子どもに「食事のマナー」を身に付けさせるのに苦労する親は多いと思います。例えば、食事中、子どもがすぐに席を立ったり、騒いだりするなどのケースがあるからです。子どもに食事のマナーを身に付けさせるために、親はどのように対処すればよいのでしょうか。コツや注意点について、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。 【写真】子どもの食事のときに便利なグッズ
親が食べさせ続けるのはNG
Q.まず、子どもの食事中の態度で、親が悩むことが多い事例について教えてください。 佐藤さん「子どもを育てる上で、食事は基礎的な生活習慣の中で大きなウエートを占めるため、赤ちゃんの頃から、食事に関する悩みは尽きないものです。『母乳やミルクを飲みたがらない』という悩みから始まり、その後は『手で食べるときに料理をぐちゃぐちゃにする』『好き嫌いが激しい』『とにかく食べてくれない』『時間がかかる』『食べ物や飲み物を投げる』などの悩みが生じます。 食事マナーという視点からは『食事中に座っていられない』『テレビにくぎ付けで食事が進まない』といった悩みも多いです」 Q.子どもに正しい食べ方や着席の習慣を身に付けさせるコツについて、教えてください。 佐藤さん「離乳食が始まった頃、子どもは親にスプーンで口元に食べ物を運んでもらいますが、慣れてくると自分で食べたがることも多くなるので、それを機に『手づかみ食べ』を取り入れる家庭も多いようです。食事をする上で、その子が自分で食べることはとても大事で、それを最もシンプルな形で実現できるのが手づかみ食べです。食べ物を自分で食べる練習は1歳半ごろから始まっているといえます。 ただし、この時期は自分でスプーンが使えないこともあっての手づかみ食べでもあります。最近、『手づかみ食べはよい』と言われていますが、それが逆に『(手づかみ食べを)させないとダメなのか』といった戸惑いを生じさせているようです。しかし、手づかみ食べはあくまで選択肢の一つであり、必須ではありません。子どもがスプーンを使って食べたがっているのであれば、わざわざ、手づかみ食べをさせる必要はないわけです。 いずれにしても、2歳ごろからスプーン、フォークに徐々に慣れさせていきましょう。箸はスプーン、フォークと比べると難しいので、子どもの手指の機能が十分に発達してから練習させるのが望ましいです。早い時期から使わせて、変な癖がついてしまうと、後々修正するのが大変になります。6歳ごろをめどに使えるようになればよいと思います。 着席して食べる習慣を身に付けるには最初の環境が肝心です。離乳食のときから、子ども用のベルト付きの座席を用意し、座って食べることを学ばせることをおすすめします。そうすることで『食事は座ってするものだ』という認識を持つように自然と促せるからです。特に、床に座って食事をするご家庭は子どもが自由に立ち上がれる分、離席する癖がつきやすいので、先を見据えて、赤ちゃんの頃から、専用の座席を用意するとよいでしょう」 Q.最初は子どもがなかなか、食事のマナーを身に付けてくれず、うまくいかないことも多いと思います。その際、親が意識すべきことは。 佐藤さん「食事マナーに限ったことではありませんが、子育ては『最終形』を意識して進めると、子どもを導きやすくなります。親が子どもに食事のマナーとして学んでもらいたいのは、きちんと着席し、自分でフォークやスプーン、箸などを使って食べることでしょう。それをできるだけシンプルにやり遂げるにはどうしたらいいかを考えて、道筋を立てるわけです。手づかみ食べの件もそうですが、箸のトレーニンググッズなどを必須アイテムとせずに『うちの子に必要か』という視点で必要なものを選んでいくのがおすすめです。 そして、何よりも場数をこなすのが大事です。私は子どもが小さい頃、フランスに住んでいたのですが、幼稚園の給食で、早くもナイフが登場したことには驚きました。フランスはグルメの国だけあって食育も盛んで、幼稚園の給食でも、子どもたちが自ら、ナイフやフォークを使って、前菜やメイン、デザートを食べるのです。小さいうちから、座って、時間をかけて食べることが習慣となっているので、自然と食事のマナーが身に付くのでしょう。 また、現地のレストランに行ったときも、子どもが離席するような光景は見られませんでした。そういう点からも、子どもが小さい頃から、最終的に目指す形を意識して場数をこなしていくのが、食事マナーを身に付ける上で非常に大事だと考えています」 Q.子どもが食事のとき、すぐに離席したり、騒いだりする場合、親がやってはいけないことは。また、飲食店で、子どもがマナー上、あまり好ましくない態度を示した場合はどう対処すればよいのでしょうか。 佐藤さん「小さいうちは、口頭で注意するだけでは伝わりにくいものです。『立って食べないで』『騒いじゃダメ』といくら言葉で言っても、立っていても食べられる状態や騒いでいられる状態が維持できる場合、結果的に子どもには『立って食べても大丈夫なんだ』『騒いでも許される』と覚えてしまいます。 典型的な例としては、子どもが立ち上がったのに、親がスプーンで『あーん』と食べ物を食べさせているケースです。その子自身は立ったまま食べられる状態なので、いくら言葉で注意しても、その言葉は矛盾したものになってしまうのです。特に、食の細い子どもの場合、親としてはスプーンで口に運んででも食べさせたいという思いがあるものですが、それをやってしまうと、立って食べるのを容認することになるので注意が必要です。 また、子どもは自分で食べるコツを学ぶ機会を逃してしまいます。先述のように、できるだけ早い段階から、子どもの専用の座席を用意することをおすすめします。外食先で子どもが騒ぐなどのトラブルが発生した場合、すぐに食事をやめて、潔く退店するのが子どもにとって一番学びになります。実際にそこまでできる家庭は少ないですが、外食が好きな子であれば、言葉以上に説得力があります」 Q.食事のマナーは大人になってからでも改善できるのでしょうか。もし、改善できる場合、どのような対策が求められるのでしょうか。 佐藤さん「大人になってから改善することもできます。ただし、長年の習慣を直すには、本人の多大な努力が必要になります。例えば、口を開けたままクチャクチャとかむ癖は大人になると、だらしない印象を与えてしまうものです。意識さえすれば、口を閉じてかむことは難なくできますが、油断するといつもの癖が出てしまいます。そのため、マナーを改善できるかどうかは、本人の意識次第でしょう。 食事のときの癖を意識するには、スマホで自分が食べる姿を撮影するのがよいかもしれません。撮影した動画を見ると、手元や口元だけでなく、姿勢までもが気になることは多いものです。これまで気にしていなかった人でも、実際に見たらがっかりしたことはけっこうあると思います。食事のときの癖を改善したい人は一度試してみてはいかがでしょうか」
オトナンサー編集部
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