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Monday, September 28, 2020

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ - 朝日新聞社

娘の「つむぎちゃん」や、息子の「なおくん」との何げない、ほっこりした日常のイラストをInstagramに投稿する「つむぱぱ」さん。

そんなつむぱぱさんが、みなさんの「家族との、個人的な幸せの思い出」をもとにイラストを描く連載「つむぱぱの幸せの気づき方」。

今回のお話は娘さんとお買い物に行くところからはじまります。

>連載「つむぱぱの幸せの気づき方」

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あなたの「家族との、個人的な幸せの思い出」を教えてください。そのエピソードをもとにつむぱぱさんが世界に一つだけのイラストを描きます。採用された方には、つむぱぱさんが描いたイラスト入りのトートバッグをプレゼントします。

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

新潟在住・30代女性

    ◇

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ!」
先日、3歳の娘と買い物に行った時、いつもはあまり物にこだわらない娘が、珍しくそう言ってきかなかった。

小さな子どもにとって、ビーズは簡単なおもちゃとはいえず、これまでに何度か遊んだ時は、ひもを穴に通すのが難しくて、途中で「ママ、やって」とお願いされたりもしていた。それにまだその時の残りもたくさんある。

だから「ほかのおもちゃにしない?」と聞いてみたのだけれど、娘は「これが絶対にいい!」とかたくなに言い張った。普段はそんな風に私が促すと、「うん、そうだね」と言いそうなところなのに。

何かに固執する姿を初めて見たような気がして、彼女にも少しずつ自我が芽生えてきたのかなと思い、結局それをレジに持っていった。ちょっともったいない気がしながらも。

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

家に帰ると、さっそく娘はビーズで何かを作り始めた。私が手伝おうとすると、「いい、自分でやるの!」と言って触らせてくれない。彼女の3歳下の弟が眠くなってきたので、私は別の部屋に寝かしつけに行った。

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

小さく開けたドアから時々、娘を見ていると、やっぱりビーズは難しそう。テグスを小さな穴に入れるのに苦労し、時にはビーズがバラバラと机の上に散乱することも。それでもこの日は、黙々と何度もやり直し、ビーズのアクセサリーを作り続けていた。

いつもなら嫌になって「ママー」と助けを求めにくるところなのに、よっぽどビーズ遊びが好きになったんだなあ、と私はほほ笑みながらそんな様子を観察していた。

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

息子が眠りに落ちた頃、娘のもとに戻ると、ビーズのアクセサリーがほぼ出来上がっていた。それはかわいいお花のネックレスだった。

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

「すごい、よくできたね! つけてあげる」と私が言うと、「違うよ。これはママにプレゼントだよ。もうすぐお誕生日でしょ! ママはお花が大好きだから、お花のネックレスにしたの」と娘はうれしそうに言った。

てっきり、自分が好きになったビーズで遊んでいただけだと思っていたのに。それにこっそり自分で作って、出来上がってから渡してくれるなんて。

確かに私はよく、庭でお花の手入れをするけれど、そんな姿もしっかり見ていてくれたんだね。3歳の彼女にできることを精いっぱいして、私を喜ばせようとしてくれた気持ちが本当にうれしくてうれしくて。

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

「ありがとう」と私が涙ぐんで喜んでいたら、「ママ、そんなにお花のビーズが好きなんだ。じゃあ、ちょっと待ってて」と娘は言い、得意になってまた何かを作り始めた。「見ちゃダメ!」と言うので、私はキッチンで夕食の支度を始めることにした。

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

パパが帰ってきて、夕食がテーブルに並んだ頃、娘はキッチンにひとりでいる私をつかまえ、こっそりとプレゼントを渡しにきた。

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

今度はビーズのお花のブレスレットで、「まま、すき」とひらがなで書かれた手紙が添えられていた。「ありがとう」と私が言うと、「ママは本当にお花のビーズが好きだね!」と娘はまた元気に言った。

それを見ていたパパが、「あ、もうすぐママの誕生日だったね。そっか、ママはビーズが大好きなのかあ。じゃあ、パパも今年はビーズで頑張るよ」ととぼけると、娘も「そうだよ! お花だからね!」と楽しそうに同調していた。でももちろん、パパには別のプレゼントをおねだりしました。

「このお花のビーズじゃなきゃ、やだ! 」娘が初めてムキになったワケ

つむぱぱさんの言の葉

3歳なのに、ママのプレゼントも自分で考えて、さらにサプライズでプレゼントするなんて、とてもできたお嬢さんですね。

僕の娘つむぎも、サプライズでプレゼントすることが好きらしく、誕生日などにケーキをママと作ってくれたりします。ですが、前日くらいからそわそわしだして、さらにはうれしそうに「パパにサプライズでプレゼントするんだぁ~」と、パパに向かって言ってきます。ある意味サプライズな娘です。

僕は小さい頃から、家族へのプレゼントやお土産を選んだり考えたりすることがとても苦手な少年でした。親が何を欲しいか、もらったら喜ぶかが全然わからなかった。

だから誕生日や父の日、母の日などにプレゼントをあげた後、「本当にこのプレゼントで喜んでくれたのかな?」というモヤモヤとした気持ちがずっと残ってしまう感覚を、今でもはっきり覚えています。

ある年、確か父の日だったと思うのですが、父にライターをプレゼントしたんですね。持つ部分が青い石でできたオシャレなライターでした。

もともと愛想の良くない父はそっけなく「ありがとう」と言っただけだったので、その時も、モヤっとした気持ちになったのですが、数年後、父の大切なものが入っている引き出しをたまたま開けた時に、あげたことすら忘れかけていたそのライターが入っていた時は、なんだかとてもあたたかく、うれしい気持ちになりました。

(文・構成/井川洋一)

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September 29, 2020 at 07:15AM
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