新型コロナウイルス感染拡大で高齢者の心を漠然とした不安や恐怖が覆っている。碧南市新川町にある堀尾医院の堀尾静院長(77)は、患者の言葉にじっくりと耳を傾け、気持ちを開放させることを心掛けている。五十歳で開業してから、在宅で三百人以上をみとった。「自分の経験からしか、相手に届く言葉は出てこない」。寄り添うように患者と向き合っている。
「日ごろから『いつ死んでもいい』と言っていた人が『コロナにかかって、つらい思いはしたくない』と言う。『家族から自分が冷たくあしらわれている』と愚痴を言う人も多くなった」。外出自粛が続き、家庭内での感染の恐れもあり、社会や家族から孤立して疎外感を訴える高齢者が増えた、と堀尾院長は実感している。
だからこそ「この寂しさや孤独感を受け止めていくのが僕の診療風景。『そうだね、そうだね』と話を聞く。帰る時には、明るい表情になって『ありがとうございました』と言って帰って行く。コロナ時代の医療は、何かを与えるのではなく、医者が患者の話を聞く関係性がとても大切だ」と力を込める。
外科、内科などの診療科目を掲げているが、患者の心の状態を診る「精神科」に重きを置く。「僕は人間...
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