■5月16日/J1第14節 川崎フロンターレ2ー0コンサドーレ札幌(等々力) 90分を通して苦しんだ札幌戦で、三笘薫のゴールは実に大きかった。札幌に互角の勝負を繰り広げられた前半は、どちらがスコアを動かしてもおかしくない展開だった。鬼木達監督が後半アタマから選手交代をしたのは、前半のままでは自分たちのサッカーができないと感じた何よりの証拠だろう。 ■【動画】川崎FW三笘薫のゲームを動かしたワンタッチ先制弾!■
後半からピッチに立った田中碧はここまでチーム最多タイとなる17試合に出場し、1381分という出場時間は山根視来に次ぐチーム2位の数字。川崎らしさを中盤で体現するアカデミー出身の選手だ。 この25番の躍動もあって、49分に先制弾が生まれた。家長昭博が右サイドから上げたクロスを、旗手怜央のワンタッチをへて、三笘がゴールに押し込んだのだ。前半から再三再四ドリブルで仕掛け、チャンスを作り続けた18番が、ワンタッチゴールでチームを救ったのだ。 この試合で等々力で販売されたマッチデープログラムに、実は三笘の「ワンタッチ」と「ゴール」への思いが綴られていた。この冊子には三笘と田中碧との「フロンターレブルーの系譜」と題された対談の前編が掲載されている。 その中で三笘は、〈フィニッシャーになりたい(笑)。昔はラストパスを出すことに気持ち良さを感じていましたけど、点を取る楽しさも分かってきました〉と話しているのだ。■三笘薫がフィニッシャーとして求める形
田中に〈ほぼワンタッチでFWみたいな取り方するね〉と言われると、〈そうだね。ワンタッチ、ツータッチっていう形が多い〉と返し、〈ドリブルで抜いたときはアシストが多くて、抜き切ってシュートはほとんどないかも〉と自己分析してもいる。 さらに、三笘薫のドリブルをたとえ2人がかりであっても止めることがスゴいと評される世間に対し、〈そういう中で戦っていくことが自分自身の成長につながっていく〉と答えているから頼もしい。この対談は3部構成になっているといい、今回が前編。今後2号で続きが見られるというから、そのドリブル観にさらに迫れるかもしれない。 この対談からも分かるように、今季の三笘は得点にこだわっており、さらにゴールをするときはワンタッチやツータッチの形を意識していることが分かる。ドリブラーはその突破からゴールを求めることが多いが、J屈指のヌルヌルドリブラーはそこに固執していないということだ。三笘は札幌戦で決めたゴールが3戦連発で、G大阪戦と仙台戦でも決めていた。ガンバ相手に決めた得点はドリブルからのゴールだったが、仙台戦のゴールはツータッチで決めたもの。遠野大弥のスルーパスに反応して裏に抜け出すと、ボールを右足でコントロールして左足で流し込んだのだった。ドリブラー三笘薫とフィニッシャー三笘薫の両方を見せているのだ。
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