登場してから10年が経つウルトラマンゼロが活躍する作品を1つにまとめた『ウルトラマンゼロ Blu-ray BOX』が4月に発売される。このことを記念して、『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010)にてウルトラマンゼロ初の人間態であるランを演じた小柳友さんと、ランの弟・ナオを演じ、その後『ウルトラマンジード』で朝倉リクを演じた濱田龍臣さんに、当時を思い出していただき、ウルトラマンゼロについて語っていただいた。
小柳さんはでっかいお兄ちゃん!
——今回はウルトラマンゼロの作品だけを集めた『ウルトラマンゼロ Blu-ray BOX』が発売されます。ちょっとお時間経っていますが、記憶を遡っていただいて、そもそも『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』に出演された経緯はどういう形だったんでしょうか。
小柳 10年前なので、記憶が不確かなところもあるのですが、僕はオーディションで決めていただきました。当時堀越学園に通っていたんですが、「あれ、友もオーディション行ってたんだ。俺も受けたけどさ、友に決まったのか」って同級生に言われて、すごく大々的なオーディションだったことを知りました。龍臣くんはどう?
濱田 全然覚えてない。
小柳 そりゃそうだ(笑)。
濱田 ただ覚えてるのが、円谷プロさんの本社で当時社長だった大岡(新一)さんから、「この作品はね……」というお話をお聞きしたんですよね。
小柳 じゃあナオ役は決まってたんだね。
——当時からウルトラマンがお好きだったんですよね。
濱田 そうですね。『ウルトラマンマックス』(2005)、『ウルトラマンメビウス』(2006)を観ていて、その後も『ウルトラマンボーイのウルころ』とか、DVDでいろいろ観ていたころです。
小柳 ……オタクだよね(笑)。
濱田 オタクですね(笑)。
小柳 龍臣くんは当時、ずっとウルトラマンの人形を持っていて、「これがウルトラマン●●で」って教えてもらってましたよ。僕はアメコミが好きで、『ミュータント・タートルズ』とかそういうものが好きだったので、あまりウルトラマンシリーズを観てなかったんですが、唯一家にあったのが『ウルトラマンUSA』。すごく渋い。
濱田 『USA』なんですね!
——おふたりが初めて会ったときのこと覚えていますか。
濱田 衣装合わせか、本読みかな?
小柳 僕が覚えているのは、帽子をかぶった龍臣くんが、お母さんと一緒に「おはようございます!」って入ってきて。可愛くて可愛くて。水筒を斜めがけにして持っていたんですが、僕の記憶では確かそれがウルトラマンだったような気がするんですが。
濱田 水筒はかけてたんですが、ウルトラマンだったのか、確証がないんですよね。もしかしたらウルトラマンのときの水筒カバーだったかもしれないし。全然違うかもしれないし、全然覚えてないんです(笑)。
小柳 こうやって記憶は変わっていくんですね。
——ランとナオというご兄弟の役でしたね。
小柳 兄弟のいる役を、僕はあまりやったことがなかったんです。だから兄っていう立場も初めてで。自分がなれるのかなっていう不安があったんですが、龍臣くんと接してく中で、とにかく可愛くて愛おしくて愛おしくて、いつの間にか兄弟になっていた感じですね。
濱田 僕は人見知りも全然しないタイプでしたよね。
小柳 うん、全然なかった。
濱田 だから一番最初の印象としては、おっきいお兄ちゃん。本当に、「でけえ!」って思ってました。
小柳 当時の龍臣くんからするとバカでかかっただろうね。
濱田 すごくでかい! って。僕もこんなに身長高くなりたいなって思うくらい格好いいお兄ちゃんだったので、その兄弟役がどうのこうのっていうのは特になかったですね。
小柳 自然となっていった感じですが、その関係を作ってくれたのがアベ(ユーイチ)監督だったと思います。ごく自然に居られる空間を作ってくれていたんだと思います。
(C)円谷プロ
(C)2009「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」 製作委員会
(C)2010「ウルトラマンゼロ THE MOVIE」製作委員会
(C)2011「ウルトラマンサーガ」製作委員会
今までとは違うウルトラマンがきた!
——撮影現場はどんな雰囲気でしたか。
小柳 楽しかったよね。
濱田 すごく楽しかったです。
小柳 撮影は、熊本とかいろんなところに行きました。自分たちが見ている景色は地球じゃないですか、でも撮影した画を見ると惑星アヌーなんです。この不思議な感覚がずっと続いている中で撮影していました。何か思い出してきたね。
濱田 思い出しますね。一番最初のシーンで「アヌー警備隊、出動だね」って言ってるときに僕、生のズッキーニに青い食紅を塗ったものを食べているんです。
小柳 ああ、そうそう!
