12月20日に日銀が決めた金融緩和策の修正。長期金利の変動幅の上限をこれまでの0.25%程度から0.5%程度に引き上げるという内容で、突然の発表に驚いた人も多いかもしれません。そこで気になるのは私たちの住宅ローンへの影響です。今回の修正で金利は変わるのでしょうか?これからどのようなローンを組めばいいのでしょうか?不動産業界の取材経験もある、金融担当の西園興起記者、教えて!
日銀の金融政策の修正で住宅ローンの金利が上がる可能性がある、というニュースを見ました。これから、家を買おうと思っているのですが、返済額が増えてしまうのでしょうか?
不安になりますよね。
住宅ローンの金利は大きく分けて、固定と変動がありますが、これから住宅を購入する人については、固定金利が上がる可能性があります。というのも、固定金利は、10年ものの長期国債の金利が指標になっているからです。
これまで、日本銀行は大規模な金融緩和策で、長期金利の変動幅の上限を0.25%程度としていました。これを、先日、0.5%程度に引き上げることを決めました。これにより、10年ものの長期国債の金利が上がっていて、これに連動して、固定金利も上がる形になりました。
西園記者
どれくらい上がるのでしょうか?
大手銀行は12月30日、新年1月から適用する固定金利の水準を発表しました。今回の修正を受けて大手銀行では固定の適用金利を0.1%から0.3%程度、引き上げました。
▼三菱UFJ銀行は、10年固定の住宅ローンについて1月1日から適用する最も優遇する場合の金利を0.18ポイント引き上げ、年1.05%にします。前の月からの引き上げ幅は2017年4月以来、5年9か月ぶりの大きさとなります。
また、これと同じ条件の住宅ローンの金利を
▼三井住友銀行は0.26ポイント引き上げて年1.14%に、
▼みずほ銀行も0.3ポイント引き上げて年1.4%にします。
引き上げ幅はいずれも2008年6月以来、14年7か月ぶりの大きさです。
西園記者
大きな引き上げだったんですね。どのくらい影響があるのかイメージが付きにくいです。
例えば、元本3500万円で、金利差が0.1%あると、35年間の総額ではおよそ70万円もの違いが出てきます。金利差が0.2%だと、その倍ですね。
西園記者
これから家を買おうと思っていたので、固定金利にするとこれまでより負担が増えるんですね。でも、最近は変動金利で借りている人も多いと聞きます。変動金利には影響は出ないんですか。
変動金利は、長期ではなく、1年以下の短期金利を指標に設定されます。
短期金利は、日銀が金融機関から預かっている当座預金の一部にマイナスの金利を適用する、いわゆる「マイナス金利政策」の影響を受けますので、今回の修正では直接影響は受けません。ただ、裏を返すと、マイナス金利政策を変更すれば、影響が出てくる可能性があります。
住宅金融支援機構の調査では、住宅ローン利用者のうち、7割以上が変動金利を使っているということです。
変動金利は固定金利と違い、返済期間の途中で、利払いが変わるリスクがあります。住宅ローンの返済期間は長いですから、その間に政策に変更があるリスクを考慮する必要があります。
西園記者
変動金利を選ぶにしても、先行きが想定できない中で、私たちはどうすればいいのでしょう。
超低金利が続いてきた日本では、金利が上がる経験をしたことがある人は少ないと思います。
住宅ローンを借りている人も、これから借りる予定がある人も、日銀の動向を注意して見ておく必要がありそうです。
ただ、金利の先行きを長期間、予想するのは困難です。金利も重要ですが、いくらまでなら借りられるのかや、返済可能な額はどれくらいかをきちんと把握し、ローンを選ぶことが大切です。
西園記者
からの記事と詳細 ( 住宅ローンどうなる? 固定金利と変動金利の違いは 金融緩和策の ... - nhk.or.jp )
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