トム・ブレイディとニューイングランド・ペイトリオッツとの間には20年にも及ぶ輝かしい歴史がある。そのブレイディが初めてペイトリオッツと対戦相手として対峙し、新たな歴史を刻む機会がまもなく訪れる。
ブレイディが現在所属するタンパベイ・バッカニアーズはNFL2021年シーズン第4週目にニューイングランドへ遠征し、ペイトリオッツと対戦する。ブレイディにとっては古巣チームと対戦する初めての試合となる。そしてもしこの試合にバッカニアーズが勝利すれば、ブレイディはNFL全32チームから白星を挙げた史上4人目のクォーターバックになる。
マサチューセッツ州フォックスボロに帰還することでブレイディは感傷的になるか? この偉大なクォーターバックはむしろビジネスライクになるだろうと、かつて在籍したチームとの対戦を前にした心境を語った。アップル社のポッドキャスト『Let’s Go!』にジム・グレイとラリー・フィッツジェラルドとともに出演したブレイディはこう述べている。
「僕はそれほど思い出に浸るようなことはないよ。そうなるべき時ではないと思っている。そのうちに僕のアメフト選手としてのキャリアを振り返る機会はたくさん来るだろうけど、今はそれに相応しい時ではない。なぜなら、僕は今に集中しているからさ。僕は20年の歴史について考えたりはしない。それよりこの日曜夜の試合について考えるよ。前の試合で手痛い敗戦をしたから、それを取り戻さないといけないからね」
ブレイディはペイトリオッツもまた敗戦からの巻き返しを狙っていることを知っている。ペイトリオッツは現在1勝2敗の戦績で、勝利を必要としている。だからこそブレイディはジレット・スタジアムの観客から熱烈な歓迎を受けるとは思っていない。
「そうだね、僕はホームカミング(訳者注:米国の高校や大学で卒業生が母校に集まる年中恒例イベント)を期待してはいないよ。ファンは地元のチームを応援するためにスタンドに来るのだと思うし、彼らにとってそれはペイトリオッツだ。その中には僕を長年応援してくれた人もたくさんいるだろうけどね。僕はそこに試合を見たいと思うたくさんの家族や友達を持っている」とブレイディはこの試合について語った。
「ジレット・スタジアムのファンは素晴らしい地元ファンだ。彼らは自分たちのチームを応援すると僕は思うし、そうあるべきだとも思う。それにもし彼らが僕のことを少しでも知っているなら、僕が試合に勝つために努力することはよく分かるはずだ。彼らはそんな僕に敬意を払ってくれると思う。僕もファンが自分たちのチームを応援することに敬意を払うし、それがスポーツのあるべき姿だ」
かつてのコーチであるビル・ベリチックについてはどう思うか? ブレイディがペイトリオッツを去ったとき、2人の間からは不協和音が聞こえてきた。だがブレイディはベリチックとの信頼関係は今でも強いと主張する。
「僕はペイトリオッツで20年プレイしたし、ベリチックは僕にとって素晴らしい先生だ。たくさんのことを彼から学んだと思う。彼は偉大なコーチだし、彼のチームのために素晴らしい仕事をしている」
その教えの1つは大舞台でも冷静でいる方法のようだ。ベリチックもまたブレイディのように第4週目の試合を前にして多くを語らない。
「私はブレイディに多くの敬意と感謝を感じている。ブレイディは私とチームのためにたくさんの素晴らしいことをしてくれた。私たちはただ今週のバッカニアーズとの試合に向けて準備を整えることだけに集中している」とベリチックは言った。
(翻訳:角谷剛)
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