【名伯楽・内田順三「作る・育てる・生かす」】#44
人を育てるのは時間がかかるものだ。
例えば打つ時に体が前に突っ込んでしまう選手がいる。これを「突っ込むな」と言うだけなら指導とは言わない。
まずは体が前に出てしまう原因を見つけだす。その後は修正する練習法を考える。長年の染みついた打ち方を変えるのだから、選手にはつらく、苦しい作業になる。時間がかかって当然だ。それを継続するのはさらに難しい。ここからは本人の意思次第。こちらがいくら熱心にああだこうだと言ったところで、選手自身が脇目もふらずに反復してくれないと身につかないからだ。
私の見てきた中では、不器用な選手の方が成功することが多い。
器用な選手はすぐにできてしまうため、さっさと次に行ってしまう。ただ、実は習得の度合いが浅く、本当の意味で身についていないことがよくある。半面、不器用な選手は、時間はかかっても、亀のごとく着実に前に進んでいくため、しっかり身になっているケースが多い。習得に要した時間は、習熟度に比例するというのが私の持論だ。ここまでやって、ようやく人は育つ。
高卒選手には強制的にやらせることが必要な時期もあるが、ずっとそれでは先に進めない。やらされる練習には限界がある。
■手取り足取り教えた後は距離を置く“ツンデレ”指導
時間をかけて教えた選手とは、その後に距離を置く時間をつくることにした。私のアドバイスを選手が理解し、反復しているか。少し離れた所からこっそり見るようにした。伸びる選手はやはり、やっている。
アウトコースが苦手だった巨人の坂本勇人には、ステップをする左足のかかとを上げ、つま先立ちの状態で行うティー打撃など10種類以上の練習を課した。
広島の鈴木誠也は入団当初、バットが遠回りして出てくるアウトサイドインの軌道だったため、坂本とは逆でインコースに手を焼いていた。
木製バットのしなりをよりうまく使えるように、体に正対させるようにネットを立て、その間にスタンドティーを置いて打たせた。バットがネットに当たらないよう、インサイドアウトで振るには、体をこするように右肘を使わなければならない。最初はバットのヘッドが寝ない高い位置にボールを置く。徐々に低い位置に下げていった。
フリー打撃、ティー打撃、素振りに至るまで、それを意識して振っているか。何が悪くてどこをどう修正したのか。理解していれば継続できる。そこから自主的にやるようになる。のちに調子が悪くなった時、立ち返る場所が分かる。坂本も誠也も自発的に反復していた。一つずつ地道に積み上げていったからこそ、日本球界を代表する選手になったといえる。
「知っている」と「できる」は全く違う。知らせるだけで終わりではなく、できるところまでもっていくのがコーチの務めである。
(内田順三/前巨人巡回打撃コーチ)
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April 02, 2020 at 07:26AM
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弱点の原因を見つけ修正…坂本と誠也に共通していた反復力【名伯楽 作る・育てる・生かす】 - ニフティニュース
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