物価高対策に追われている。日銀との政策の方向性がちぐはぐに感じられることを意識した発言とみられる。
加えて、政府側(財務省、内閣府)からの出席者の申し出で会合が約40分間中断したことも判明した。その後、内閣府は「政策の趣旨について丁寧に説明することが重要」などと意見を述べた。
鈴木俊一財務相は23日の閣議後記者会見で「発表前に報告があった」と述べ、事実上の利上げの修正について事前に報告があったことを明らかにした。16年1月にマイナス金利導入を決めた会合でも政府側の要望で一時中断があり、その間に財務相らに報告された経緯がある。【杉山雄飛】
からの記事と詳細 ( 日銀、12月の金融政策決定会合の要旨公表 緩和修正巡るやり取り - 毎日新聞 )
https://ift.tt/zs5HThY
No comments:
Post a Comment