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Tuesday, May 26, 2020

松居大悟と尾崎世界観の小説談義 ずっと避けてた家族と向き合う - CINRA.NET(シンラドットネット)

松居大悟が、小説『またね家族』を上梓した。映画監督に舞台の作演出、ミュージックビデオの監督など枠にとらわれず活動してきた松居だが、この『またね家族』は彼にとっての初の小説作品であり、同時に、松居の表現者としての新たな表情をのぞかせる素晴らしい作品となっている。

彼が監督する映画やミュージックビデオでは衝動的とも青春的ともいえる蒼さや激しさが際立っていたが、この『またね家族』には松居の新たなアプローチが見える。ここには、人と人が共に生きることの複雑さと愛おしさ、そして、人間の弱さと悲しさと逞しさが、丁寧な筆致と静かなストーリーテリングで綴られている。これまで「叫び」の奥に隠されていた松居大悟という作家の内省の深さと上質なささやきが、言葉の連なりとして見事に屹立しているのだ。また、これまで松居自身が目を背けてきたという「家族」というテーマは、この作品を読んだ多くの人に、自らの人生のルーツを問うことだろう。

今回、そんな松居と、かねてより交流のあるバンド、クリープハイプのフロントマン・尾崎世界観との対談が実現した。これまでミュージックビデオや映画を通してコラボレーションしてきた松居と尾崎だが、2016年に小説『祐介』を上梓した尾崎は、松居にとって先輩にもあたる。オンラインで質問を投げるという形で、松居と尾崎の現在の関係から、「家族」を巡る話まで、存分に語り合ってもらった。

(尾崎くんとは)たまーに会えば盛り上がるんだけど、ここ数年は倦怠期の夫婦みたいな感じです。(松居)

―今日は松居さんの初の小説作品『またね家族』の発売を記念して、おふたりに対談をしていただこうという企画です。

尾崎:前に、久しぶりに会ったときに「渡したいものがある」と言われて。「映画の主題歌でもやらせてくれるのかな」と思ったんですけど、「小説を書いたから読んでほしい」と言われてびっくりしました。たぶん、最初に渡してくれたんだよね?

松居:そう、最初のゲラ。尾崎くんも、かなり早い段階で『祐介』を読ませてくれていたんですよ。

尾崎:そうだね。

松居大悟(まつい だいご)<br>1985年、福岡県生まれ。劇団ゴジゲン主宰。2012年、長編映画初監督作『アフロ田中』が公開。『私たちのハァハァ』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2冠受賞、『アズミ・ハルコは行方不明』は東京国際映画祭・ロッテルダム国際映画祭出品。2018年には74分1カットの映画『アイスと雨音』や『君が君で君だ』が公開、ドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズの監督も務める。最新監督作に映画『#ハンド全力』。
松居大悟(まつい だいご)
1985年、福岡県生まれ。劇団ゴジゲン主宰。2012年、長編映画初監督作『アフロ田中』が公開。『私たちのハァハァ』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2冠受賞、『アズミ・ハルコは行方不明』は東京国際映画祭・ロッテルダム国際映画祭出品。2018年には74分1カットの映画『アイスと雨音』や『君が君で君だ』が公開、ドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズの監督も務める。最新監督作に映画『#ハンド全力』。
尾崎世界観(おざき せかいかん)<br>バンド「クリープハイプ」のボーカル、ギター。自身が編集長を務める雑誌の発行、小説、エッセイや書評コラムでも頭角を表すなど、多岐に亘って活躍中。音楽に止まらず、その言語表現も注目されている。6月19日に文芸誌「小説トリッパー」での対談連載をまとめた書籍「身のある話と、歯に詰まるワタシ」を刊行予定。
尾崎世界観(おざき せかいかん)
バンド「クリープハイプ」のボーカル、ギター。自身が編集長を務める雑誌の発行、小説、エッセイや書評コラムでも頭角を表すなど、多岐に亘って活躍中。音楽に止まらず、その言語表現も注目されている。6月19日に文芸誌「小説トリッパー」での対談連載をまとめた書籍「身のある話と、歯に詰まるワタシ」を刊行予定。

―まず、おふたりの関係性について伺っておきたいのですが、この約10年の間で、お互いの関係性は変わりましたか?

松居:僕の体感では、昔と今とでかなり違いますね。僕らが出会ったのは2011年なんですけど、その年はクリープハイプがメジャーデビューする前の年で、僕も映画監督デビューする前の年だったんです。

その年に下北沢の駅前劇場っていうところで出会って以来の付き合いなんですけど、僕にとっての尾崎くんは、最初は「負けたくないライバル」っていう感覚が強かったですね。でも、この3~4年はもう倦怠期の夫婦というか(笑)。たまーに会えばまた盛り上がるんだけど、やっぱり倦怠期、みたいな感じです。

尾崎:倦怠期というのは……1回来てしまえばもう、どうしようもないですから(笑)。

―ははははは(笑)。

尾崎:1度、セックスレスに陥ってからというもの、お互い、なんとか盛り上げようとしてたまに飲みに行ったりもするんです。その日は盛り上がって、ちょっと熱めのメッセージを交換したりするんですけど、1週間くらいしたら、また同じ場所に戻っている。この3~4年はそんな感じですね。敢えて一切、連絡を取らない時期もあったし。

松居:半年に1回くらいは盛り上がるんですけどね……一晩は。

―しかし、セックスレスに陥る……。

尾崎:2016年に“鬼”のミュージックビデオ(以下、MV)を撮ってもらったのが、表向きには最後なんです。僕としても、クリープハイプと松居くんでやれることは、あれでもうやり切ったという感覚があって。

そもそも、『私たちのハァハァ』(2015年公開)のときから、倦怠期の感じは若干あったんです。別のところから「2組でなにかやってもらいたい」というオファーがあって“鬼”のMVを作ったんですけど、その時にやれることを全部やりつくしましたね。

松居:“鬼”のときも、久しぶりで盛り上がりはしたんですけどね。ただ結局、倦怠期は再び訪れるという……。

尾崎:今日、久しぶりだよね、こうやって話すのも。この数年間は、ずっとお互いが別の場所で闘っている感覚がありましたね。

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May 26, 2020 at 04:04PM
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