「自分たちを成長させるために、技術の面でも知識の面でもトップレベルの方たちと仕事をすることが必要だろうと思った」(荒谷)
――まずは、先行配信された2曲『哀してる』『闇燦々』について伺います。『哀してる』が冨田恵一(冨田ラボ)さん、そして『闇燦々』が亀田誠治さんにそれぞれプロデュースを依頼されました。これはどういうきっかけだったんですか? 野元:2ndアルバムを作るってなった時に、ここで一度外部のプロデューサーさんとの仕事を経験してみようっていう話になったんですよ。それで、どうせやるんだったら、僕たちがやりたいって思う人たちにオファーしようということで真っ先に名前が上がったのが冨田ラボさんと亀田さんで、ダメ元でお願いしたら快く引き受けてくださったという感じです。 ――それまでずっと自分たちだけでやってきた中、ここで外部の――しかも日本を代表するプロデューサーのおふたりとやってみようというのは、バンドとしてはかなりのチャレンジだったわけですよね? 荒谷:そうですね。今までは本当に僕ら4人で完結してたんで、ここでさらに自分たちを成長させるために、技術の面でも知識の面でもトップレベルの方たちと仕事をすることが必要だろうと思ったんですよね。それはチャレンジであると同時にすごく楽しみでもありました。 野元:そうだね。社会科見学みたいな感じというか(笑)。 ――盗めるものは全部盗もうと(笑)。 荒谷:そうそう(笑)。 ――曲はおふたりとやる想定で作ったんですか? それとも元々あったものだったんですか? 荒谷:そもそもは今回のアルバムのために書いた曲だったので、はじめからこれは冨田ラボさんに、これは亀田さんにって想定して書いたというわけではないですね。できた段階で、『哀してる』は歌謡曲っぽいテイストにチャレンジしてみたかったので、よりメロディーが立ったアレンジをしてくれるのは冨田ラボさんだなと思ったのと、『闇燦々』はマイケル・ジャクソンの『ロック・ウィズ・ユー』みたいなグルーヴをyonawoでやってみたいなというところが出発点だったので、それだったらベーシストでもある亀田さんのグルーヴとアレンジが加わったらどうなるんだろうっていう興味があってお願いしました。 「今回のアルバムは全体的に生っぽさというか、人力でしか出せないグルーヴィーな感じがポイントになるよねって」(野元) ――前作『明日は当然来ないでしょ』から9カ月で今回の2ndアルバム『遙かいま』がリリースされるわけですけど、スパンとしては短いですよね。前作リリース後すぐに制作に向かった、という感じですか? 荒谷:『明日は当然来ないでしょ』の制作を終えて間髪入れずに、という感じですぐに曲作りに取り掛かりました。 野元:そうだね。ツアー中も作ってたもんね。 荒谷:だから1stとは切り離されてはいるんですけど、どこか地続きの部分はありましたね。 ――この『遙かいま』というアルバム、明らかに前作とは立っている地点が違うような気がしていて、言うなればyonawoのオリジナリティーが確立できた作品なのではないかと思います。1stアルバムの制作を終えた時点ですぐに取り掛かったということですが、そこから次に向かう中で見えたもの、あるいはバンドで共有した感覚などはありましたか? 野元:まずドラムに関して言うと、前作は打ち込みが多いんですよ。で、2ndはもっとフィジカルを出していきたいっていう話をみんなにしましたね。デモを作ってるくらいの時に。これは共通の意識としてあったんですけど、今回のアルバムは全体的に生っぽさというか、人力でしか出せないグルーヴィーな感じがポイントになるよねって話してたんですよ。だから、4人でいっせーので録るっていうのも今回初めてやりました。収録曲の『はっぴいめりいくりすます-at haruyoshi/Take 5』とか、『闇燦々』もそうなんですよね。『哀してる』もわりとそれに近い感じで録りましたね。 ――へー、そうなんですね。 荒谷:『哀してる』と『闇燦々』に関してはテイクを重ねて後から抜き差ししていったんですけど、『はっぴいめりいくりすます-at haruyoshi/Take 5』に関しては、福岡にできた新しいスタジオに入って、ヘッドフォンもなしで「せーの」ですね。その新しいスタジオというのが今年の1月くらいにできたんですけど、実はそこで作業ができたっていうのが今回はすごく大きかったですね。先ほどおっしゃっていただいたオリジナリティーの部分というのは、もしかしたらそのスタジオでじっくり煮詰められたからというのがあると思います。 自分の作る歌詞に関しては、自分なりの言葉遣いや世界観なんかを意識して作っているという実感は持てるのですが、音楽に対して、どのあたりがオリジナルなのかっていうのは正直わからないんです。だけど、今回は1曲ごとにバンドで突き詰めてボリューム感のある曲に仕上げることができたなっていう手応えはありますね。 ――なるほど。荒谷さんの書く曲って、Aメロ~Bメロ~サビというような、いわゆるJ-POPの定型からは外れた自由な構造になっていますよね。 荒谷:そうなんですよ。だから『哀してる』みたいな曲にチャレンジしたというのはありますね。『哀してる』がアルバムに入ることによって、余計に他の曲との違いが際立って、それがオリジナリティーというふうに感じてもらえるのかもしれませんね。そもそも『哀してる』のデモの段階では今とは違う譜割りで、冨田さんに入っていただいて形が整っていったんですよね。だから僕自身の気づきとして『哀してる』はすごく大きいんですよ。自分はどう作ってもこうはならないんだなって(笑)。 ――こうって言うのは、J-POP的なものにはならないんだと。 荒谷:はい。 ――少し話が戻るんですけど、今作では生のグルーヴを前面に出していきたいというのがバンドの共通認識としてあったとおっしゃったんですが、それはどういう理由からだったんですか? 野元:いくつかデモが上がってきた段階で、今回は生音にこだわりたいなっていうのを自然と思ったっていうのが正直なところですね。 荒谷:打ち込みって――あくまで僕の感じ方なんですけど――響きとして内側に広がっていくイメージなんですよ。作業としても自宅でできたりするし。でも生音は外側にどんどん広がっていく。肉体が直接震える感じというか。そういう表現をしてみたいなというところに自然と向かって行ったんですよね。それはきっと、1stアルバムを出してみて、もっと多くの人のところに届くものを作りたいって思ったっていうことも関係しているんだと思います。 ――ツアーの影響もあったんですかね? 野元:それはあったかもしれないですね。 荒谷:うんうん。まとまったツアーは初めてだったので。 野元:ライブで感じたのは、打ち込みとかコンピューターから作る音って直線なんですけど、生の音ってフリーハンドで引いた線みたいに微妙によれてるんですよね。でもだからこそ、お!って思えるし、何かそれこそ会話しているように届くというか、そういう感じがしたんですよね。だからその感覚を次のアルバムでは大事にしたいなって思ったっていうのはありましたね。 荒谷:その感覚で新しいアルバムを作れたのはすごく良かったし、この作品を踏まえた上でどこに行けるのかっていうのはワクワクしていますね。
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