濱田 それをガリッとかじるんですが、すっごく不味くて。キュウリだったらいいのになぜかズッキーニだったんです。
小柳 そうそう。
濱田 その後しばらくトラウマで、2〜3年ズッキーニ、焼いても食べられなかったですね。
小柳 そりゃそうだよね(笑)。
濱田 あれはとにかく不味かった(笑)。
小柳 暑い時期の撮影だったから常温だし(笑)。
濱田 余計に(笑)。カットになった瞬間にコップ持ってきてもらって。あれは苦しかったですね。
——小さい子なら嫌いな野菜に入る部類ですよね。
濱田 そうそう、初めて食べたんですよズッキーニ。「これがズッキーニ!」って。
小柳 すっごく嫌な顔をしてたのを覚えてる。
濱田 わかりやすいくらい嫌な顔をしていましたね。
小柳 本番中に一生懸命食べてるのも可愛いじゃないですか(笑)。
濱田 大変でしたね。
——グリーンバックでの撮影はありましたか。
濱田 そんなになかった気がします。鏡の国のシーンは全部グリーンバックでしたね。
小柳 そうだね。僕はベリアルとのやり取りはグリーンバックでした。
——特撮ならではの撮影だと思いますが、戸惑いはなかったですか。
小柳 大変でしたね。そう、思い出した。三角形のドアのストッパーみたいな緑の箱が置いてあったんですよ。それを手にとって「なんだろう」って思っていたら「それ、宇宙だよ」ってアベ監督に言われたんです。「どういうことなんだろう?」って思っていたら、引きの画を撮るときに、かかとが浮いていると宙に浮いているように見えるので、かかとにかませるための箱だったんです。「これが宇宙なんだ!」って思って、めちゃくちゃ興奮したのを覚えています。
——そうした工夫で宇宙空間を表現していたんですね。
小柳 ちょっとしたことだと思うんですが。それだけで全く変わるっていうのが面白いなと思いましたね。
——最初にウルトラマンゼロのビジュアルを見たときはどんな印象でしたか。
小柳 格好いいなって思いましたね。あとは尖ってるなって。僕の考えなんですが、人間の内面って外見に出ると思うんです。そう考えると、ゼロってそういう人なのかなって思っていたら、実際そうでしたね。なんていうか、イケイケっていうか不良っぽいというか、尖ってるものがありましたよね。
——当時にはいないタイプのウルトラマンでした。
濱田 「今までとは違うウルトラマンがきた!」って思いました。それにセブンの息子って聞いて「ああ(なるほど)」って納得しました。体型もそうですし、胸のあたりの造形もセブンらしさがあって。すごく格好いいなって思っていました。
——やんちゃな感じで強いのが、当時の子ども達やウルトラファンにうけて、人気が出ました。
濱田 すごいですよ。
小柳 未だに人気があるっていうのが。すごいよね。
濱田 ステージショーでもゼロが登場すると、歓声がすごいんです。
小柳 やっぱりゼロが入ってくると空気が変わる感じ?
濱田 変わりますよ。ズルいですよ(笑)。
小柳 ジードも出てるの?
濱田 出てたり出てなかったり…。
(C)円谷プロ
(C)2009「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」 製作委員会
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ゼロは元カノ!?
