累計38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。 ● ROAを引き上げるには? 林教授 ボクがROAは経営者の能力を評価する有効な指標だ、と言った意味はわかったね。 カノン はいよくわかりました。それにしても貸借対照表って奥が深いですね。 林教授 そうだね。では、もう少し深掘りしてみよう。ROAを引き上げるために、君は将来の経営者として何をすべきだろう? カノン 雑用係の発想ではダメなんですね。じゃあ、父の代行として考えるとしたら……。えっと、こういうことですか。売上高を増やし費用を減らして税引き後当期純利益を増やします。それから分母の総資産も減らす。正解ですか? カノンの考え ROA↑=税引き後当期純利益↑(売上高↑-費用↓)÷総資産↓(流動資産↓+固定資産↓) 林教授 そうだね。間違ってはいないが、あまりに単純すぎる。雑用係の発想から抜け切れていない。 カノン ガクッ。
● 見えない現金製造機を充実させて、 利益率を引き上げる 林教授 これまでに教えたことを総動員して、もっと深く考えてみたまえ。 カノン わかりました。まず税引き後当期純利益を増やすには、営業を強化したり、売れる商品を開発して売上高を増やします。それから、費用を減らすには手っ取り早くムダな費用を削ります。どうですか? 林教授 経営者代行らしくなってきた。では、総資産を減らすにはどうしたらいいのだろう。 カノン 「ビジネスプロセス」に詰まっている商品や売掛金を取り除く。それから、高性能の「現金製造機」に投資する。どうでしょうか? 林教授 かなり良くなったね。だが、まだ総務部長止まりだ。 カノン じゃあ、こういうのはどうですか? 見えない現金製造機を充実させて、利益率を引き上げる。違いますか? 林教授 経営者にはその発想が大切なんだ。つまり、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等といった目に見えない資産を増やす。これらは利益を生み出す強力なエンジンといっていい。 ROAが極端に低い会社の経営者は、なぜか現金を生まない固定資産を手放そうとはしないのだよ。投資の失敗を認めたくないからだろうね。 カノン なるほど。 林教授 思い切ってお金を生まない固定資産を処分して、新しい機械に替えることを検討しなくてはならない。だからいくら従業員が頑張っても、業績が上向くことはない。こういう経営者がいる限り会社はよくはならないね。 カノン 父も同じです。何しろワンマンで他人の言うことを聞きませんから。でも、本音は現状を変えるのが恐ろしいのでしょうね。そんな気がします。 林教授 なるほど。君はやさしいね。そろそろ君の出番かもしれないよ。 林 總(はやし・あつむ) 公認会計士、税理士 明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授 LEC会計大学院 客員教授 1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。
からの記事と詳細 ( ROAを高めるために必要な利益を生み出す強力なエンジンとは何か?(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/3bOiP5E
No comments:
Post a Comment