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Monday, October 25, 2021

日本人がクリエイターとして、世界で戦うためのベストな方法とは - ニュース・コラム - Y!ファイナンス - Yahoo!ファイナンス

 京都の伝統工芸・西陣織のテキスタイルがディオール、シャネル、エルメス、カルティエなど世界の一流ブランドの内装などに使われているのをご存じでしょうか。日本の伝統工芸の殻を破り、いち早く海外マーケット開拓に成功した先駆者。それが西陣織の老舗「細尾」12代目経営者の細尾真孝氏です。ハーバードのケーススタディーとしても取り上げられるなど、いま世界から注目を集めている異色経営者、細尾氏の初の著書『日本の美意識で世界初に挑む』(ダイヤモンド社)が出版されました。対談形式でお届けしている本連載の特別編。前回に続き、お相手は東京藝術大学名誉教授の秋元雅史氏です。細尾さんと秋元さんの2人が、美意識と工芸の持つ可能性について語り尽くします。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ(構成/北野 啓太郎、撮影/石郷友仁)。

● 工芸は「素材」と「技術」に分解でき、 いろいろな方面に応用できる

 秋元雄史(以下、秋元) 前回のお話のように帯や和柄ではなく、西陣織の素材と製法が求められて世界へ展開したっていうのは、面白いね。工芸を物のつくり方の集積だと捉えると、いろいろな展開ができると。「日本的でないといけない」「西陣織といったら帯」といった固定観念をどれだけくずせるかは、協働してくれるパートナーが必要ってことだね。

 細尾真孝(以下、細尾) そうですね。固定観念にとらわれていると、自分では全力でやっているつもりでも、その枠の中で収まってしまう。動いていく中で、外からの出会いにより、良い意味で固定観念が壊されて行くというか…。

 秋元 日本人のものづくりって、ゴールが決められていると強い。ところがルールやゴールがなくて、「人がつくっていない新しいものをつくれ」と言われた途端に、どうしていいかわからなくなってしまう。

 細尾 異種格闘技には弱いですよね。

 秋元 そうだね(笑)。文化庁の文化政策もそうだけど、つくり手に新しいものを求めるよりも、つくり手がつくってきたものをプロデュースしたり、それをつないでいくような人達に工芸の今のクリエイティブの良さを伝えたりした方がいいと思うんだよ。

 細尾 確かに。

 秋元 日本の工芸って、何百年とか、千年とかの歴史があるじゃない。その中で積み重ねてきている技術や美意識って、相当なものだよね。そこにさらに何か付け加えろというのは酷な話で、それよりも換骨奪胎して転用・転化させていく方が、実は面白いんじゃないかっていうのは、最近の僕の思いなんだけど。

 細尾 秋元さんが総合監修されている北陸工芸の祭典「GO FOR KOGEI」では、工芸を現代アートの文脈に持ち込んでいますよね。以前は、アート・工芸・デザインが区分されていた印象ですが、僕は工芸を「美意識を持った創造的活動である」と考えています。つまり「美しいものをつくりたい」という人間が持つ欲求や欲望のもと、すべての人に工芸性があると。だからある意味、工芸からいろいろなものが派生していると考えたほうが、すごくしっくりくると自分では思っています。

 秋元 まさに細尾さんが言うとおりで、日本人が物をつくっていくときには、それがアートだろうが、デザイン的なプロダクトだろうが、先人たちが残してきた知恵みたいなものを活用しながら、その中で物をつくって行ったほうが、遥かに短時間でできると思う。

 細尾 そうですね。

 秋元 欧米流に、物にアプローチ、物づくりにアプローチしなくたって、もっと手で考えるというか。大きな輪郭が現代アートだったり、デザインだったりするなら、僕はその中に工芸的なものを持ち込んで内側から壊す・変えるみたいな感じで良いと思うんだよね。

 細尾 工芸は「素材」と「技術」みたいなところに分解できるので、いろいろな方面へ忍び込めますよね。

 秋元 もちろん、昔ながらのものを制作して継承していくことも大事で、京都や奈良にたくさん残っている古いお寺や神社を残すのと同じように、工芸で残していかなくちゃいけないものは残していけばいい。それと同時に、伝統工芸を今の時代に適したアートなりプロダクトデザインなりを生み出す「源泉」にすれば良いと思うんだよね。

 細尾 確かにそうですね。

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