——濱田さんは2017年に『ウルトラマンジード』で朝倉リクを演じ、再びゼロと共演することになります。ナオとリクとでは全然違うと思います。
濱田 前の作品を、あまり気にせずに演じました。思い出そうとしてもあまり覚えていなかったですけど。
小柳 そうだよね。
濱田 覚えていないし、監督にも特に注意的なことは言われなかったので。
小柳 そう言えば、ジャンバードとしゃべってる感じとか、設定が少し似てるところがあるっていうのは、ちょっと意識してるんじゃないかなっていう気がしてたんだよね。
濱田 ああ、言われて気づきました。『ジード』を撮っている時は気にしていなかったですね。そうだ、第1話で「大きくなったね」って言われるシーンがあるんです。
小柳 そうそう。あれいいなって思ったんだよ。「その通り!」って思った。
濱田 (笑)。テレビ放送後にニコニコで第1話の配信を観ていたら、「(大きくなったねに対して)それな」って。「おかえり」って書いてもあって、それがすごく嬉しかったです。
小柳 それはいいね。
——映画『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』でもウルティメイトフォースゼロとの共演シーンで、ジャンボットが『おっ!」っと思わせてくれる描写がありましたよね。
濱田 ありましたね。台本の準備稿をもらった日に現場で読んでいたんですが、思わず吹き出しました(笑)。ひとりで大爆笑してました。あのシーンのアフレコの日、昔のスタッフさんたちが集まっていて、「大きくなってたね!」っていう話題でもちきりだったと後日聞きました。
小柳 そうなると同窓会みたいなものですよね。
——大きな小柳さんに憧れてた濱田さんが、すごく大きくなっちゃいましたからね。
小柳 大きくなってる! 僕より大きくなると、本当に私生活大変だよ(笑)。服がないとか頭をぶつけるとか、結構悩むから、今くらいがちょうどいいよ。
濱田 よく言われるんですが、本音としてはもうちょっと欲しかったなって思うんです。
——今も伸びてますか。
濱田 全然伸びてないんです。
——以前、潘めぐみさんと対談していただいた時(一昨年前の3月末収録)まだ伸びると思っていました。
濱田 伸びませんでしたね。僕178センチあるんですが足のサイズが26.5なんですよ。身長の割に小さいんです。
小柳 そうなんだ。俺も187センチくらいある割に足は28くらいなんだよね。これくらいの身長だと30くらいある人が多いんですが。
濱田 僕の身長でも27は普通にある人が多いですね。父親が183センチなんですが、僕より足が小さいんです。足が小さめなんですよね。
小柳 そういう家系なんだね。
——ゼロってちょっと変わったウルトラマンで、作品ごとに人間態が変わっているんです。「一番最初は俺だ!」っていう意識ってありますか。
小柳 その後のゼロを見ていると、ちょっと嫉妬はしますよね。ちょっと例えが悪いかもしれませんが、前の彼女が結婚したみたいな(笑)。DAIGOさんの作品を観て羨ましいく思ったのが、ゼロと話すことができたことですね。ランはゼロと一体化している時は意識がなく、もちろん会話もできなかったので、羨ましかったですね。『ジード』でレイトを演じた小澤(雄太)さんもそうですし。小澤さんの演技は素晴らしかったです。こうやってやるんだって、悔しさもありました。宮野真守さんの声に合わせた小澤さんの芝居、これは落語をやってる感覚なのかなって想像したり。すごく難しい役を上手くやられていましたよね。
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50年後も変身します!
——小柳さんのウルトラシリーズとの出会いは。
小柳 先程もちょっと話ましたが、『ウルトラマンUSA』が僕の中のウルトラマンなんです。『USA』って海外が舞台なので、僕の中ではウルトラマンは日本で戦っているという意識はなかったんです。後から他の作品を知るにつれて、「ウルトラマンって日本なんだ」って思った記憶があります。かなり特殊ですよね。
濱田 変わってますよね。最初のウルトラマンがスコット、チャック、ウーマンベスですから。
小柳 すごい(笑)! すごいねえ、さすが。僕も覚えてなかったくらいだよ(拍手)。
——ゼロが誕生してから10年、ウルトラマンシリーズだと50年以上経っています。小柳さんはアメコミがお好きとのことですが、世界的に見ても50年以上愛されてるシリーズはなかなかないと思います。これだけ愛されてるウルトラシリーズの魅力はどういうところだと思いますか。
小柳 ここはやっぱり、まずは龍臣くんに聞いてみたい。
濱田 そうですね。光が光り続けてるからこそ、光の使者としてウルトラマンが存在しているんです。彼らはいろいろな人間たちと関わり、迷ったり悩んだりもするのですが、ウルトラマンで居続けようという変わらない意志が彼らにある限り、ウルトラマンで有り続けるわけです。視聴者たちもそのウルトラマンのあり方を求めてるんですよね。近年は、そのあり方が配信など新しいメディアに広がって撮られている。50年以上培ってきたこれまでの歴史の中でも、常に「これってどうなんだろう?」という問題提起をしてくれるのもすごく素敵なことです。その中でもずっと「光」という変わらない存在が一番の魅力であって、それが愛される理由なのかなと思います。
——毎年違うタイプのウルトラマンが出てきますが、芯は変わっていないんですよね。
小柳 そして僕は撮影現場で感じたスタッフさんの愛。本当にみなさんウルトラマンが好きで、自分たちが作っているんだという喜びが、ちゃんと表現されてるように思うんです。その中には遊び心もあるんです、脚本にもアクションにも。「こんな武術あるよね」「こんな技もあるよね」「じゃあやってみよう!」と反映されていく。スタッフさんたちに愛があるから、今も続いているんだろうなって思いますね。
そしてまた演者を含めて皆さん楽しそうなんですよね。ひとつひとつ手作りで、新しいことは手探りでやりながら、出来上がりを観て満足そうに帰っていく。これだけ長く続けてこられたのは、スタッフさんのおかげです。
——今や三世代で楽しむコンテンツになっていますからね。おふたりはこれからも関わり続けると思いますが。
濱田 僕はもう50年いけると思います(笑)。
小柳 70歳!
