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Thursday, April 23, 2020

コロナ禍、採用に改革迫る 「インターン直結」一部解禁へ - 日本経済新聞

経団連の中西宏明会長と萩生田光一文部科学相が23日、テレビ会議を開き、企業による学生の採用選考を柔軟にしていく方向で一致した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、企業、学生それぞれの活動に大きな支障が生じている。非常時を乗り切る対応を通し、新卒一括採用など日本独自の慣習の課題に取り組んでいけるかが問われる。

企業の採用活動について萩生田文科相とテレビ会議する、経団連の中西会長

企業の採用活動について萩生田文科相とテレビ会議する、経団連の中西会長

現在、就職活動をしており2021年春に卒業する学生から対象にできるよう調整を進める。23日の会議で萩生田氏は「今年は平時と違うので、一定の時間を設けて採用するとのメッセージを早めに出してほしい」と要請した。中西氏は「具体的に(企業の状況を)モニタリングして対応していく」と応じた。

両者が合意したのは大きく2点ある。選考や採用の時期の通年化をめざすことと、インターンシップ(就業体験)を柔軟に運用することだ。企業の採用活動と、学生の就職活動が十分に進まない状況に対応する狙いだ。

いま就職活動をしている2021年卒業予定の学生の就活ルールは政府が指針をまとめており、広報活動は3月以降、面接などの採用活動は6月から解禁とされた。

ところが足元では会社説明会や就職イベントが軒並み延期になっている。高校は政府方針に沿って3月から休校したままのケースが多く、大学も新学期の授業をスタートできないところが多い。

中西氏はテレビ会議後、「採用試験プロセスを変えるなど工夫がいる」と述べた。採用や選考の時期の分散を経団連の会員企業に呼びかけていく方針だ。学生の卒業時期が遅れた場合は、企業の入社時期を柔軟に変えることも検討する。

新型コロナの影響が広がる前から、横並びで新卒を一括採用する慣習の課題は認識されていた。学生が自由に学業の時間を確保できなかったり、海外留学した学生が就職活動に参加しにくかったりといった問題がある。

経団連は昨年、一括採用を改めることで大学と合意した。日立製作所が卒業後の自由な時期に入社できる「365日入社」を始めるなど、動き出している企業もある。今回のコロナ危機をきっかけに改革の動きを広げられるかが問われる。

インターンシップのあり方も見直す。文科省などは教育目的に絞ることを原則としており、経団連も参加した学生の情報を選考には使わないとしている。だが、企業と学生の接点が少なくなるなか、インターンの後に直接採用できるよう調整を進める。まず大学院生から解禁する方向だ。

インターン直結型の採用はすでにIT企業や外資系企業を中心に導入が広がっている。新型コロナの感染拡大の収束が見えてくれば大企業にも広がる可能性がある。

学生優位の売り手市場だった就活の状況は変わってきた。これまでの人手不足が一転し、需要急減や休業などで人手が余る企業が増えている。

就職情報会社のディスコ(東京・文京)が3月下旬に実施した企業調査では、約1割が21年卒の採用予定数を「下方修正する見込み」と答えた。企業と学生の双方にとって厳しい状況が続くと見込まれる中、迅速な対応が欠かせない。

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