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Thursday, April 30, 2020

特例措置で身近になったオンライン診療、どうすれば使える? - ASCII.jp

新型コロナウィルスの感染拡大による非常時の対応として規制が緩和され、スマホアプリやパソコンを使って受診できるオンライン診療サービスが注目を集めている。ここではオンライン診療とはどのようなもので、何が規制緩和されたのかを解説する。また、どのような受診ができるのかについては、後編にて紹介する。

 新型コロナウィルス(以下、新型コロナ)の感染拡大により病院で診察を受けることが難しい状況になっていることから、厚生労働省(以下、厚労省)は4月7日の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」において、スマートフォンやパソコンのビデオ通話などを使ったオンライン診療の“初診対面の原則”を緩和し、疾患を問わず対応できるようにすることを特例的な措置として認め、4月13日から対応が始まっている。

新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(令和2年4月10日事務連絡)

 ビデオ通話を用いたオンライン診療は以前から実施されていたが、初診は対面で行なうこと以外にも、3ヶ月の受診歴が必要で対象も慢性疾患に限られるなど、気軽な利用とはほど遠く制約が大きかった。

 だが、新型コロナの感染防止からオンラインで診療を行ないたいという要望が利用者と医療機関の両方で高まっていたことで、”時限的に”規制が緩和された。

 特例期間は感染が収束するまでとされ、現時点で具体的な日付や条件などは発表されていない。また、今回の利用状況によっては既存のルールを修正する形で規制緩和が継続する可能性はある。

 いずれにしてもオンライン診療そのものがまだ浸透していないため、利用者も病院側も不明点が多く、厚労省側からの発表にあわせて現場判断で対応が進められているような状況にあるといえる。

オンライン診療の何が規制緩和されたのか

 今回の規制緩和で最も大きなポイントといえるのが、これまで通院歴が無い病院でもオンライン診療に対応していれば初診であっても受診できる点だ。診療できるのは問診と視診に限定されるが、対象となる疾患の制約もなくなった。

 ただし、初診の場合は診療前に被保険者証の写しをFAXか電子メールで送付したり、本人確認ができる身分証明書などが必要になる。また、離れた場所にある病院でも受診できるが、時限的措置が終了した後は、ただちに対面診療に切り替えることが現時点では定められているので、そうした点を考慮して病院を選択する必要がある。

厚労省によるポスター

 厚労省ではオンライン診療に対応できる医療機関のリストを都道府県別に作成しているが、連絡先は掲載されているものの、初診に対応していない施設や電話相談のみの施設も含まれている。現時点で、PDF形式でURLのない施設もあるため、オンライン診療に対応しているかどうかの判断が難しい。

厚労省による対応医療機関リスト「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について

 そこで26日には厚労省の発表を元にした「オンライン診療先検索」をJX通信社が公開し、アプリも提供している。都道府県や診療科目で検索できるので使い勝手はいい。

 ほかにも、日本医療ベンチャー協会が作成している「全国オンライン診療実施医療機関リスト」や、株式会社eヘルスケアが運営している「病院なび」などの検索サービスがある。現時点ではまだ登録数はそれほど多くないが、初診に対応しているかどうかが一目でわかり、各病院のサイトへのリンクも用意されている。

通常のオンライン診療と時限的緩和措置との違い

 実際にオンライン診療を受診した人から話を聞いた範囲では、今回の規制緩和はあくまで時限的なものであり、主に新型コロナの疑いがある場合や、通院で薬をもらうなどの必要があるものの通院が難しい場合を想定されているように見える。受診自体はしやすくなっているが、処方できる薬は過去の参考情報がない場合は7日分以内と限られている。処方箋発行から何日以内に薬を受け取る必要があるかなど、明確でないところもある。

 リアルタイムではあるもののビデオ通話越しでどこまで症状を伝えられるかは当然限界があり、専門の医療機器が必要なケガをした場合などの診療には向かない。こうした課題が今後どう整理されていくかがオンライン診療推進の鍵となりそうだ。

オンライン診療サービスを使ってみる

 オンライン診療の大きなメリットは、時間や場所を問わずスマホ向けアプリやパソコンを使って受診できることにある。病院の検索から予約、診療、支払い、薬の処方まですべて行えるオンライン診療サービスを提供している会社も複数ある。

 たとえば、オンライン診療を行っている病院はまだ数が少ないが、提供サービスの中には病院を検索できる機能が用意されているものもある。また予約機能や治療履歴の管理などは通常の診療でも使えるので便利だ。今回の規制緩和ではオンライン診療を実施する際に必要な研修も特例で不要にしていることから、導入を検討する病院は増えている。

 スマホ向けのオンライン診療アプリを使った場合の大まかな診療の流れは以下のようなものである。

●保険証の写しと本人確認書類(顔写真入り)を準備する。(スマホカメラで写真を撮影するかスキャンアプリでデータ化する)
●過去に診療した記録(紹介状、健診データ、お薬手帳など)があれば用意する。
●かかりつけ薬局か処方薬を受け取りたい薬局を事前に調べておく。

●受診するオンライン診療サービスのアプリをダウンロードし、アカウントを登録する。
●登録に必要な項目を入力する。
●決済手段(クレジットカードなど)を登録する。

●オンライン診療が可能な医療機関を検索する。(サービス元が提供するアプリもしくはウェブサイトから)
●アプリ内にある問診に記入する。
●アプリもしくは電話で受診したい医療機関の予約をとる。

●アプリの設定メニューで音声やビデオのテストをする。
●ビデオ通話に適したプライバシーに配慮した場所で、診療時間に医療機関から電話がかかってくるのを待つ。
●電話がつながったら本人であることを明示する。
●医師の診療を受ける。
●処方が必要とされた場合は処方を受け取る方法を伝える。
●最寄りもしくは配送対応な薬局を指定して薬を受け取る。

 オンライン診療システムやアプリは一般的なビデオ通話に比べてプライバシーの問題から高度なセキュリティーが求められるため、安全性が比較的高いと考えられる。ヘルスデータとして身長や体重などの情報を登録することもできるが、必ずしも登録する必要はない。使用しないアカウントは削除でき、使い方を問い合わせする窓口もきちんと用意されているかなどを調べた上で利用するのがいいだろう。

 後編では代表的なオンライン診療サービスについて紹介する。

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