濱田 いけると思います! 変身しますよ! 「ジーッとしててもドーにもならねぇ!」って。
小柳 見たいな。
——絶対やり続けてください!
濱田 もちろんです!
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未来のゼロにも期待したい!
——ウルトラマンゼロがたっぷり詰まったBlu-ray BOX、どういう楽しみ方をしたらよいでしょうか。
小柳 ご家庭のテレビの画質も上がっていることでしょうし、CGがめちゃくちゃすごいのでベリュドラのCGがこんなにすごかったんだって思っていただけると思います。裏話というか、あのCGはたくさんの人で手分けして部分的に作成して、最後にひとつにまとめる作業だそうです。隅々まで楽しんでください。
濱田 観られる方によって違うと思います。どこからウルトラマンシリーズを知ったかによっていろいろ見方が変わってくると思うんです。ずっと追いかけてる方だったら「こんなこともあったね」って言いながら観返せると思うし、ニュージェネから入った方、先輩としてのゼロ、師匠としてのゼロしか知らない方は、「ゼロもこんな時代があったのか」という風に、「若い」っていう新鮮な気持ちで観られると思います。ずっとウルトラマンシリーズが好きな方はもちろん、最近観始めた方にも、ぜひ手にとっていただきたい商品だと思います。10年重ねてきた歴史、それを作って演じてきてくださったキャストの方のお話も聴けると思うので、「ゼロの背中にはこれだけのものがのし掛かりながら戦っているんだな」っていうところを観てもらいたいです。
——なるほど。10年は長いですからね。
濱田 小学1年生が高校生になりますからね。そりゃ僕も二十歳になるなって。
小柳 泣きそうになる。僕、ウルトラマンになりたいっていう子どもに、「君もウルトラマンになれるよ。僕はなれたんだから」って声をかけていた話を劇場版の舞台挨拶などで必ずしていたんです。でも、結果的には僕の一番そばで聞いてくれていた龍臣くんがウルトラマンになった。自分がやってきたことは間違ってなかったなって思えて、今日ここで龍臣くんと話しているのが、すごく嬉しいんです。
濱田 僕にとっても、ゼロは一番身近で見たウルトラマンの背中なんです。そこに一緒に並べるようになったのはすごく嬉しくて、感慨深いです。
——ゼロの10年にもいろんなものが詰まっているのですね。最後におひとりずつメッセージをお願いします。
小柳 まずは、ありがとうございます。本当に感謝です。僕、正直言って、またウルトラマンのお仕事をいただけると思っていませんでした。ゼロが続いてくれたこと、スタッフさんもそうですし、皆さんが支えてくれたからだと思います。これからもっとゼロの先を見たいので、みんなで支えていきましょう。また未来のゼロがどういう存在で現れてくれるのか! ということにも期待したいですね。
濱田 ウルトラマンシリーズ50年の中で、その5分の1を支えてきてくださってる格好いいウルトラマンゼロの10年間の歴史の6本。およそ6年分を見ることができるBlu-ray BOXは、すごく豪華だと思いますし、その中でゼロが積み上げてきたもの、そしてゼロを作り上げてくださった小柳さんをはじめ皆さんの熱いものがすごく込められています。キャストの方はもちろん、スタッフの方も愛し続けてずっと作り続けてきているシリーズです。それをひとつのBlu-ray BOXで見られるのは本当に素敵だと思うので、ウルトラマンを最近知った人にもずっとウルトラマンシリーズが好きな人にも、手にとってもらいたいなと切に思います。
(C)円谷プロ
(C)2009「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」 製作委員会
(C)2010「ウルトラマンゼロ THE MOVIE」製作委員会
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