澁谷光平が脚本・演出を務め、「圧倒的にリアルな台詞」と「日常をのぞき見する感覚」が持ち味のプロデュース型演劇ユニット・スプリングマン。今作は、世田谷のアパートで暮らす2人の青年の生活を切りとる。何かをやるには遅すぎて諦めるには早すぎる、そんな微妙な年代のリアル。山木透と鈴木勝大による濃厚な二人芝居となりそうだ。
―――出演にあたってはどんなお気持ちですか?
山木「スプリングマンの出演は、3回目です。二人芝居は経験がなかったので、ずっとやりたかったんですし、勝大くんともがっつりお芝居ができるということで、すごく嬉しいです」
澁谷「スプリングマンでも初期の頃に二人芝居をやったことがあったんですけど、それ以来やっていなくて。そして、たまたま2年ぐらい前に、僕が二人芝居をやりたいと言ったら、彼も二人芝居をやりたいと話してくれて、いつかタイミングが合えばやろうと決めていたんです。
二人芝居だから、彼がやりやすい人、そして、僕も見たことがある人がいいだろうということで、勝大くんの名前が挙がりました」
鈴木「二人芝居は、作品を構成する要素として、役者の割合がかなり大きいじゃないですか。基本的には会話やその人の人生、雰囲気を見るものだから。二人芝居の舞台は、役者として、やりがいがあるし、うまく成立できたら、格好いいなと思います」
―――山木さんと鈴木さんはもともと波長が合うなと感じられていた。
鈴木「透は劇団た組。の『貴方なら生き残れるわ』(2018)の時から知っているんですけど、絡む役ではなかったんですよ」
山木「ちゃんと話始めたのは、自粛期間中につくった『curfew』という作品からじゃないかな」
鈴木「そうだね。でもその時も同じシーンはなかった」
山木「だから今回、初めてがっつりお芝居できるんです。ずっと一緒に芝居したいと思っていました。勝大くんはうまいので、おんぶに抱っこで頑張りたいと思います(笑)」
―――今回の『青春にはほど遠い』はどんなお話なのですか?
澁谷「世田谷のアパートで暮らす、2人の青年の話です。1人は、大学に行って、就職をするという「普通の人生」を生きていて、もう1人は、何かやりたいと上京してきたけども、なにもやらずに時を過ごしていて。場面転換はなく、ワンシチュエーションで見せていきます。
ただ、ステレオタイプな人物像は描きたくないと考えています。やはり演じる人によって、キャラクターも全然変わると思うので、各々のフィルターを通してもらって、作品を作っていきたいですね。
スプリングマンでは、いつも同じテーマを扱っています。それは、人と人が最初と最後で感情の距離が縮まればいいな、ということ。始めと終わりで、関係性の変化は絶対あるじゃないですか。そこの部分をいろいろなシチュエーションで描いているんです」
―――なぜ世田谷を舞台に?
澁谷「住宅街が広がっているけど、そこまでガヤガヤしていないんですよ、世田谷って。それこそ、僕ら舞台の人間は、結構下北沢(世田谷区)で過ごしてきたんじゃないかな。
それに、スプリングマンの作品はいつも世田谷なんです。パンフレットに地図が載っているんですけど、過去作品で出てきた場所がどんどん付け足されていくんです。時間軸というか、世界を統一した方が僕の中で広がりが出てくると考えているので、世田谷を中心に描いています」
―――タイトルにも入っている「青春」。みなさんにとっての青春とは?
山木「高校生の時かな。当時は分からなかったけれど、後になって気づくと、あの時は青春だったなと思いますね。今を楽しく生きているので、戻りたくはないですけど」
鈴木「僕は、ずっと青春ですよ! モラトリアムってあるじゃないですか。青春は、それに似ていると思っていて、まだ強制終了されていないなと感じているんですよね。いつかは終わるのかなと思いますが、まだ完全に終わった感じはしていないです」
澁谷「この作品を書こうと思った時に、青春ってなんだろうと調べたんです。そうすると、青春というのは、人生のある時期ではなくて、心の持ち方とおっしゃった方がいる。つまり、70歳になっても80歳になっても、青春だと思えば、それは青春だと思うんです」
―――最後に、楽しみにされているお客様に一言お願いします!
鈴木「まだまだ公演が無事にできることを祈っている状況ですけど、1公演1公演大事に、ありがたみを噛み締めながらやれたらいいなと思っています。お客さんは、せめて見ている時間だけでも、楽しんでもらえたらなと思います」
山木「やるからには、全力で僕らはやっていきます。無理は決してしないでほしいですけど、今回の作品は、たくさんの人に見てほしい。絶対に損はさせないし、見てよかったなという作品になると思うので、ぜひ劇場で楽しんでほしいなと思います」
澁谷「二人芝居は自分としても久々に書きたいものでした。この二人がどういう風に化学反応を起こすのか、楽しんでもらいたいですし、自分自身も楽しんで作りたいと思います。世代によって見え方や感じ方が変わる作品になると思うので、老若男女、幅広い世代の方に見ていただきたいです」
(取材・文&撮影:五月女菜穂)
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