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Wednesday, November 3, 2021

米FRB「量的緩和」縮小を決定 物価上昇は長期化する可能性示唆 - 朝日新聞デジタル

ワシントン=青山直篤

 米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、金融政策の一環で米国債などを買い入れて市場に資金を流す「量的緩和」の縮小を決めた。今月から始める。コロナ危機に対応するため昨年3月に導入した「有事」の金融政策から、米経済の回復を背景に正常化へと向かう道のりの第一歩を踏み出す。

 同日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国債などの資産を毎月計1200億ドル(約14兆円)買い入れていたこれまでの購入ペースを鈍らせていくことを全会一致で決定。11月から購入額を月計150億ドルずつ減らし、2022年半ばにはFRBの資産拡大を止める。その後、ゼロ金利の解除(利上げ)による本格的な正常化に入る見通しだ。

 米経済はコロナ危機後、20年後半から回復基調にあったが、21年に入り、物流の混乱や感染リスクへの懸念などから製品や労働力の供給制約が問題化。物価上昇がFRBの想定を超えて加速した。FRBのパウエル議長はFOMC後の記者会見で「世界的な供給網が正常に働くようになる時期はきわめて不確かだ」と指摘。物価上昇の勢いが和らいでいくのは22年4月以降になるとの見通しを示した。FOMC後の声明では従来「一時的」とみてきた物価上昇の加速について「一時的と見込まれる」と表現を弱め、長期化する可能性を示唆した。

 FRBの金融緩和は経済の需要を前倒しする政策で、供給制約への解決策にはならない。市場に資金をあふれさせ、物価上昇を激化させる副作用ももたらす。量的緩和の縮小にはその副作用を和らげ、経済を引き締め方向へ軌道修正する意味がある。

 パウエル氏は「月計150億ドル」から始まる資産買い入れの減額ペースも、景気動向を見極めつつ柔軟に変更する可能性があると説明した。金融市場の大勢は量的緩和の規模縮小が終わった後、22年末までに2回以上の利上げを見込む。

 米国債住宅ローン担保証券(MBS)などの資産購入を通じて市場にお金を流す量的緩和は、08年のリーマン・ショック後、景気を支える異例の金融政策として3次にわたり進められた。FRBはこの経験を踏まえ、20年3月にコロナ危機が起きるとただちに、ゼロ金利政策とあわせて量的緩和を再び導入。長期金利を低く抑えることを通じて投資を刺激するなどしてきた。(ワシントン=青山直篤)

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