お手頃なのに、最新機能が詰まってる。
お手頃でオルタナティブなスマートウォッチ、Amazfit GTR 2が発売されました。血中酸素濃度計やストレストラッキング機能、Amazon Alexa搭載、14日間持つバッテリーなど、お手頃とは思えない充実ぶりなんですが、本当にちゃんと使えるんでしょうか? 米Gizmodoのウェアラブル番・Victoria Song記者によれば、良い意味で驚かされるようですよ。詳細は以下、どうぞ!
一般にお手頃スマートウォッチは、シンプルなものが多いです。たいていは最新機能がひとつだけ載っていて、あとは安っぽい素材にぼやっとしたディスプレイ、太いベゼルにおざなりなスマホアプリといった構成で、いわばスマートウォッチの形をしたフィットネストラッカーであるのが普通です。でもAmazfit GTR 2は、そんな方程式を見事に吹き飛ばしてくれてます。
180ドル(約1万9000円、日本向け価格は2万9800円)から買えるAmazfit GTR 2は血中酸素濃度(SpO2)のオンデマンド計測ができて、音声アシスタントは2種類(Amazon Alexaとオフライン用の独自アシスタント)、音楽用の3GBストレージ搭載、さらにGPS、常時心拍計、心拍異常のアラート機能、14日間持つバッテリー、大きなカラーのタッチスクリーン、Bluetooth通話機能、ストレストラッキング機能…と盛り盛りの内容です。この価格にしてものすごい大盤振る舞いです。
Amazfit GTR 2
これは何?:お手頃ながらクールなスマートウォッチ
価格:Sport Editionが180ドル(約1万9000円、日本向け価格2万9800円)、Classic Editionが200ドル(約2万1000円、日本向け価格3万2800円)
好きなところ:優れたディスプレイ、長いバッテリーライフ、価格のわりに新しめの健康系機能が充実、オフラインの音声アシスタントがちゃんと便利
好きじゃないところ:Alexaがまだ使えない、デザインが退屈、Zeppアプリは要修正。
Amazfit GTR 2の機能の中には、もっと高価なフラッグシップスマートウォッチが2020年に鳴り物入りで発表したものも入ってます。たとえばオンデマンド血中酸素濃度計測はApple Watch Series 6やSamsung Galaxy Watch Watch 3の目玉機能だし、ストレストラッキングはFitbit Senseの売りポイントです。2種類以上のデジタルアシスタントを使えるのも、Amazfit GTR 2とFitbit Senseだけです。
Amazfit GTR 2について最初に記事を書いたときは、良い話すぎるので何か裏があるんだろうと思ってたくらいです。安価にもかかわらずこんなに機能てんこ盛りなのは机上では良さげに見えますが、実際ちゃんと使えるのかとかは、試してみないとわかりません。
で、実際私が1週間ちょっと使ってみた感じでは、Amazfit GTR 2はパーフェクトではなく、どうかと思う部分がかなりいろいろあります。でも全体的に価値があるかという意味では、Amazfit GTR 2は健闘しています。他のスマートウォッチメーカーは油断してられないなって感じます。
デザインは…うーん
Amazfit GTR 2をアンボックスしたときは、そのデザインにちょっとがっかりしました。Amazfit GTR 2には2バージョンあり、ひとつは180ドルのSport Edition、もうひとつは200ドルのClassic Editionです。大きな違いは後者のほうが素材が良く、ケースがステンレスだったりストラップがレザーだったりします。私のレビュー機は安い方のSport Editionで、なんというか率直に言って不細工に感じられました。とはいえどっちのAmazfit GTR 2でも、その姉妹版でApple WatchクローンのGTS 2よりはマシだと思います。
カーブした1.39インチのAMOLEDディスプレイはシュッとして美しいんですが、黒いセラミックのベゼルはイマイチだし、シリコンのストラップは安っぽく感じます。先代よりだいぶ薄くなったのはいいんですが、前のアナログなデザインのほうが、今回の無味乾燥モダンなデザインより好きでした。でもそれは私の好みなので、もっと目立たなくてあわせやすいという意味では、Sport Editionは問題ないと思います。
デザインはさておき、ディスプレイはすごく良いと思います。表示がくっきりして通知が見やすく、視力の弱い私にはありがたいです。色は美しく、スワイプへの反応にはラグもなく、安定しています。黒いセラミックとかストラップは好きじゃないですが、ディスプレイはもう少し高価格帯のスマートウォッチ(Fitbit Versa 3とかFitbit Versa 3とか)と比べてもベターだと思います。
盛り盛りな健康系機能の出来は
主要な機能のほとんどは、Amazfitの(厳密にはその親会社のHuamiの)スマートウォッチとしてはとくに新しくありません。血中酸素濃度計とストレストラッキング、それから3Dのカーブしたディスプレイも、HuamiのZepp Eにすでに搭載されていました。AmazfitもZeppもZeppアプリを使っているので、納得です。Amazfit GTR 2で測った血中酸素濃度の値は、Fitbit Senseとも、Apple Watch Series 6ともほぼ一致していました(Fitbit Senseは夜間の血中酸素濃度もトラッキングしていますが)。
