「修正テープ」と「テープのり」、形状や機構、使用感は近いものがあるが、もちろん用途は「修正する」と「紙を貼る」でまったく異なる。さらに両者の大きな違いとして、もうひとつ挙げたいのが「紙のどこに使うか」という問題だ。
修正作業は紙の上で文字が書かれている部分が使用箇所。これはだいたい紙の端よりも内側のはず。対してテープのりはというと、これは接着強度から考えると、できるだけ紙の端ギリギリに使いたいのである。
となると、端ギリギリなど気にしなくていい修正テープと形状や使用感が近いのって、どこかおかしい気がしないか。テープのり、根本的な部分で間違ってるのでは?
紙の端を攻めるための、挟んでスタンプ式テープのり!
ここで問題にしたいのは、従来のテープのりが「紙の端を攻める」ための形状をしていない、ということだ。じゃあ「紙の端に使うことの多い、貼る用の道具」って、他に何があるだろう? と考えて、まず浮かんだのがホチキスである。ホチキスは、紙を上下から挟みこむことで、端ギリギリを狙いやすくしている。これはわりと正しい形状ではないだろうか。
プラス
ノリノスポット
380円(税別)
……なんてことを開発者が考えたのかは分からないが、プラスの「ノリノスポット」は、まさにホチキスめいたフォルムで、紙の端を挟みこんで使うテープのりだ。本体下端に紙を挿し込むためのスリットが空いており、使うときはここに紙の端を入れて、ホチキス留めするのと同じように本体上部をグッと押し込む。
すると、内部のヘッドが紙に接触すると同時にテープをガチャッと送り出して、作業完了。紙を抜くと、端にテープ幅8.4mm×6mmという四角形の「のり」が塗られているのが見えるだろう。「ノリノスポット」は、ハンコを捺すようにスポットのり付けを行う、いわゆるスタンプ式テープのりと呼ばれるタイプの製品なのだ。
ガッチガチの接着強度が欲しいなら、のり面積の大きさが重要。つまり、従来のテープのりに多い、ヘッドローラーを転がした分だけ帯状にのり付けできるタイプが必要だ。しかし、ひとまずノートにプリント貼っておくか程度の話なら、スポットのり付けでも問題なし。だいたい紙のカド2~4点にのりをスタンプすれば、それで充分だろう。
なにより本当に紙の端ギリッギリの位置にのり付けできているので、のりの付いてない部分から力が加わって剥がれる、ということが起きにくい。スタンプ式の不安要素である接着強度をカバーする意味でも、この端ギリギリ性能は重要な要素なのである。
とはいえ、端っこじゃない位置にのり付けしたいことだって、無くはないかも。そういう場合は、本体下のベースをガバッと180度開く。するとヘッド周りが露出するので、そこをのり付けしたい位置に合わせて置いてスタンプする。これなら紙の端に限らず、どこでもスポットのり付けができるという仕組みだ。
ホチキス形状ならではのメリット
実はホチキス形状のテープのりには、偉大な先輩がいる。コクヨの「ドットライナーホールド」は、封筒のタブを挟んで引き抜くことでタブの端ギリギリに帯状のり付けができる、封かん作業特化のテープのりだ。これは非常に優秀な製品で、発売からもう15年経つが、筆者も未だに封かん作業にこれ以外は使わない。なんなら詰め替え用テープだって箱買いしているほどのヘビーユーザーである。
ただ、ちょっと残念なことに、構造的に短い距離ののり付けが苦手。例えばレシートのような幅の短い紙にスムーズにのり付けするのが、意外とやりづらいのだ。なので、そこを「ノリノスポット」でやっちゃう、というのが快適な役割分担となりそうだ。
また、ホチキス形状ならではの大きなメリットとして、紙を机に置くことなくのり付けできる、というのがある。机が散らかっていて、のり付けするスペースがない! というのは、ありえること。そういうときにいちいち片付けるのは面倒なので、中空でサッとのり付けできるのはなかなか便利なのだ。
毎年度末には、確定申告に向けてレシート・領収書をノートに貼り付けて整理する人も増えるはず。そういうとき、ホッチキス感覚でサクサクとのり付けできるテープのりがあれば、作業効率は確実に上がるだろう。快適のり付けツールとして、ぜひ試してみてほしい。
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