輸入車 [2021.07.05 UP]
ランドローバー レンジローバー イヴォーク/気になる中古車【試乗判定】
2019年モデル ランドローバー レンジローバー イヴォーク S D180
この記事の目次
文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年8月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年6月調べ。
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?
Member Profile
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自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2021-2022 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。 -
自動車ジャーナリスト【九島辰也】
長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。
アーバンSUVの代表格が第2世代に進化
歴史的にもジャガーはスポーティなブランド
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、ランドローバーから高級コンパクトSUVのレンジローバー イヴォークが登場です。お借りした車両は2019年モデルで、グレードは「S D180」、走行距離は9000kmです。
九島●お、この色、カッコいいね。イヴォークといえば、レンジローバーは2020年に50周年を迎えたんだ。いまSUVはブームを超えて定番化しているけど、ランドローバーとレンジローバーは歴史が違う。だからこそブランドとして評価が確立しているんだ。
竹岡●そんな老舗が初代イヴォーク(2012年〜2019年)を出したんだから本当に驚いた。だってSUVなのに3ドアが先に出て、デザインもクーペみたいだったし。
九島●たしかに初代の登場はセンセーショナルだった。デザイナーのジェリー・マクガバンが生み出したデザインは世界中に影響を与えたね。そういう意味では、イヴォークはMINIと同じで、このデザインを進化させていくしかないのかもね。
竹岡●新型はデザインも装備も、まさにいまどきのランドローバーって感じだけど、相変わらずラゲッジルームはあまり広くないね。
九島●基本的には現行型も2ドアクーペ的なパッケージングだからね。アーバンSUVの代表格であることは新型でも変わらない。
竹岡●使い勝手を含めたバランスでいえば、ディスカバリースポーツがあるもんね。お互いスタートプライスが500万円を切るエントリーモデルだけど、上手にキャラクターが作り分けられてる。
編集部●そんな新型が登場したのは2019年で、プラグインHV(日本未導入)やマイルドHVにも対応する新型アーキテクチャーを採用しています。デビュー当時のパワートレインは、2L直列4気筒のディーゼルターボ(180馬力)と2L直列4気筒のガソリンターボ(200馬力、250馬力)、そして2L直列4気筒ガソリンターボ+モーターのマイルドHV(300馬力)です。
九島●そういえばブランドで初めてのマイルドHV採用車だ。レンジローバー ヴェラール(2017年〜)で始まったインフォテインメントシステムも続けて導入されたし、運転支援システムも当然充実している。
竹岡●まさにいまどきのランドローバー レンジローバーなのよ。
九島●2021年モデルの一部改良ってどんな内容だったの?
編集部●最大のトピックは、ディーゼルエンジンが改良され、204馬力のマイルドHVとなったことです。また、新型のインフォテインメントシステム「Pivi」(「S」以上は「Pivi Pro」)や運転支援システムも標準化されました。
竹岡●先代モデルはデザインは最高だったけど、走りの質感や装備に関しては正直言ってクラスベストとは言い難かったじゃない。
九島●そうだね。そこは同意。
竹岡●2代目はパワートレインや装備といったデザイン以外もしっかりと作り込んでる。
編集部●ではそろそろ、試乗のほうをよろしくお願いします。
九島「デザインコンシャスなアーバンSUVの代表格」
竹岡「初代から正常進化してぐっと大人っぽくなった」
DETAIL CHECK
デザインに惚れて買って後悔しない完成度の高さを身に付けた
編集部●試乗から戻ってきましたので、お二人から感想を伺います。
九島●普通に快適でした。
竹岡●ホント、普通にいいクルマ。ただ、私の身長(約160cm)だと座面を高く調整してもハンドルが上すぎるし、座面が長いからペダルが踏みにくいのは気になった。
九島●小柄な女性だとそうかも。あと、カメラがたくさんついていて、死角をカバーしてくれるとはいえ、横幅の広さだけはちょっと気になる。
竹岡●だよね。最近の高級SUVはみんなこんな感じだからイヴォークだけが幅広なわけじゃないし。逆にイヴォークは全長が短いから、取りまわし自体は悪くないよ。
九島●そのとおり。それで中古車市場はどうなってるの?
編集部●中古車相場ですが、今回お借りしたクルマだと450万円くらいから。まだそんなに物件数は多くありませんが、選べる状況です。
九島●先代モデルだとどのくらい?