でもストレストラッキングのほうはちょっと問題でした。ストレストラッキングは常時オンにも設定できて、そうするとAmazfit GTR 2は定期的な計測を開始します。その指標は心拍数の変化に基づいていて(ストレスからの回復を重視する他のウェアラブルデバイスでもよく使われる手法です)、0〜100のスコアで表されます。0〜30がリラックスしている、40〜59が普通、60〜79がミディアム、80以上がストレスが高い、という定義です。
まずスポットでのストレス計測に関しては、それをする目的は、この機能がちゃんと動いているかのテストくらいじゃないかと思いますが、それはそれでいいと思います。スポットでの計測のときはじっとしてなきゃいけなくて、結構時間がかかります。こういう場合、ちゃんと測れないのが世の常です。
1日のストレスデータを見る方は相対的にやや有用なんですが、それでも数字の意味がわかりにくく、数値が高いときにどうすればいいかもわかりませんでした。ストレストラッキングに関しては、皮膚電位センサーを使って瞑想に特化したFitbit Senseが今のところ一番うまくできていると思います。
もっとベーシックなスマートウォッチ機能、たとえば音楽再生は問題なくできますが、これは今となってはどんなスマートウォッチにも期待される機能です。とはいえ、スマートウォッチ本体に3GBの音楽データを入れられるのはナイスです。つまりジョギングするときにスマホを持っていかなくてもいろんな音楽が聞けるってことです。Bluetoothイヤホンのペアリングも簡単で、音楽の追加はスマホアプリからできます。でもこの機能を使えるのは、今でも個々の音楽ファイルをきちんと管理できてる人だけに限られます。私自身はもうだいぶ前にMP3ファイルからストリーミングに切り替えてしまったので、Amazfit GTR 2へのファイル転送が簡単かどうかは何とも言えません。なのでオフラインプレイリストをSpotifyとかからダウンロードしたいと思っても、それは不可能です。Amazfit GTR 2にはセルラー通信機能がないので、ストリーミングサービスに直に接続して音楽を聞くこともできません。
意外と使えるオフラインアシスタント
Amazfit GTR 2に加わる機能で一番大きいもののひとつがAmazon Alexaですが、これは記事執筆時点では入ってなく、後からソフトウェアアップデートで追加される予定です。なので現時点では、どれくらいうまく機能するかテストできませんでした。ともあれ、他にネイティブでAlexaをサポートしているメジャーなスマートウォッチはFitbitだけなので、Alexaを使ってる人がAmazfit GTR 2を検討する理由にはなります。
でもAmazfit GTR 2にはオフラインで使えるもうひとりのアシスタントも入っているので、セルラー機能がなくても単体でアシスタントが機能するようになってます。コマンドはプリセットされたものしか使えず、最初はどうなんだろうと思ってたんですが、ちゃんと使えるコマンドが入っていてうまく機能するので、良い意味で驚きました。アシスタント召喚方法はいくつか選べるんですが、何らかの方法で呼び出すと青いアイコンが表示され、「聞き取ってます」と示されます。私はクラシックな手首を持ち上げて呼び出す方法にしたんですが、正しく認識されるまでには少し時間がかかりました。
フィットネス機能も十分
フィットネスコンパニオンとしてのAmazfit GTR 2もちゃんとできてます。大きなディスプレイはここでも活躍し、距離の計測もわりと正確でした。GPSに関しては少しラグがありましたが、スマートウォッチではそんなに珍しくありません。
それに大事なのは、他の安いスマートウォッチと違い、Amazfit GTR 2は運動中にGPS接続が切れなかったことです。スマホで3.28マイル(約5.3km)と記録されたランニングでは、Amazfit GTR 2は3.21マイル(約5.2km)、Apple Watch SEは3.1マイル(約5.0km)と計測していました。4.05マイル(約6.5km)のときは、Amazfit GTR 2は4.36マイル(約7.0km)、Apple Watch SEは3.88マイル(約6.2km)と前後しました。3回目、3.13マイル(約5.0km)のときは、Amazfit GTR 2は3.03マイル(約4.9km)、Apple Watch SEは2.94マイル(約4.7km)でした。全般にAmazfit GTR 2での計測距離は、スマホの結果とだいたい一致していました。
同時に装着しているGPSデバイスが同じコースを走っても違う結果になるのにはいくつか理由があり、この違いがあるのは異常ではありませんが、ずれに一貫性があるほうがベターではあります。上の結果でもわかるように、Apple Watch SEはスマホに比べてつねに0.17〜0.19マイル(約270〜310m)短く出ています。それに対しAmazfit GTR 2は、スマホより長かったり短かったりしています。
