パナソニックが2020年度第3四半期業績について説明。アプライアンス社やライフソリューションズ社、オートモーティブ社、インダストリーソリューションズ社の業績が前年同期比以上の水準まで回復。為替や非連結化の影響を除いた実質ベースの売上高は前年同期比で増収、利益も第2四半期に続き増益となった。
パナソニックは2021年2月2日、オンラインで会見を開き、2020年度(2021年3月期)第3四半期業績について説明した。コロナ禍で需要が拡大している「ナノイーX」や「ジアイーノ」などの空質、衛生関連製品を中心にアプライアンス(AP)社やライフソリューションズ(LS)社、テスラ(Tesla)向け車載電池の黒字化が安定軌道に入ったオートモーティブ(AM)社、データセンター向け蓄電システムや産業用モーターが好調なインダストリーソリューションズ(IS)社の業績が前年同期比以上の水準まで回復。為替や非連結化の影響を除いた実質ベースの売上高は前年同期比で増収、利益も第2四半期に続き増益となった。
2020年度第3四半期単体の連結業績は、売上高が前年同期比5%減の1兆8141億円、調整営業利益が同50%増の1428億円、営業利益が同30%増の1302億円、税引き前利益が同27%増の1269億円、当期純利益は同5%増の812億円。為替や、住宅、角形車載電池、セキュリティシステム、半導体などの非連結化の影響を除いた実質ベースの売上高は前年同期比2%増となっており、利益面でも増販益に経営体質改善の効果も加わり、コロナ禍の影響が色濃かった第1四半期を底に業績を大きく回復させている。
足元の第4四半期もコロナ禍からの業績回復基調は変わらないことから、2020年度通期の連結業績見通しについても、2020年7月の前回発表から上方修正を行った。売上高は前回予想比1000億円増の6兆6000億円、調整営業利益が同800億円増の3000億円、営業利益が同800億円増の2300億円、税引き前利益が同800億円増の2300億円、当期純利益は同500億円増の1500億円で、調整営業利益率は前年の3.8%に対して4.5%に向上すると予測する。
この上方修正に貢献しているのが、第3四半期の業績が好調だったAP社、LS社、AM社、IS社の4社である。AP社は国内や中国での洗濯機や冷蔵庫、調理家電などのホームアプライアンスが、売り上げ、利益とも大きく伸ばし、エアコンなどを扱う空調冷熱ソリューションズも増収増益となった。LS社は、前年比で3倍以上の売上高増となっているジアイーノを手掛けるパナソニックエコシステムズや、インドの配線器具が大きく伸長することで太陽電池事業などの苦戦をカバーしたエナジーシステムの貢献により、実質ベースの売上高は前年同期並みとなり増益も果たした。
AM社は、第1四半期の自動車減産の反動により車載機器事業が増収、利益面ではテスラ向けを中心とする車載電池事業が材料合理化などの効果で黒字幅を拡大。車載電池の生産ライン切り替えによる減収、欧州顧客向け充電器の減損などがあったものの、全体としては増収となり、調整営業利益では黒字転換を果たした。IS社は、半導体事業の譲渡や液晶パネルの生産終了などがあったものの、データセンターなど情報インフラ向け蓄電システムやコンデンサーが好調だったシステム事業と、コンデンサーなどの車載向け市況が回復したデバイス事業の両方が増収増益となり、営業利益率は5.6%となった。
唯一厳しい状況にあるのがコネクティッドソリューションズ(CNS)社で、プロセスオートメーションが実装機の旺盛な需要に支えられ増収増益となったものの、運航便数の激減と航空機の大幅減産により大幅な減収減益となったアビオニクスや、世界的なイベント中止の影響を受けたメディアエンターテインメントの落ち込みをカバーできず第3四半期も減収減益となった。通期業績見通しの中でも、AP社、LS社、AM社、IS社が上方修正する一方で、CNS社は下方修正となっている。
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