緊急事態宣言の延長が見込まれる中、菅義偉政権の足元が揺らいでいる。鳴り物入りでワクチン担当に指名された河野太郎行革担当相が、坂井学官房副長官の発言を「修正」する騒動があったのは記憶に新しいが、不穏な動きはこればかりではない。 【もはや内側からガタガタに 菅首相の写真はこちら】
「河野氏と厚生労働省の間で摩擦が起きている。厚労省と近い立場の西村康稔経済再生担当相も巻き込んでの権力闘争になりそうです」(政府関係者) それが垣間見えるのがワクチン接種の管理方法をめぐるすれ違いだ。 「河野氏と平井卓也デジタル改革相が協議し、マイナンバーと紐づけた新しい管理システムをつくると確認したが、それは厚労省が構築しようとしているワクチン接種円滑化システム(V-SYS)とはまったく別のシステム。河野氏は厚労省を『敵』と設定して『改革』をアピールするつもりなのではと、周囲は戦々恐々としている」(同) ただ、マイナンバーカードの普及率は現状2割余りで、河野氏の戦略が功を奏するかは未知数だ。 国会議員の「やらかし」も止まらない。政府は国民に飲食店での会食の自粛を求めているが、与党幹部議員の「会食」スキャンダルが続出している。 自民党の石原伸晃元幹事長は新型コロナ陽性が判明する前日の1月21日、坂本哲志地方創生担当相らと会員制レストランで昼食をとったことが明らかに。医療が逼迫する中、感染判明後、即入院できたことに「特別扱いでは」との批判が噴出した。立憲民主党の小川淳也衆院議員がこう批判する。 「特別扱いだったかどうかはわかりませんが、石原氏は与党の大幹部。今、都内だけで6千人が入院を待ち、全国で3万5千人から4万人が待機していて、国民の皆さんは陽性になったら入院できるのか不安に思っています。昨夏のうちに病床数を拡大するなどの準備を怠ってきた結果が批判につながっているのだと思います」
さらに、「自民党のマツジュン」こと松本純・国対委員長代理と公明党の遠山清彦・前財務副大臣が、それぞれ緊急事態宣言下の夜に東京・銀座のクラブを訪問したことが発覚。その後、遠山氏は自身の資金管理団体が19年、福岡市内のキャバクラなどに計約11万円を支出していたことも明らかになった。松本純氏は当初、「一人だった」と説明していたが、その後、田野瀬太道・文部科学副大臣、大塚高司・衆院議院運営委員会理事の2人と一緒だったことが判明。遠山氏は議員辞職し、松本氏、田野瀬氏、大塚氏の3人は自民党に離党届を提出した。 2議員の問題が最初に発覚した26日、本誌は自民党の金田勝年元法相がホテルのレストランで会食するとの情報をキャッチ。翌27日昼、金田氏が4人で会食する現場を目撃した。 会食を終えた金田氏を直撃すると「4人じゃなくて2人」「ここで一番安いラーメンを食べた」などと釈明。だが、後に事務所に確認すると、会食相手の3人はいずれも金田氏の秘書。店によれば一番安いラーメンの価格は約3300円だった。 「議員や役人の人心が官邸から離れているから、続々と問題が起きる。掘り下げると他にも五月雨式に出てきかねないし、各派閥領袖への遠慮もあり菅首相も処罰を即決できない。政権末期のような空気感すら漂っています」(前出の政府関係者) (本誌・上田耕司) ※週刊朝日 2021年2月12日号
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