欧米を中心とする海外半導体メーカーは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、2020年1~3月期の業績見通しの修正を相次いで行っている。ただ、現時点で把握できる範囲での影響額を盛り込んだに過ぎず、4~6月期以降の業績予想はさらなる下ぶれリスクがつきまとう。
減額率は3~6%
通期業績予想を開示する日系各社と異なり、欧米企業は次四半期の業績ガイダンスを開示する手法を取っているケースが多く、すでに発表していた四半期見通しを3月に入って修正するかたちとなっている。10月が決算期であるアナログデバイセズとエヌビディアは2月中旬に行った2~4月期の業績ガイダンスで、すでに新型コロナに対する影響額を盛り込んだ数値を発表している。
おおむね減額率は3~6%の範囲にとどまっており、実際の影響金額でも5000万~1億ドルとなっている。下方修正を行った企業のうち、コルボやスカイワークス、アナログデバイセズは通信系デバイスを主力分野の1つとしており、スマートフォンや通信インフラのサプライチェーンから影響を受けた。一方、NXPやオンセミコンダクターは、主に自動車や産業機器向けを中心とする影響が多いとみられる。また、ブロードコムなどはもともと開示していた20年度通期の業績予想を撤回するなどしている。
3月2日にガイダンスの引き下げを行ったマイクロチップは、「米国および欧州のビジネスは予定どおり進捗しているが、アジア特に中国での需要の弱さが見られる」と言及している。ただ、現在は新型コロナの影響は米国および欧州でも広がっており、発表時点に比べて状況がさらに悪化している。3月1日に発表したNXPも「事態は流動的であり、この見通しは現在の試算」であることを強調している。
日系半導体メーカーは今のところ業績ガイダンスの引き下げなどは行っていないものの、これら海外メーカーと競合するルネサス エレクトロニクスやロームなども業績に対して同程度の影響が予想されるところだ。
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