クビは大丈夫?
まずは12球団の監督、コーチ、選手、そして関係者の皆さん、新型コロナ感染拡大の非常事態の中、シーズン全日程の“完走”ご苦労さま! プロスポーツの中で先頭を切った形だったけど、日本中で、お互いにけん制し合い、様子見している中で、勇気を持って一歩踏み出したのは大きかったと思う。多少のバタバタはあったが、予定のすべてを消化できたのは、ほんとよかった。 で、波乱のシーズン最後を飾る日本シリーズは……、ご存じのとおり、巨人が0勝4敗で大惨敗。原(原辰徳)さん、クビは大丈夫ですか? 監督を辞めたら、また楽しくゴルフしましょうね。 まあ、怒られそうな冗談はさておき、(たぶん)続投の原監督としては、リーグ3連覇とともに日本一奪回が2021年の大命題となったわけだが、最初の関門は、菅野智之のポスティングの行方になりそうだね。2013年、田中将大が24連勝で楽天を優勝、日本一に導いたが、開幕13連勝の菅野は、それに匹敵する貢献度だった。今季の巨人の戦いは数字ほど圧倒的ではなく、俺はずっと「菅野がコケたら皆コケるな」と思っていた。 だからこそ以前のコラムで、相手のエース・千賀滉大との投げ合いを避け、菅野は日本シリーズ第2戦の登板のほうがいいと書いたが、原監督は奇襲を選ばず、王道で進み、壮絶に玉砕した。 楽天は、13年オフ、田中がポスティングシステムを行使してメジャーに行き、翌14年は最下位だった。原監督、まさか二の舞はないですよね。
DH制のホームインは?
今回の日本シリーズの1つの特徴が全試合DH制だ。これはソフトバンクの工藤公康監督から提案があり、巨人が同意したというが、俺は裏で原監督が工藤監督に頼み、工藤監督に言ってもらったんじゃないかと思っている。原監督は、もともとセでもDH制を導入すべきと言っていた人だからね。「パが有利になりそうなDHをなぜ原監督が」と思うかもしれないけど、セでもDHを取り入れるための布石に加え、そのほうが自軍が有利という考えもあったと思う。 今季の打順別打率を調べると巨人は八番が12球団最高の打率.266、九番が12球団最低の.078だった。DHを使って、この唯一のウイークポイント「九番」を埋めたほうが、ソフトバンクの投手を打席に立たせるより、プラスが多いという判断じゃなかったのかな。 俺自身は、これも以前書いたことがあるが、セのDH制には大賛成だ。まず、投手の死球、走塁中のアクシデントのリスクが減る。普段は投手のオアシスになる七、八、九番で手を抜けない以上、常に緊張感の中で投手のメンタル、技術が鍛えられ、あとは代打を出されることがないので、より長いイニングを投げられる可能性が増える。これらで成長がうながされたパの投手が、現在の交流戦、日本シリーズでセの打者を徹底して抑え込んでいるんだと思うしね。 球団のGMを兼ねたような存在であり、セで連覇を飾った原監督の発言力は強い。しかも……こうやって自ら2年連続惨敗したことでセの他球団の危機感も高まっているだろう。いわば、一塁にいた「DH制」という走者を自ら犠牲バントを2回し、進めたようなものかな。つまりは現在、セのDH制は三塁にいるわけだ。果たしてホームイン(導入)はなるのか。 PROFILE 川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38。
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