2016年から木星の軌道にいるNASAの探査機「ジュノー」が、現地時間の6月7日(月)午後1時35分木星の衛星ガニメデに接近しました。氷の多い衛星の組成と磁場を観測することが目的です。
サン・アントニオにあるサウスウエスト研究所のジュノー主任調査員Scott Bolton氏は、NASAのプレスリリースで「ジュノーはこれまで不可能だった方法でガニメデを観測できる高感度な機器を載せています」と述べています。「非常に近くを飛ぶことで、我々のユニークなセンサーが将来のミッションへの補足と、木星系への次世代ミッションの準備の手伝いを兼ねて、ガニメデの探査を21世紀にもたらします」とのこと。
2011年に打ち上げられたジュノー探査機は、太陽系最大のガス惑星である木星の組成とその進化、および謎めいた衛星たちへの理解を深めるべく探査を行っています。今回のフライバイでは、ガニメデの謎を解明するために木星観測用に設計された機器を活用。同探査機に搭載されているマイクロ波放射計は通常、木星の大気(深さ560km近くまで)の動きと構造に注視していますが、水星ほどの大きさの衛星ガニメデを凝視して氷でできた地殻で何が起きているか観測します。NASAのリリースでBolton氏は、ガニメデの表面には明るいと暗い領域があって、氷の一部はただの水が凍ったものだけではないかもしれないと指摘しています。
科学者らが関心を持っているのは、ガニメデの目に見える特徴だけではありません。ジュノーの搭載機器は衛星の大気に向けて電波を射出することになっていました。これは電離圏と呼ばれる外側の層がその電波をわずかに屈折させ、その変化を地上の天文台で受信することを期待してです。「もしこの変化を観測できれば、ガニメデの電離圏と備わっている磁場、そして木星の磁気圏とのつながりを理解できるかもしれない」とジュノー計画の信号分析エンジニアDustin Buccino氏は同じリリースで語っていました。その上、ジュノーのカメラが集めた画像のノイズはガニメデの放射環境についての情報を見分けるために使われ、研究者らは画像を基にガニメデ表面への理解を深められるようになります。
ジュノーの使命は、8年近く木星を周回して主な衛星へのフライバイを果たした先代探査機「ガリレオ」の成果の上に築かれています。ガリレオのミッションは、2003年に木星の大気に突入して機体を破壊するという指令を受けて締めくくられました。ガニメデの磁場を検出したのはガリレオであって、その観測が現在のジュノーの使命へとつながったのです。
フライバイの際、ジュノーは毎秒19kmの速度で通過するため、ガニメデを撮影できる時間は、遠く離れた光の点だった衛星に接近して再び遠ざかるまでのたった25分間ほどしかありません。
既に次世代の木星ミッションは動き始めています。欧州宇宙機関の木星氷衛星探査計画(JUICE)とNASAのエウロパ・クリッパーはそれぞれ、2022年と2024年に打ち上げ予定。打ち上げ日からして各探査機が木星の軌道に到着するのは2030年ごろと、NASAの金星ミッションの打ち上げと同じ時期になります。2030年というと遠い先のように感じられますが、それまでには有人月面探査のアルテミス計画も実現しているはずなので、いろんなミッションにワクワクしていたらあっという間かもしれませんね。
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