国の基幹統計「建設工事受注動態統計」で二重計上など不適切な処理が行われていた問題で、国土交通省が設置した検討会議は、同統計の年間受注額が最大5・1兆円(6・6%)過大に計上されていたとの試算をとりまとめた。政府関係者への取材でわかった。国内総生産(GDP)の算出に使われる「建設総合統計」への影響は最大0・6%にとどまる。GDPへの影響はさらに軽微になる見通し。
建設工事受注動態統計での国交省の不適切な処理は昨年12月に発覚。2013年4月~21年3月、全国の建設業者が毎月提出する調査票を基に集計する受注額について、期限までに提出されなかった月は推計値で処理する一方で、遅れて届いた調査票の数値を最新の月に合算して書き換える処理を行っており、二重計上が生じていた。
国交省は今年1月、これらが統計にどう影響したかを調べ、遡って修正するための専門家による検討会議を設置。調査票の一部が破棄されているため、書き換える前の調査票が完全に残る20年度のデータを基に試算を取りまとめた。
試算によると、二重計上により過大となった年間受注額(元請けと下請けの合算)は、時期により幅があるが、2・8兆~5・1兆円だった。年間受注額は80兆円程度のため、変動幅はプラス3・6~6・6%だった。最終的にGDPに影響する元請けの受注額のみで見ると、影響は最大5・3%だった。
一方、建設工事受注動態統計から算出され、GDPに反映される建設総合統計への影響はマイナス0・3%~プラス0・6%の幅にとどまった。建設総合統計では、元請けの受注額しか反映されない上に、受注額を直接用いず、施工した工事金額にあたる「出来高」に換算するためという。
内閣府によると、GDPに占める建設分野の割合は1割程度で、建設総合統計が反映されるのは、さらにその一部となる。政府はこれまで「GDPへの影響は限定的」との見方を示しており、これを裏付ける結果となった。
国交省は、検討会議のとりまとめを基に、今年夏から秋頃に13年度以降の建設工事受注動態統計と建設総合統計について修正する方針だ。
からの記事と詳細 ( 国交省の統計不正、年間で最大5・1兆円を過大計上…GDPへの影響は軽微 - 読売新聞オンライン )
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