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Sunday, June 19, 2022

〈社説〉食べログの評点 透明性確保が欠かせない|信濃毎日新聞デジタル - 信濃毎日新聞デジタル

 グルメサイト「食べログ」の対応が、独占禁止法違反に当たると認定された。

 サイトに掲載されている飲食店が、評点を不当に下げられ客が激減したとして、サイト運営会社に損害賠償を求めた訴訟だ。

 東京地裁は、詳細非公開のアルゴリズム(計算手法)に基づく評点の修正が、独禁法が禁じる優越的地位の乱用に当たると指摘。運営会社に賠償を命じた。

 1カ月の利用者が8700万人に上り、内容に経営を左右される掲載店も多いサイトだ。運営会社は、その影響力に見合った責任を再認識しなければならない。

 アルゴリズムの詳細を飲食店側が知らず、なぜその評価になったのか理解が全く得られていない点が問題となった。一方的なやり方では恣意(しい)的に評価していると疑われても仕方ないだろう。透明性を高める努力が欠かせない。

 訴えたのは、焼き肉チェーン店を営む「韓流村」(東京都)。2019年5月、月2回の更新の際に突然、チェーン各店の評点が軒並み下がっているのに気付いたという。食べログ側から明確な回答を得られず、赤字も出るようになり、訴訟に踏み切った。

 食べログは評点の算出方法について、投稿を繰り返すユーザーの影響度を補正するなどの工夫を施し、独自の手法を組み合わせているとサイト上で説明。詳しくは明らかにしていない。

 訴訟で、チェーン店の評価を一律に下方修正するアルゴリズムの変更が地位の乱用とされた。

 各種グルメサイトを巡って、公正取引委員会が2020年に報告書を公表している。評点の公平性に飲食店側から疑問が出ているとし、可能な限りの決定要素の開示や、第三者によるチェック体制の整備が望まれるとした。

 IT技術で経済活動の基盤を提供する企業はデジタル・プラットフォーマー(DPF)と呼ばれ、近年、影響力の大きさから規制の在り方が課題になっている。

 DPFは運営するサイトを通じて膨大なデータを収集し、独自のアルゴリズムを使って消費者に情報提供している。通販サイトなどで関心の高い商品が優先的に表示されるのもこのためだ。

 今回の判決は、DPFの多くが企業秘密にしているアルゴリズムという重要な技術に関する、初の司法判断とみられる。

 DPF各社はグルメサイト以外にも当てはまる課題と受け止め、利用者の視点からサイトの在り方を見直していく必要がある。

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