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Saturday, September 11, 2021

奈良がわかる 緊急事態宣言めぐる県市の対立 何が問題なの? [新型コロナウイルス] - 朝日新聞デジタル

 はなくいどり 新型コロナウイルス感染防止対策を巡って奈良県と一部の県内の自治体で意見が食い違っているね。それぞれの主張について教えて。

 A 荒井正吾知事は緊急事態宣言が出された東京や大阪などの地域で感染拡大が止まっていないことを挙げ、宣言などの有効性に疑問を持っているんだ。県は国に宣言やまん延防止等重点措置の適用を要請せず、県独自の緊急対処措置を発出してきたんだ。

 は どんな内容なの?

 A 不要不急な外出の自粛を求めているのは緊急事態宣言と同じだ。県は5~7月、時短営業した飲食店やカラオケ店などに市町村が協力金を支払う場合、県も同額を上乗せして支援してきたよ。

 は 今は時短要請の協力金は出していないね。

 A 荒井知事は時短要請の有効性にも疑問を投げかけている。奈良は、大阪や兵庫、京都のような大規模な繁華街が少ない。時短要請をしなかったとしても感染爆発が起こる可能性は少ないとみているんだ。

 は でも、飲食店が営業を自粛している県外の地域から奈良に遊びに来そうだね。

 A 実際に奈良市の仲川げん市長や生駒市の小紫雅史市長は、大阪府京都府緊急事態宣言が出された後、「県外から客が増えた」として荒井知事に何度も緊急事態宣言の要請を求めているよ。

 は それでも出さないのはなぜなの?

 A 荒井知事の記者会見での説明では、県内の地域ごとに違いがあることを挙げている。奈良市生駒市橿原市などは大阪や京都からのアクセスが良く、県外から訪れやすいけど、県南部や東部は県外から飲食に訪れる客が少ないといわれているよ。実際に第4波や第5波で感染者が急増したのは、アクセスしやすい自治体だったんだ。緊急事態宣言は県内一律で対象となるため、感染者の少ない地域の飲食店でも時短要請をしなければならず、奈良の実情に沿わないという考えだ。

 県内には大阪などへの通勤客も多く、県内の飲食店やカラオケ店に時短要請しても感染を防ぐ効果は少ないとみたんだ。地元経済への配慮もあるよ。休業すれば協力金が支払われるけど、多くの店は協力金だけでは成り立たず、倒産や閉店件数を増やす恐れもある。荒井知事は「経済への打撃が大きい」と言っている。

 は 県の対応に異論が噴出しているよね。

 A 奈良市の仲川市長は8月の記者会見で、緊急事態宣言を出さない県に対して、「奈良に行けば安全なんだ、酒を飲んでもいいと、ミスリードにならないか」と指摘し、県に要望書を出したよ。県市議会議長会や天理市の並河健市長らも合同要望書を同月31日に出したよ。並河市長は「県独自の緊急対処措置が残念ながら十分な感染抑制の効果を発揮できていない」と訴えたよ。

 県医師会の安東範明会長は同月19日と26日に会見を開き、緊急事態宣言を出さないことで、軽症から中等症の患者の重症化を防ぐ「抗体カクテル療法」の点滴薬について、「宣言などを適用しないことで確保に不利になるかもしれない」と懸念を示した。宣言を出した場合と出さなかった場合を比較できない状況では、宣言や時短営業の効果を検証することはできないとし、「全年代にワクチン接種が完了するまで、対策をしすぎてもしすぎることはない。感染拡大防止を全力でやって欲しい」と訴えた。

 一方、県南部の首長のなかには「感染者がほぼいない状況で宣言を出されると観光業への大きな打撃になる」と、知事に理解を示す意見もあったよ。7日の記者会見で、荒井知事は改めて「飲食店の時短は効果がない」と表明した。これから感染者が増えるたびに荒井知事と一部の首長の間で同じやりとりが続きそうだね。(渡辺元史)

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