整備・修理・塗装・板金[2021.09.06 UP]
DIY“俺”バイク製作記【VOL9】
製作したフレームは「スクランブラー」に仕立てるべく設計されたものだったため、オリジナルバイクも当初はその方向で製作する予定だった。が、諸般の事情から「スポーツ」モデルへと変更。それに伴いパーツの製作順も微妙に変化してきた。
●文:鈴木伸一 ●写真:飛澤 慎
03:原型を製作する(その3)
原型ベースにポリパテを盛って成型する
原型ベースに利用した「発泡ポリスチレン」はポリスチレン樹脂を発泡剤で50~100倍に膨らませた素材だ。しかし、FRPの素材となるポリエステル樹脂が付着すると溶けてしまうので保護皮膜が必須となる。
まず「発泡スチロール用塗料」を全体にムラなく塗布してカバーする。そして、保護皮膜が形成されたところでポリパテを均一に盛り付け、ペーパーで研磨して表面を平滑に仕上げる。
なお、このパテ盛りによって仕上げた面がFRPを型抜きした際の表面形状となるため、凹凸や歪みはこの段階でキッチリ処理し、可能な限り平滑な状態に仕上げておく。
発泡スチロール用塗料を用意する
発泡スチロールを溶かすことなく表面に硬質の塗膜を形成する「発泡スチロール用塗料」を用意する。使い捨ての紙コップを用意し、発泡スチロール用塗料を適量取り出す。デジタルスケールに紙コップを乗せて風袋引きを行い、計量しながら紙コップに取り出しておいた発泡スチロール用塗料を注ぎ入れることで、正確に100gを取り分ける。付属の専用促進剤を重量比で0.5~1%添加し、塗る直前に硬化剤を1~2%添加してよく混ぜ合わせる。
ムラなく塗布して完全に硬化させる
作業台にバック紙を広げて原型ベースを乗せる。その横に発泡スチロール用塗料の入ったコップを置き、刷毛を浸しつつ原型ベースに塗り込んでいく。全体にムラなく塗ったら、ランプの熱で軽く暖めつつ硬化させる。乾燥したら表面を軽く研磨し、塗膜が薄くて簡単に削れて落ちてしまう部分がないか確認する。
細かな凹凸は中目のポリパテで埋める
原型の表面は滑らかに仕上げる必要があるため、ポリパテは厚盛りできてきめの細かな中目を使用する。ポリパテをパテヘラで適量、すくい取ってパレットに取り出す。取り出したポリパテの2%に相当する分量の硬化剤を、パテの横に絞り出す。ポリパテと硬化剤の色が混ざり合って均一になるまで、よく混ぜ合わせる。
【豆知識】貼り重ねる枚数は偶数が基本!
ポリパテと硬化剤はヘタにかき混ぜるとエアが混入してピンホールの原因となるので注意。最初はヘラ先で切る感じに硬化剤を混ぜ込んでいき、硬化剤の塊が消えたら練り込む感じに混ぜ合わせる。
全体にムラなく盛り付け、研磨して均す
パレット上でパテを棒状に均し、ヘラ先に横一線に付着させる。凹みの底までムラなく入り込むよう、ヘラを立て気味に持って強くしごく感じに塗りつけていく。全体にムラらなく均等に盛り付けたところで、そのまま完全に硬化するまで放置。硬化したところで研磨して平らに均す。
センターラインを記入して左右のバランスを確認する
平らに均した原型を遠目から眺め、左右のバランスが狂ってないか確認。マスキングテープを利用して中心を出し、ペンでセンターラインを記入する。さらに、テンプレートを利用してエッジやプレスラインも記入して、細部の左右バランスを確認。歪んでいる面を研磨して修正する。
プラサフを塗布して残っている凹凸や歪みを確認し、パテで修正する
プラサフを均等に塗布し、表面に細かな凹凸や歪みが残っていないか確認する。凹みを見つけたらポリパテを盛り、乾燥したところで研磨。これを繰り返して可能な限り平滑な状態に仕上げていく。平滑に仕上がったらエアブローして表面に残った削りカスを残さず吹き飛ばして原型の完成だ。
取材で毎回お世話になっているのが「表現工房」さんだ
表現工房 八王子作業所・事務所
〒193-0813
東京都八王子市四谷町604ー3
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モノ作り教室を開催している「表現工房」の本拠地は東京都八王子市の「八王子作業所」で、幹線道路に面した路地の突き当たりにある。
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