心拍数はもっと正確で、ランニングでも、アクティビティサマリの中の心拍数グラフでも、チェストストラップのPolar H10とかApple Watch SEと毎分3〜5回程度のずれでした。睡眠トラッキングも問題なく、Oura Ringの結果とだいたい同じでしたが、ときどき私が夜中にペットに起こされててもAmazfit GTR 2は気づかないことがありました。
Amazfit/Zeppのスマートウォッチ特有の機能として、アクティビティを記録するPAIシステムがあります。これはGoogle FitのハートポイントとかFitbitのアクティブ・ゾーンと同様に心拍数に従ってワークアウトに一定の値を割り振るのですが、PAIシステムでは性別や年齢、安静時心拍数なども加味してるとのこと。目標は7日間で最低100PAIをキープしていこうという考え方です。慣れるのにちょっと時間がかかりますが、体格とか考慮せずに「何千歩」とか「何カロリー」とかの目標を与えられるよりは柔軟で良いと思います。
問題はありつつすごい長所も
一番厄介だったのはZeppアプリです。前からの問題ですが、デザインが直感的じゃないし、過去のデータとか設定が見つけにくいメニューに埋もれてるし、明らかな間違いもあります。たとえば私は計測単位をImperial(距離はマイル、とか)に設定していて、下の画像では表示上は「mi(マイル)」になってますが、実際はkm単位で表示されてます。いちいち頭の中で1.6倍に換算しなきゃいけません。あと画像の下の方の心拍数ゾーンの記録の中に、「耐力強化」って中国語がまぎれてます。私はこれは要するに「2番めに高いゾーン」ってことだろうなと解釈して使えてるんですが、使えるとか使えないとかって問題じゃなくて、詰めが甘い感じがします。
でもAmazfit GTR 2にはずば抜けた特長もあり、それがバッテリーライフです。公式では14日連続で使えるとされていて、実際私が使っても約10日間持ちました。公式より短いですが、それは多分、1日中常時オンディスプレイを使ってた日があるのと、GPSを使った運動を1.5時間やってたのと、あとは1回、筋トレの記録を止めるのを15時間忘れてたことがあったせいです。15時間運動記録状態でバッテリーがなくならなかったのは、良い意味でびっくりしました。
Amazfit GTR 2にあるものとないもの
そんなわけでAmazfit GTR 2は、お手頃価格に多くのものを詰め込んでいますが、いくつかの機能は荒削りです。でも出費を抑えるなら、ある程度の妥協はつきものです。他社のフラッグシップスマートウォッチと比べて欠点があるのは仕方ないし、フラッグシップと比べること自体フェアじゃないです。他の「お手頃」スマートウォッチ、たとえばFitbit Versa 3やApple Watch SEと比べると、何ができて何ができないのかがもっと具体的になります。
たとえばFitbit Versa 3にあってAmazfit GTR 2にはないものはNFC決済だけで、あとはアプリが良くできてる程度です。それに価格は30〜50ドル高いし(訳注:日本ではFitbit Versa 3が2万4527円と、5000円程度安くなります)、Fitbit Premiumのサブスクリプションもあります。Amazfit GTR 2には健康系の先進機能があり、精度も他社と同等で、ディスプレイはもっとナイスだし、バッテリーライフは長いです。
Apple Watch SEの場合ちょっと違っていて、セルラー通信のオプションと、サードパーティアプリのエコシステム、NFC決済があります。ただApple Watch SE(40mm)の場合Amazfit GTR 2のほうが100〜150ドルも安いです(訳注:日本だと同価格です)。それからAmazfit GTR 2は文字盤が丸いのでデザイン的にこっちが好きな人もいるかもしれないし、ディスプレイは見やすいし、オフラインアシスタントはSiriより使いやすく、血中酸素濃度計とストレストラッキング機能、そしてはるかに長いバッテリーも入ってます。
Amazfit GTR 2は数あるお手頃スマートウォッチの中でも、ベストな価値を詰め込んでいます。考えなきゃいけないポイントを突き詰めると、サードパーティアプリとかコンタクトレス決済、洗練されたソフトウェアがなくてもいいかどうかです。もしそれでもいいよと思えるなら、Amazfit GTR 2を検討する価値は十分にあります。
まとめ
・180ドル(約1万9000円、日本向け価格2万9800円)のスマートウォッチにしてすっきりしたデザイン、血中酸素濃度計とストレストラッキング機能、2種類のデジタルアシスタント、異常心拍検知、大きくてきれいなディスプレイを載せています。
・ないものはNFC決済とセルラー通信、音楽ストリーミングサービス対応(オフラインで聞けるようにストレージが3GBありますが)、サードパーティアプリのエコシステムです。でもそれは価格の分妥協しうるものじゃないかと思います。
・バッテリーライフが14日間!続きます。
・フィットネストラッキングは問題ないですが、Zeppアプリがまだ雑なところがあります。
からの記事と詳細 ( Amazfit GTR 2レビュー:お手頃スマウォのハードル、上がった - GIZMODO JAPAN )
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