[東京 7日 ロイター] - 日銀は17―18日に開く金融政策決定会合で、国内景気の現状判断を下方修正する方向で議論する。新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株の急拡大で1月下旬以降、サービス消費が落ち込んでおり、個人消費の判断を引き下げる公算が大きい。ロシアのウクライナ侵攻を受けた景気減速懸念も、総括判断引き下げの材料となる可能性がある。複数の関係筋が明らかにした。一方、景気の先行き回復シナリオは維持する公算が大きい。
日銀は1月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、景気の現状判断を引き上げ、「感染症の影響が徐々に和らぐもとで、持ち直しが明確化している」とした。これは、コロナの感染が落ち着いていた昨年末にかけ、サービス消費が堅調な戻りを見せたことで、個人消費の判断を引き上げたことが大きい。
しかし、オミクロン株の感染急拡大で1月下旬から個人消費は落ち込んでいる。11日発表の1月家計調査について、ロイターがまとめた民間調査機関の予測では実質消費支出(2人以上の世帯)の予想中央値は前月比3.0%減と、2カ月ぶりにマイナスとなる見通し。
生産も落ち込んでいる。経済産業省によると、1月鉱工業生産指数速報は前月比1.3%低下の95.2で、2カ月連続のマイナス。感染急拡大や部品の供給不足などで自動車の生産が落ち込んだ。
ウクライナ危機による景気減速懸念もある。原油先物価格が急騰し、購買頻度の高いガソリンや食料品の価格にさらに上昇圧力が掛かれば、個人消費にはさらに打撃となりそうだ。半導体などの供給不足がより長期化することへの懸念も日銀では出ている。
<「前向きの循環メカニズム」、4月に議論へ>
日銀は、2021年4月の展望リポートで所得から支出への「前向きの循環メカニズム」との文言を復活させ、感染症の影響がはく落するに従い、日本経済がより自律的に立ち直ると想定してきた。1月展望リポートでは、22年度実質国内総生産(GDP)の政策委員見通し中央値が前年度比プラス3.8%となり、昨年10月時点のプラス2.9%から引き上げられた。
ウクライナ危機の先行きは見通しにくく、現時点で実体経済への定量的な影響を見極めるのは難しいものの、「物価には上振れ要因、景気には下振れ要因として働く」との指摘が日銀では出ている。前向きの循環メカニズムが維持されているかどうかは、新たな経済・物価予測を出す4月の金融政策決定会合で議論される見通しだ。今回の決定会合では、金融政策は現状維持の公算が大きい。
(和田崇彦、木原麗花 編集:石田仁志)
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