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Wednesday, April 15, 2020

ドミコの「音楽」の独創性。ひたすらにアートフォームを磨き続ける - CINRA.NET(シンラドットネット)

「なにもない」という言葉があった。

今あなたが読んでいる、このインタビューの序文としてくっついている文章(僕らは「リード文」と呼ぶ)は大体、インタビューの本文をまとめたあとで最後に書くのだけど、僕は今回のドミコ・さかしたひかるインタビューの原稿をまとめ終えた今、冒頭のことを思ったのだ。「なにもない」という言葉があった、と。「なにもない」って、字面がかわいいね。なんだか柔らかそうだね。「何も無い」より、「なにもない」のほうがいいね。

4月15日にミニアルバム『VOO DOO?』をリリースする、ドミコ。めちゃくちゃかっこいい。どんどんと進化していく。前作フルアルバム『Nice Body?』以上に、激しく、ダイナミックな楽曲が並んでいる。しかし、アンサンブルがより太く重くなっているのとは裏腹に、彼らの軟体動物のようなポエジーは、より奇妙な形となって、耳と心にまとわりついてくるようだ。今回も、さかしたひかるに話を聞いた。ちょっと気になっていたことから、話を始めてみた。

※この取材は東京都の外出自粛要請が発表される前に実施しました。

純粋に「音楽」を聴いてほしいだけで、そこに俺の思想が入る余地はないんですよね。

ドミコ<br>左から:長谷川啓太(Dr,Cho)、さかしたひかる(Vo,Gt)<br>2011年結成。メンバーは、さかしたひかると長谷川啓太。これまでに3枚のアルバムをリリースし、『FUJI ROCK FESTIVAL 2017、2019』『RISING SUN ROCK FESTIVAL』『RUSH BALL』『ROCK IN JAPAN'19』等の大型ロックフェスに軒並み出演。中国ツアー、『SXSW』及び全米6か所のツアー、台湾公演も果たす。4月15日に新作『VOO DOO?』を発売した。
ドミコ
左から:長谷川啓太(Dr,Cho)、さかしたひかる(Vo,Gt)
2011年結成。メンバーは、さかしたひかると長谷川啓太。これまでに3枚のアルバムをリリースし、『FUJI ROCK FESTIVAL 2017、2019』『RISING SUN ROCK FESTIVAL』『RUSH BALL』『ROCK IN JAPAN'19』等の大型ロックフェスに軒並み出演。中国ツアー、『SXSW』及び全米6か所のツアー、台湾公演も果たす。4月15日に新作『VOO DOO?』を発売した。

―僕がさかしたさんに取材させてもらうのは今日でもう4回目なんですが、こうやってインタビューを受けるのは、気分的にどうですか。

さかした:う~ん……あんまりっす。

―どういうことですか(笑)。

さかした:別に、今この瞬間に「帰りたい」とか思っているわけじゃないですよ。ただ、やる前は、「マジかぁ。取材かぁ……」ってなります。でも、取材に来る人はみんないい人なんで、大丈夫っす。

さかしたひかる
さかしたひかる

『VOO DOO?』トレイラー

―(笑)。新作『VOO DOO?』、めちゃくちゃいいですね。

さかした:あざっす!

―『VOO DOO?』というタイトルは、どういったところから出てきたんですか?

さかした:そんなに深い意味はないです。いつもそうだけど、麻薬的というか、中毒的というか、そういう感じで聴けるアルバムになったらなと思って。俺の願望ですね。いつも俺が目指しているのは、スルメっぽいアルバムなので。

―「ブードゥー教」というのもありますよね。3曲目“びりびりしびれる”の歌詞に<あー神様は他の星にもう越したし頼むことはない>という歌詞もあるので、どこか宗教的なニュアンスが、このアルバムのテーマになっているのかなとも思ったんですけど。

さかした:そういうことではないっすよ。「VOO DOO」っていうのは、ざっくりと「おまじない」みたいなニュアンスです。“びりびりしびれる”も別に、そういう曲ではなくて。

ドミコ“びりびりしびれる”ミュージックビデオ

―なるほど。大げさかもしれないけど、さかしたさんの宗教観のようなものを感じられる曲だなと思っていました。

さかした:まぁ、醒めているな、とは思いますけどね、俺は。信じること、信じるものがあるっていうことは、めちゃくちゃ強いと思うんですよ。でも、それを醒めた目で見る観点は失いたくないなって思ってる。

―「おまじない」というと、かけられた人になにかしらの作用をもたらすものだと思うんですけど、自分が作った音楽の聴いた人に対する効能って、さかしたさんは考えられたりしますか?

さかした:なんかあったら嬉しいですけどね。俺は自分のために音楽を作っているだけだけど、たまにTwitterやインスタで「救われました」みたいなメッセージをもらうこともあるんですよ。そうすると、「あ、ラッキー」って思います。俺は、そんなつもりで作っていないけど、そう思ってもらえたんだなって。

―どんな人たちが、ドミコの音楽を聴いて救われるんですかね。

さかした:それはわかんないっす。めっちゃ落ち込んでそうな人が多い気もしますね(笑)。

―(笑)。

さかした:でも、俺は自分のために音楽を作っているだけだし。だから、「ドミコを聴いて救われた」と言われると、より一層、「俺は自分のことだけ考えて曲を作っていていいんだな」って思える。許された気になりますね。ありがたいっす。

ドミコ

―ドミコの音楽を聴くと、表現されているものの前提にあるのは、今の時代のなかにある閉塞感だったり、不安感だったりするのかなと思うんですよね。それがあるからこそ、ドミコを聴くと「あぁ、わかるな」って思えるかなと。ご自分の意識としてはどうですか。

さかした:考えてないっすよ、別に。時代性をあまり出したくないっていうのもあるし。難しく捉えてほしくないんですよね。

そもそも、歌詞を書いているとき、自分がなにを思って書いているかなんて自分でもわからないんです。自分の意見とか感情を音楽のなかに取り入れたくないし、それを他の人に見られたくもないし。だから俺の曲は、架空の身代わりみたいなものを作って、そいつのことを歌っている感じの曲が多くなるんです。それで、主語が「あたし」になったりする。「俺は」とか「僕は」って言葉は、滅多に歌わないと思います。それは余計な情報になってしまうと思うから。

―なるほど。

さかした:俺は「俺の歌」を歌いたくないんです。純粋に「音楽」を聴いてほしいだけで、そこに俺の思想が入る余地はないんですよね。

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