「40分間戦えたところをプラスにとらえる」
広島ドラゴンフライズがサンロッカーズ渋谷のホームに乗り込んだ週末の連戦は連敗に終わったが、2試合の内容はそれぞれ異なった。
第1戦は前半では拮抗した戦いをしたものの、第3クォーターでSR渋谷のプレッシャーに圧倒され、13-30とビッグクォーターを作らせてしまった。しかし、第2戦では立ち上がりこそ相手のプレッシャーに苦戦したが、その後は点差をつけられても走るバスケットを遂行して勢いを取り戻し、最後までSR渋谷に食らいついた。
キャプテンの朝山正悟は、今節を落としたことで連敗が10に伸び「チームとしてもなかなか厳しい状況が続いています」と現状を受け止めつつも、ネガティブにはならなかった。「第1戦では20分は戦えたけど、後半で崩れてしまった。今日は中身を見たらまだまだなところは当然ありますが、それでも40分間戦えたところをプラスにとらえて、この先もチームとして成長できるように戦っていくしかないと思っています」
2020年の試合は次節を残すのみとなったが、広島は開幕からここまで4勝19敗とB1の洗礼を浴びている。それでもアルバルク東京や川崎ブレイブサンダースといった強豪チームと競った試合を繰り広げてきた。朝山はここまでの戦いを振り返り、「これぐらいのイメージを持っていました。当然、勝つことは簡単ではないと思っていました。それでも今のチームのポテンシャルなら僕はもっとやれると思っています」と言い、まだポテンシャルを発揮しきれていない理由を語った。
「今はまだ『自分がやってやろう』という部分が強すぎるのかなと。強豪チームは個で戦うというよりは、個人個人が自分の役割を理解している上で、チームでの戦いを遂行しています。バスケットなので40分間が自分たちの時間ということはないと思いますが、我慢をしながらもそれができているのが勝てるチーム。自分たちはまだそこが足りていないと思います」
「全体でもっと繋がりを作ることが大事だと思います」
広島は同一カードでの連敗が多いが、第1戦では大差で敗れても、続く第2戦では相手を追い詰めて惜敗になるなど、修正力があるのは確かだ。朝山も「今までは1戦目がどうしてもなかなか良い形で入れなかった。2戦目はなんとか修正しようとみんなでやっていますし、修正する力があることも一つだとは思う」と言いつつも、根本的な部分に触れた。
「じゃあ、なんで1戦目にそれができないのか。そして2戦目で修正できたなら、なぜそれを次の週で生かせないのか。そこがチームとして明確にできていないところです。そこは若い有能な選手がいるチームですし、外国籍選手も含めて、もっとコミュニケーションを取りながらやっていく必要があります」
開幕から2カ月、まだ折り返し地点にもきていない。これから続くシーズンに向けて、チームとして一番強化したいところはどこかと朝山に問うと、「現状として、ここを良くしたら必ず良くなるというのは難しいと思う。一つだけじゃない」と答えた。
「全体でもっと繋がりを作ることが大事だと思います。良いディフェンスをするから、良いオフェンスに繋がる。良いオフェンスで終わるから、良いディフェンスに繋げられるという流れを作っていかないといけない。何か一つにフォーカスしたところでチームがガラっと変わるわけではないので、そこはみんなの遂行力で繋がりという部分をもっと深めていきたいです」
朝山が言うように、敗戦から得たことを次戦に繋げる、そしてゲームの中で良い流れを繋げていくことができるようになれば、広島は現状を打破できるはずだ。朝山は言う。「良いゲームをしても次に繋げられていないのが、自分たちに足りない部分で、それを含めて実力だとは思います。それでもこのチームのポテンシャルならもっとやれると思いますし、現状に決して満足していることもありません。そういう部分ができるようになれば、この状況から必ずもっと良い方向に行くと自分は信じています」
年内最後の試合は富山グラウジーズとのアウェーゲーム。SR渋谷との第2戦で見せた最後まであきらめずに戦う姿勢を次節でも遂行し、良い形で2021年を迎えることができるだろうか。
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