編集部●人気モデルだけあって、低年式のものでも200万円の後半から、最終型で400万円台です。
竹岡●新車のハリアーと同じくらいだと考えたら中古車ってお得だね。だってレンジローバーだよ。ブランド力があるじゃない(笑)。先代に比べるとだんぜん乗りやすいし。
九島●それは間違いないね。特に今回乗ったディーゼルはよかった。ブランド力とデザインの完成度は相変わらず魅力的。デザインコンシャスなクルマだっていうところをちゃんと理解して乗るなら大いにアリ。
竹岡●自分の基準があって、求めるものがわかっている人ってことね。
九島●そういうこと。
レンジローバーの名に見合う充実した装備と高い質感
タッチ操作を採用したインフォテインメントシステム「Touch Pro Duo」を採用することで物理スイッチを減らし、すっきりとした印象としたインテリア。走行中の路面状況を自動的に検知し、車両制御を最適化する「テレイン・レスポンス2」など運転支援システムも充実している。
後席のスペースを拡大しファミリーカー的な用途にも対応
インテリアにはユーカリやウール、再生プラスチックといったサステイナブルな素材を使用。新時代のラグジュアリーSUVを目指した。ホイールベースを延長し、リアシートのスペースは20mm拡大。グローブボックスは大型化され、小物入れを増やすなど使い勝手を高めている。
好みに応じて選べる充実したパワートレイン
エンジンはディーゼルとガソリン、そしてガソリンベースのマイルドHVの3タイプ。全車ともに9速ATで4WD仕様となっている。ランドローバー初となるマイルドHVは、48Vで駆動するモーターが低速時の走行を支援。静粛性と洗練された走行フィーリングに貢献する。
デザインだけでなく使い勝手も優秀です
ラゲッジルームは、初代モデルから10%スペースを拡大。標準状態で591Lで、4対2対4の分割可倒式リアシートを展開することで、最大1383Lまでそのスペースを広げることができる。標準キーを車内に置いたままレジャーを楽しめる防水のリストバンド型キーも用意されている。
試乗判定レビュー
※各項目に対して5点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
竹岡 圭
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初代イヴォークはひとつの時代を作ったクルマだと思うんです。後に続けとばかり、デザインモチーフを取り入れたさまざまなジャンルのクルマが登場したほどの爆風でした。そのオシャレ度はそのままに、より今の時代に合わせた装備を盛り込んだのが現行型といったところ。キープコンセプトのデザインのまま、進化を続けていってほしいモデルです。
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このモデルはホイールまでブラックにまとめられていますが、こういった洗練されたオシャレ感を持っているのがイヴォークなんですよね。インテリアもソフトパッドの使い方が上手で、やっぱりレンジローバーの末っ子だけのことはあるとうなずけるところ。安全装備を含め、悪路も走れるような装備はバッチリ入ってますのでご安心を。
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今回試乗したのはディーゼルエンジンモデルでしたが、低回転域からしっかりトルクが出ているタイプで、多段な9速ATを生かしたクルージングも快適そのもの。いわゆるマイナス方向のディーゼル感は、まったく感じさせないのはさすがです。身長160cm弱の私には、シート座面が長いのをはじめ、上手にコマンドポジションが取れないのが難点(涙)。
- 平均点 4.8
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- ポジショニング 5.0
- 装備 5.0
- 走り 4.5
九島辰也
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2010年9月のパリサロンに出展された初代イヴォークは、レンジローバーのデザインを現代的に進化されただけでなく、世界中にフォロアーを生み出すほどの衝撃だった。だからこそ、フルモデルチェンジした2代目の現行モデルが、その正常進化版となったのはうなずけるところ。クーペライクなシルエットはそのままに、より現代的に進化した。
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プレミアムコンパクトSUVというジャンルを切り開いたイヴォーク。だが、初代は装備類や質感が古くからレンジローバーを知るものからすると若干寂しかったのも事実。2代目はそこが大きく改善された。装備はクラストップレベルだ。それでいて、インターフェースにタッチ操作を導入することで、室内をシンプルにしたのも見事。
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卓越していたデザインに比べて、ベストとは言い難かったパワートレインやステアリングフィールが大きく改善されたのも現行モデルのポイント。特に今回試乗したディーゼルエンジン仕様は車体とのマッチングがいい。若干アクセル操作に過敏なところがあるが、出だしもよく、静粛性や振動もディーゼルらしからぬ洗練されたものだ。
- 平均点 4.8
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- ポジショニング 5.0
- 装備 5.0
- 走り 4.5
グーワールド 編集部
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まるでクーペのようなSUVの元祖といえるのがイヴォーク。初代は圧倒的に斬新だったデザインに加えて、500万円を切るスタートプライスも大いに話題となり大ヒット。中古車市場の相場もいまだに高値安定です。2019年に初のフルモデルチェンジを受け、プラットフォームの電動化対応など、最新のトレンドを押さえた内容に進化しました。
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現行型イヴォークでは、積極的に最新のインターフェースや装備類を導入しています。かつてのクロカン4WDには、駆動系を切り替える多くのスイッチが用意されていましたが、イヴォークは路面の状況を自動的に判断し、最適な走行モードを車両が選んでくれます。クルマを離れた場所からスマホで操作する「リモート」も標準装備されています。
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全長は約4.4mとコンパクトながら、全幅1.9mと幅が広いため、試乗前は取りまわしが若干不安でした。ですが、もともとの視界のよさに加えて運転支援システムが充実しているおかげであまり気になりませんでした。高速ではアダプティブクルーズコントロールで先行車をスムーズに追従。これなら街乗りから週末のロングドライブまで快適です。
- 平均点 4.8
-
- ポジショニング 5.0
- 装備 5.0
- 走り 4.5
ライタープロフィール
グーネット編集部
クルマの楽しさを幅広いユーザーに伝えるため、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど 様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。 みなさんの中古車・新車購入の手助けになれればと考えています。
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