◆「まだ引退できないな」(乙武)
乙武:すごいびっくりしたことがあって、俺が「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演したときに、普段はジャケットを着て出ているんだけど、その日は食べるシーンがあったのね。だから、袖が長いままだと邪魔だし真夏だからと思って、ジャケットじゃなくて半袖のシャツにベストを着て収録に出て、食べるシーンのときには、半袖を2回くらい折り返していたの。 そうしたらさ、Twitterで「乙武さんは腕を出すべきじゃない」とか「長袖を着るべきだ」とか、わりと少なくない数のコメントが寄せられて。 内田:えー、本当!? 乙武:“令和3年でも、まだこういうコメントがくるんだな”と思って。逆に“俺は、まだ引退できないな”って思った。 内田:そうだね。多分、一生をかけてやっていかないとだめだよね(笑)。 乙武:でも、これは最近ずっと言っているんだけど、そろそろ(自分のポジションを)若い人に譲りたくて。 内田:(笑)。「弟子にさせてください」っていう人はいないの? 乙武:いっぱいいるのよ。 内田:やっぱりいるんだね。 乙武:YouTubeとかの配信サイトで頑張っている子もたくさん出てきていて、すごく応援をしているんだけどね。それこそさ、5年前にスキャンダルがあって、2年くらいメディアから消えてたのよ。 内田:あ、そう? 私のなかで、そんなイメージがあまりないんだよね。 乙武:2年くらいは、まったく(メディアに)出ていなかったの。だけど、俺としては“チャンスだな”と思っていて、俺がいないときに、たまたまさ……。 内田:“ほかの子たちが台頭してきてくれないかな?”って思っていたんだ。 乙武:そう。さらに、そのときはリオパラリンピックがあったり、相模原障害者施設殺傷事件も起こったりして、「障害」がけっこうキーワードになるニュースがいっぱいあったのよ。 だから、それこそ俺以外の障害のある子が、論客として出てくるチャンスだったのね。ところがメディアは、活動自粛中の自分にコメントを求めてきたのよ。だけど俺は「ちょっと今、活動を自粛しているので」って苦笑いをしながら答えて(笑)。 内田:偉かったねぇ(笑)。 乙武:いやいや……。でも結局、やっぱり誰も出てこなくて“乙武しかいない”っていうことになり、このまま俺が消えたら“乙武さえいない”ってことになる……。 内田:でもそこは、乙くん持ち前のポジティブな心で捉えるべきじゃない? ハンディキャップがあるから呼ばれているわけではなくて、そこにトークだったり、行動力だったり、人を惹きつける力とか……そういうものを全部ひっくるめての乙くんだから、まだまだ必要とされているんだと思う。そんな人って、なかなかいないんじゃない? 乙武:一回ね、テレビ局の人に「俺以外の人をもっと出しましょうよ」って言ったことがあるのよ。そうしたら、最近の番組って、例えばニュースを扱うような番組でも、芸人さんがそこにいて成り立っているものが多いと。 そうなるとやっぱり、出演していただくには芸人さんとの絡みが出てくる。芸人さんは面白おかしくすることが仕事だから、そのなかで、障害者の方に対して視聴者が“失礼だな”と感じてしまうような言動があったときに、現場がピリついちゃったりクレームがきたりするのが、やっぱり怖いと。でもそれが乙武さんだと、うまく返せると視聴者も知っているからって。 内田:芸人さんたちも、乙くんに「ここまで言ったら“こう返してくれるだろう”」っていうのが分かっているからね。 乙武:そういう積み重ねがあって、視聴者も制作者側もみんな、(自分だと)ピリつかないのが分かっているから「結局、乙武さんになっちゃうんですよね」って言われたときに“根深いな”と思って。 そりゃ嬉しい気持ちもあるけど、でもやっぱり、障害者界全体のことを考えると……そろそろ違う人も出てきたほうがいいんじゃないかな、とは思うんだよね。 内田:そっかぁ……。 乙武:だって、もう23年もやっているからね。 内田:でも、まだ23年だよ? 人生は長いし。きっとこの先に乙くんを見て“自分にもこんな道があるんだ”っていう人が出てくるんじゃない? 乙武:そうね。 (TOKYO FM「TOKYO SPEAKEASY」8月3日(火)放送より)
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