安倍元総理が急逝したことで、愛弟子・高市早苗自民党政調会長の今後が風雲急を告げている。
自民党関係者が言う。
「高市氏は昨年、総裁選に出馬の際、『安倍さんにもう一度総理をやってほしい。断わられたから代わりに私が出馬します』と公言したほどの安倍崇拝者。一方の安倍氏も、思想信条が合い勉強家の高市氏を引き立てようとした」
高市氏がどれほど安倍氏を頼りにしていたか、具体的に見てみよう。
「昨年の総裁選における高市氏の推薦人は、当時の細田派、今の安倍派で安倍シンパの西村康稔経済再生担当相を筆頭に7人もいた。ほか無派閥や他派閥議員もいたが、城内実氏などいずれも安倍シンパの議員が名を連ねている。しかも総裁選では188票で岸田総理、河野太郎氏に次ぐ3位だったものの、国会議員票では114票で河野氏の86票を大きく上回っている。これは当時、安倍元総理が『安倍フォン』を方々にかけまくったためと言われた」(前出・自民党関係者)
そして、その後の党人事でも安倍氏が岸田総理に「高市政調会長を」と鶴の一声をかけたともっぱら。そのため次の総裁選も高市氏は安倍氏の力を背景に「初の女性総理」に邁進すると見られていた。高市氏は今回、その最大の後ろ盾を突然失ったわけだ。
「もともと高市氏は、今の安倍派、清和政策研究会(清和会)に所属していましたが、11年に脱会し無派閥になっています。その理由は、当時清和研会長の町村信孝氏を総裁選に担ぐ動きに賛同できなかったため。清和会の中には彼女に反発の声もありました」(政治部記者)
そのため昨年、総裁選で安倍氏が「高市君を頼むよ」と依頼してもクビをタテに振らなかった安倍派メンバーも多かったという。
「その頼りの安倍元総理が亡くなったわけだから、今後の高市氏は相当厳しい」(前出・自民党関係者)
しかし、ここで別の見方をする人も。安倍派関係者はこう言う。
「彼女ほど政策を勉強し日本の将来を心配している政治家は少ない。ハートも強く弁も立つため、協力議員は派閥横断的にいるのでは。特に昨年の総裁選で高市氏の推薦人になり『日本の尊厳と国益を護る会』代表の青山繁晴氏は、安倍氏に近かった。この『護る会』には現在、派閥横断的に70人を超える国会議員がいる。高市氏に十分チャンスはあるよ」
岸田総理が、その高市氏を8月人事でどう処遇するか、安倍派会長人事とともに目が離せない。
(深草出)
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